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怪談竒譚

手遊び

作者: 鵜狩三善

 歩道橋の上に女がいた。

 そこから眼下を、信号待ちをする私たちを見下ろしていた。

 女はゆっくりと大きく口を動かしながら、人差し指をひらひらと彷徨わせている。やがて、手遊(てすさ)びが止まった。指した先に、自転車に乗った親子連れがいた。

 にんまりと女が笑う。

 不意に、母親がバランスを崩した。後ろの子供が投げ出された。車道だった。車がやって来ていた。

 後の事は、思い出したくもない。



 歩道橋の女はいつの間にか消えていた。

 ひょっとしたら女を見たのは、女が見えていたのは、私だけだったのかもしれない。

 あの唇の動き。

 なんと言っていたのか、今ならば想像がつく。


 ──ど、れ、に、し、よ、う、か、な。


 きっと、誰でもよかったのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 二度目の、お邪魔します、です。 お目にかかったのも縁かと思いまして、こちらの作品も読ませて頂きました。ホラーは苦手ですが、短いようなのでサクッと読めると思って開きました……こ、怖かったです……
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