僕の嫁
【二百文字小説コンテスト・参加作品】
僕はその顔をなぞり左耳の裏側にある小さな金属板に触れる。「ピ」という起動音が口から漏れて微かな唸りと機械音が身体から響いてくる。頬や肌にほんのりと赤味が刺して身体が暖かくなる。硬かった人工筋肉が一旦弛緩した後、しなやかに緊張して美しいプロポーションを見せた。「ふぅ」という息遣いが身体から出る機械音を掻き消した。目を開けてオニキスの瞳を僕に向けた。
「おはようございます、旦那様」
彼女はニッコリ笑った。
お読みいただき、ありがとうございます。
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