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『CROWN plus』
作:是音



TURN4 邪神の鼓動


ファムとジンは荒野の真ん中に位置するダラム基地を遠くから見た。基地の上空には巨大なワープゲートが開き、様々な種類の魔鬼が大量に落下してきている。ファムはここまでの戦闘で疲労していた。魔鬼の数が異常なのだ。

「ジンさん、みんなを連れていったワープゲートが開いたとしてもあの数の魔鬼では近づけませんよ?」
「・・・だが、行くしかない。あと数十分で開く予定だからそれまでなんとか・・・」

そう言いかけたジンの目の前の地面が盛り上がり、赤い複眼をもった黒い蟲型の魔鬼が多数這い出てきた。

「ちぃ!なんとか持ちこたえるんだファム!」
「はい!」

ジンは硬質化した両腕を振り上げた。
「跳び上がれファム!」
「は、はい!」

ファムはジンの言う通り高く跳び上がった。ジンは両腕を振り下ろして地面に叩きつける。

「いくぞ、剛崩・弐式・・・《閻舞陵{エンブリョウ}》!!」

ジンを中心として荒野に巨大なクレーターができた。バランスを失った蟲型魔鬼達が中心へ転がり落ちてくる。ジンはそれら全てをことごとく粉砕し、跳び上がったファムは空から《影走り》で切断した。ジンの一撃は魔鬼数体を一気に吹き飛ばす。吹き飛ばされた魔鬼は潰れていた。

「ハハハ、思い出すなぁ。この場所はオレ達《元Z・E隊》とザック達が初めて戦った場所なんだよ。レイモンドの野郎に負けた屈辱の場でもあるな。」

(こ、これが前異世界大戦メンバーの実力なの・・・?すごい!!)

ファムは既に肩で呼吸をするほど疲労しているのにジンの呼吸は少しも乱れていない。
戦闘に気付いたダラム周辺の魔鬼達が次々とファム達に襲い掛かるべく近づいてくる。ジンはこの数相手に閻舞陵で戦うのは不利と考え、ファムを抱えてクレーターから跳び出た。


〈ドクン・・・〉

その時、ダラム基地上空のワープゲートから鼓動が響いた。

「ん?何の音だ?」
「わかりません、ワープゲートから聞こえてきたような・・・それよりジンさんあれ!!」

遠くのダラム基地の門では上空に開いたものとは別のワープゲートが開きかけていた。しかしその前には魔鬼の大群が蠢いている。ジンはさすがに焦った。

「さぁて、どうするかね。」
「ジンさん応援が来たみたいです!」

ジンがファムの指差す方を見ると後ろから三機の機動歩兵《龍怒{ロンド}・改》が飛んでくるのが見えた。その中の黒色の龍怒に乗った男がスピーカーで叫ぶ。

『苦戦してるみたいだなジン君!』
「その声はランス!?久しぶりだな!ハルとアルマも!」
後ろで飛ぶ二機の赤い龍怒が手を振った。
ランス、ハル、アルマも異世界大戦で機動歩兵《虎駝{こだ}》に乗って戦ったザックの仲間だ。大戦後は三人でどこか遠くで暮らしていたらしい。

『シド君から連絡を受けたんでね、飛んできたんだ。後で彼等も来る!CROWNは俺達が魔鬼から守っておくから君達はザック君達を助けに行け!』

三機の龍怒は胸部から極太のレーザーを放って魔鬼を蒸発させ、ワープゲートへ向かう為の道を開けた。

「すまないランス!助かった!」
「あ、あの、ありがとうございます!」

ランスは礼を言うファムを見た。
『ザック君の妹さんだね?行動派の彼をコントロールするのはかなり難しいからね、君が助けてあげなよ。』
ランスはフェイスガードの下で笑った。

『さぁハル、アルマ、彼女等の護衛に専念するぞ!魔鬼を近付けさせるな!』
『了解隊長!』
『虎駝より性能がいいよこの機体!』

三機はレーザーを連射してワープゲートへ走るジンとファムを援護した。



ついにワープゲートへ辿り着いたジン達は後ろを振り返った。三機の龍怒が無数の魔鬼相手に何本もの光を放っている。ジンは叫んだ。

「ランス!ハル!アルマ!絶対に死ぬなよ!CROWNを頼んだ!!」

三機はジン達へ向けて親指を立てた。


「ジンさん。」
「あいつらなら大丈夫だ、腕は一流だからな。後でオズマ達も駆け付けるだろう。それよりこの先に何があるかは全く未知数だ。気を付けろよ!」
「はい!」
(兄さんはこんなにたくさんの仲間がいるんだ。)

ファムとジンはダラム基地の門に開いたワープゲートへ飛び込んだ。



〈ドクン〉

その時、再び上空のワープゲートから鼓動が響いたが、ランス達は気付かなかった。



それからランス達の攻撃によって無数に増え続ける魔鬼達の数は着実に減っていった。

『この分だとオズマ君達がいなくても大丈夫そうだな。』
ランスは魔鬼を焼き払いながら言う。

しかしハルとアルマの機体がダラム基地の方を向いたまま固まっている。

『ハル、アルマ、どうした?』
『た、隊長・・・』
『あれってもしかして・・・。』

ランスもダラム基地の方を見る。そしてファム達が入ったものとは別の上空のワープゲートから出ている物を見て絶句した。

〈ドクン、ドクン・・・〉
『これは何の音だ?』
『心臓の鼓動のような・・・』
少し早くなった鼓動にランス達は気付く。
『隊長、ワープゲートからです。』

上空のワープゲートからは巨大な足が出ていた。足首には金色の制御リングがはめられている。ランスは無線機のスイッチを押した。
『シド君、こちらはランスだ。至急応援を要請したい。
・・・《END OF WORLD》を確認した。』












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