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朝は牛乳
作者:時計堂
 新学期感謝祭2010のテーマは、三学期に入ってばかりの心境……とのことですが、うっかり三学期一日前の心境にしちまったぜ。
 いや、ほんとにすみません。
 明日から、新学期だ。
 でも俺はここにいる。
 牛乳がないという理由にかこつけて、家から遠いコンビニまで自転車をこいで来た。雑誌から目をあげると、ガラス越しに見える落ちていく日、ライトをつけ始めた車。それらがものすごいスピードで夜がやってくるのを示していて、不快感におそわれた。
 この夜が終われば、学校に行かなきゃならない。
 長い長い休みは、体だけでなく心も弱らせるのだろうか。怠惰に満ちた、だらしない生活を送っていたからだろうか。学校に行くのが、嫌で嫌でたまらない。
 今日という一日が終わらなければいいのに、と思う。
 三学期を通り越したら、受験生と呼ばれ、勉強を強制させられる。無言のプレッシャーを背中に感じ、むさぼるように英単語を頭に詰める。そんな人間に自分が鳴ってしまうと思うと、寒気がした。
 大人になんかなりたくない。このままでいたい。
 学校には仲のいい友達もいるが、進学すれば自然とバラバラになってしまうだろう。連絡を取り合うかどうかもあやしい。進学先で友達ができるかも、その友達が今までの友達よりも気の置けない存在になれるかも不安。
 ふと隣を見ると、大学生らしき男が漫画雑誌をめくっている。彼も俺と同じ経験をして、ここまで来たのだろうか。後ろの主婦も同じ経験をして、店内を走り回る幼稚園児も同じ悩みを抱えるのか。
 ……急にちっぽけな悩みで頭を痛ませてるような気になってきたな。
 これは洗礼だったのだ。遊んでいい『こども』から『おとな』への。いくら子供がわめこうがあがこうが、時間切れは来る。俺も、タイムリミット。
 とりあえず、牛乳を買おう。
 でないと明日が始まらない。




 どうも、時計堂です。

 朝は牛乳がないと始まりません。意義は認めん。

 今作は新学期感謝祭2010の参加作品です。これでいい……よね?
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