第一話 眼帯の錬金術師
「・・・・・あそこが、砂漠の街≪リオール≫か」
「そうだよ、それじゃあ気をつけてね、コーネロに目をつけられないようにね」
「案内ありがとう、エンヴィー」
「どうって事無いよ、シンジ」
黒いコート、黒い半袖シャツ、黒い長ズボンに身を包み右目に黒い眼帯をした銀色の長い髪の少年が黒一色という身に包み額に黒いリストバンドを着けた少年に礼を言う。
リストバンドの少年の名は≪エンヴィー≫ホムンクルスの一人である。
「・・・エドとアル、元気だろうか、司令部に言い訳しないといけないし」
そう言って、シンジはリオールに向かって歩いていった。
リオールに到着したシンジは、まず傍にある軽い食事や飲み物を出しているスタンドに行き、椅子に座った。
「いらっしゃい、ご注文は?」
「軽い食べ物と飲み物を」
「はいよ」
しばらくして、目の前に食事が置かれ、フォークを使って食事を進ませる。
『この地上に生ける神の子らよ。祈り信じよ。去れば救われん』
カウンターの真上だろうか、音声が流れている。
シンジはいつの間にか食事を終了させて見上げている。
「・・・ラジオで宗教放送か?」
カウンターにいる店主に訊く。
「おお、そうだよ、そう言えば、見かけない顔だね。旅行か?」
「ちょっとした弟たちを捜しているんだよ、結構有名になっているし」
苦笑いをしながら言うシンジ。
シンジの弟たちは一体誰だろう。
すると、横で。
「ごちそーさん、んじゃ行くか」
「うん」
金髪の少年と青銅色の鎧が席を立った時だった。
ごちっ、ガシャン!!
そんな音と共にラジオが落ちて粉々に砕けてしまった。
「あ」
「あ――――!!!」
店主がカウンターを乗り出して青銅色の鎧に怒鳴る。
「ちょっとお!!困るなお客さん、だいたいそんなカッコで歩いてるから・・・」
「悪い悪い、すぐ直すから」
すると、鎧がラジオを一カ所に集めて、地面に陣のようなものを書く。
「――よし、それじゃ、いっきまーす!」
次の瞬間、陣から光が発してくる。
店主や店にいた客が目をつぶり、次に目を開けた時には、
「これでいいかな?」
金髪の少年が指をさした先には元通りのラジオがあった。
「・・・・・こりゃぁ驚いた、あんた≪奇跡の業≫が使えるのかい!?」
「はぁ?何だそりゃ」
≪奇跡の業≫という言葉に呆れる金色の子。
「ボクたち、錬金術師ですよ」
「≪エルリック兄弟≫って言いやぁ、結構名が通ってるんだけどね」
その言葉に店主と店の客たちが顔を見合わせる。
「エルリック・・・エルリック兄弟だと?ああ、訊いたことあるぞ!」
「兄の方がたしか、国家錬金術師の・・・」
他の客がそれを引き継ぐ。
「≪鋼の錬金術師≫エドワード・エルリック!!」
その言葉で目の前の金髪ではなく、鎧を取り囲む客の人達。
「いやぁ、あんたが噂の天才錬金術師!!」
「なるほど!こんな鎧を着てるから二つ名が≪鋼≫なのか!」
鎧の頭がぎしぎしと軋む音を立てて左右に動いた。
「あの・・・・・・ボクじゃなくて」
それにより金色の少年を見る。
「へ?あっちのちっこいの?」
ブッチィ!!
「誰が豆つぶどチビか――――ッ!!!」
と、カウンターをひっくり返す。
少し冷静になって。
「ボクは、弟のアルフォンス・エルリックでーす」
「オレが!≪鋼の錬金術師≫!!エドワード・エルリック!!!」
「し・・・失礼いたしました・・・」
そしたら、シンジが立ち上がりエドとアルに顔を向ける。
「エドは相変わらずだな」
「なんだ・・・」
シンジの方を向くエドだったが、シンジの顔を見て呆然とする。
「アルも苦労してるな」
「・・・え?嘘」
アルもシンジの顔を見て唖然とする。
それを見て、してやったり、ニヤリと笑う。
「≪開眼の錬金術師≫シンジ・イカリだ、よろしく」
紫色の目がエド達を見る。
「シンジ兄さん!?」
「シンジお兄ちゃん!?」
エドとアルの叫び声が響いた。 |