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TS転生して勇者の母親やってます☆シリーズ

TS転生して勇者の母親やってます☆

作者:uyr yama




むかしむかしのお話です。

あるところに、それは愛らしい貴族の姫様がおりました。

彼女の美しさと愛らしさは、近隣諸国にまで鳴り響くほど。

そんな彼女は、王様と出会い、恋に落ちます。

一目で恋に落ちた王様は彼女をお城へと連れ帰ると、愛を語り合い、そして愛を育み、身体を重ね、子を成します。

でも、王様にはすでにお妃さまがおりました。お妃様と王様は政略結婚で結ばれた仲。

だけども、お妃様こそが、王様の妻であるには違いなく。

王様からの愛を欲したお妃様は、王様の子を成したお姫様を憎み、城から追い出しました。

追い出されたお姫様は、大きくなったお腹を抱えて、そのまま国を出ます。

自らの存在こそが、お妃様を苦しめてしまったのだと、心優しいお姫様はそう思って。


それからお姫様は貴族の出身だというのに、自らの手で一生懸命産み落とした子供を育てました。

心の中にはいつも愛する王様がいたのでしょう。

でも、そんな素振りは一切見せず、ただただ産み落とした子供の為だけに生きたのです。

その子の名は……アレイド。

神に愛され、魔王を倒して世界を救った勇者にして、群雄割拠する国々を一つにまとめた大英雄。

神の託宣により勇者として覚醒した勇者アレイドの物語は、ここで語るまでもないでしょう。

その勇者アレイドを女手一つで育て上げた聖母リィア……リフィルディードア・キアル・マディレード。

聖母とまで呼ばれたリィアは、実はちょっとだけユニークな秘密があったのです。

それはね……
































世の中、不思議なことってあるもんです。
なんせ私、風邪引いて寝込んでたはずなのに、気づいたら赤ちゃんになって、新しい人生を送ることになったのです。

まあ、いわゆる転生……ってヤツだと思います。
憑依……でないと信じたい。
今更、実は憑依でしたー☆なんて言われても困るし。

これでも私、この身体で30年近く生きてますしね。

子供も一人いたりします。
もうすぐ18歳になる男の子。

さらさらふわふわな金髪に、すぅっと細く切れ長の眉。
目元は少しだけ垂れて、でもその垂れっぷりがこの子の優しさを外に出し、とてもほんわかな雰囲気を自然と醸し出す。

 
ようするにだ、 私の前世と違って、すんげーイケメン。
しかも性格もすんごく良くって、ご近所で評判の好男子。
おばさん達のアイドルですよ、アイドル。

それに比べて前世の私ときたら……そう、性別・男で魔法使い間近の29歳。
魔法使い間近なんだから彼女なんていなかったし、風邪ひいて寝込んでいる『俺』を心配してくれるような優しい友人や家族までもがいなかった。


「どうかしたの、かあさん?」

「ううん、なんでもないわ」

「……そう? 何だか切なそうに僕を見てるから、なにかあったのかな~って思ってさ」

「ごめんね、アレイド。ほんとうになんでもないのよ?」


そう、決して、女の子にモテまくりな息子に嫉妬なんかしてないし。

だから何でもないよ? 本当だよ?


「かあさん、なにかあったらキチンと言ってね? そうでなくても……」

「あーあー、きーこーえーなーいー」










耳を塞ぎ、ぷるぷるしながらそう言う母の姿は、息子である僕から見ても、とても可愛らしい姿だ。
なんて言うか……母親というよりは妹である。

そう、僕の母はとても若い。
逆算すれば、12~13才の時には僕を産んでいる。
しかもだ、母は、年をとらない。

……僕の、せいである。
僕なんかを産んだから、母は年をとるのを止めてしまったのだ。

神。この世界を、魔王の手から解放せんと、勇者を遣わし世界に光を灯す存在。
その神が、『勇者』の資格がある僕を産んだ功績として、母の時間を止めてしまったらしい。

結果、母は幼女である……

母は、それこそ子供を産む前から人より幼く見えていたから気にしないようにとは言ってくれるが、気にしない訳がないではないか。

本当に憎たらしい……っ。
神はともかく、母をこんな目に合わせた勇者国、マクガイアの王が、憎い。

勇者は、勇者の血筋からしか生まれない。
始まりの勇者マクガイア。彼が創りし王国マクガイア。
この国の王族から、勇者が生まれ、そして魔王と戦うはずだったのだ。
なのに自由都市国家で生まれた僕が、神から託宣を受けたケリーナ聖堂王国の巫女姫に探し出され、正式に勇者になった。
ありえない。ありえるはずのない、初の勇者国以外で生まれた勇者。
僕の存在に世界は混乱に落ち、だが、母の存在を調べた者は、一様に納得した。

僕を女手ひとつで育ててくれた母、リィア。
彼女の本当の名は、リフィルディードア・キアル・マディレード。
勇者国マクガイアの貴族、マディレード子爵が次女。
そして、11の誕生日に国王に見初められ、拉致られ、王城の一室に監禁され、僕を孕んだ。
だが、母は僕を孕むなり監禁を解かれ、王城から追放。
実家に戻るも、面倒事はご免だと、僅かな金銭だけを与えられ……
母はお腹の中の僕を守る様にしながら国を出て、この自由都市国家まで流れて来た。

それはどれだけ辛いことだったろう。
世間など何一つ知らないはずの貴族のお嬢様……しかも彼女は10代前半の少女である。
今の僕よりも、まだその母に守られている僕よりも、幼い時分に、大きなお腹を抱えて冷たい世間を潜り抜けてきたのだ。
世界を憎んでも仕方ない。お腹の中の僕を憎んでも仕方ない。

でも、母さんは、僕を愛してくれた。

……僕は、18になったら魔王退治の旅にでる。

それは決められたことだ。
決して、逃れられない運命。
でも、僕は自分から旅立とうと思う。
母を捨てたマクガイアに目に物を見せるために。

なにより、こんなに可愛い母のことだ。
放っておけば魔王とかに浚われてしまうに違いない。

だったら先に倒してやろうじゃないか!

そう! クソ魔王を、僕は倒すッ!!

ついでに母にこんな運命を背負わせたマクガイアも滅ぼしてやるッ!!!














なんか突然怖い顔になったよ?
イケメンが怖い顔すんと、ホントに迫力あるわ。
それにしても、なに考えてんだろ、この子?
また変な妄想してんじゃないだろうか?

いつまでも厨二がまだ治らないこの子……ちょっと将来が心配です。
って、ホンモノの勇者なんだから厨二じゃないのかな?

……まあ、いいや。

明日には、この子も18才。
日本ならまだ子供として扱う年だけど、この世界で18は大人の一員。
いわば、明日には成人なのだ。
好きに生きたらいい。
魔王退治に行くのも、行かずに逃げるのも、好きにしたらいいのだ。

私のように。私みたいに。
王様に拉致られ監禁、そして連日レイプのコンボは本気でキツカッタけども、その後の自由を考えたら許せるってもんだ。
相手は一国のトップだしね。死なずにすんだだけ、マシですよ。
それにあのまま家にいたら、好きでもないハゲのデブ親父に嫁がされたかもしんないしね。

正直な話、元男として、それだけは勘弁して欲しかったのだ。
しかも成人男性として、立派……かどうかはともかく、自分を養い、生きて来た記憶がある以上、養われ、愛でられるだけの貴族の婦人なんて、マジで無理。
赤ちゃん出来た時はちょっとだけ絶望したもんだけど、本当にこの子のおかげで私はラッキー。
だって、おかげで城から追い出されたしね! すんごく幸せです☆

エターナルロリータになったのは、ちょっと……だけどさ。
年とんないなぁ~って思ってはいたんだけども、まさか神さまとやらに年齢をストップされてたとは気づかなかったよ。
ほんと、マジ勘弁。ふざけんな!
おかげで職を探すのにどれだけ大変な思いをしたことか……
ああっ! 腹立つッ!!
……まあ、キチンと寿命で死ぬらしいから、これはこれでよしとするか。

この姿で苦労したのも最初だけだったし。
……本当に苦労したけど。
でも今の仕事に就けてからは、本当に幸せだよ。

ええ、とあるロリコンな金持ちに雇われる会計士だけども、まあ、幸せですよ?

本当だよ?


「ねえアレイド……」

「なに、かあさん」


だから息子が私に関して変な妄想をしないように、もう一度きちんと言っとくか。
なんかさ、不幸☆だったみたいに思ってるんだよねー。
私は、アナタが生まれてくれて、本当に幸せだったのにさ。

……にしても、前世が男であるオレ。今生が女である私。
父性と母性。ふたつ、キレイに混じり合った私は、きちんとアナタの親として合格でしたでしょうか?


私は、じっと息子を見る。
……見れば見るほど立派な『 男 』だ。

ほんっっきでっ! 前世の私なんかと比べ物にならないよ!?

うっはー、すっげ悲しくなってキター☆
















心配そうに僕の名を呼び、突如眼を潤ませた始めた母の姿は、とても弱々しく見えた。
心配、してくれてるんだね。
僕が勇者として魔王退治にいくのを、心配してくれてるんだね。
母さん、大丈夫だよ。僕は絶対に死なない。

魔王を倒し、マクガイアを滅ぼすまでは、絶対に、絶対に……ッ!!

僕は決意を新たにし、母さんを優しく抱きしめ、キッと虚空を睨みつける。
こんな凶暴な顔を優しい母さんに見られる訳にはいかない。

そう、見られるわけにはいかないのだ……

















あっ、息子がまた何かブツブツ言い始めました。
この辺り、私の息子だな~ってほんとに思う。
そう、オタで永遠の厨二だった、前世の私にクリソツ。
あっと、そういや何言おうとしてたんだっけ?


……ま、いっか。
大切なことだったら思い出すでしょ。
だから今は、今だけは……


「ねぇアレイド?」

「なに、母さん」

「今日の晩御飯、何にしよっか?」

「……ミートボールがいい」

「うふふ、いいわよ。頑張って美味しいミートボールを作るわね」

「うん、母さんのミートボールは絶品だから。だから、今のうちにたっぷり食べとくんだ」

「なぁに? その言い方。まるで食べれなくなるみたいよ?」

「……そうだね。言い方、おかしかったね。絶対、僕は帰ってくるから。絶対に……」
















ちょっと妄想過多の勇者と、かなりかる~い聖母さま。

きっと、こんな2人だから、世界は平和になったのだろう。

後世、墓から発見された2人の日記を読んだ歴史家は、イメージ壊れて頬を引き攣らせながら、そう自分を誤魔化し慰めた。


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