猫母さん3
この小説は『猫母さん』の第3弾となります。
出来れば1から見てもらえれば嬉しいです。といいますか1から見ないとわかりずらいかもしれません。
ご了承下さい。
金犬「助けて母さん」
猫「母ではないから無理ね」
金犬「まさかの即答」
猫「諦めなさい」
金犬「助ける気が無い」
猫「手遅れよ」
金犬「結論が早過ぎるよ母さん」
猫「で、どうしたの?」
金犬「切り替えも早いね」
猫「猫だからよ。それで、どうしたの?」
金犬「暑いです」
猫「夏だからよ」
金犬「熱いです」
猫「諦めなさい」
金犬「・・・・くぅん」
猫「・・・なぁ〜」
■■■
金犬「母さん一大事です」
猫「本当の母は二の次なのね」
金犬「母さんより大きくなってしまいました」
猫「それは貴方が犬だからよ」
金犬「これでもう僕は大人です」
猫「そう言っているうちはまだ子供よ」
■■■
金犬「!! 母さん!?」
猫「zzzz・・・」
金犬「母さん! 母さん起きて!」
猫「・・・なぁ〜〜、なによ〜〜〜、せっかく気持ち良く寝てたのに〜」
金犬「だって母さんが、なんて言い表せばいいかわからない格好で寝ていたから・・・」
猫「え〜・・・?」
金犬「いつもは丸くなっているのに、今日は前足と後ろ足を伸ばしながら仰向けを通り越した体勢で寝ているからてっきり母さんが死んじゃったかと」
猫「なぁ〜〜に縁起でも無いこと言ってるのよ〜。どんな体勢で寝ても私の勝手でしょ〜〜」
金犬「・・・いつもは凛々しい母さんが今日はなんかゆるゆるです」
猫「なぁ〜〜・・・くぅ・・・くぅ・・・くぅ」
金犬「ああっ! 寝ないでよ母さん! 遊ぼうよぉ」
猫「くぅ・・・くぅ・・・くぅ」
■■■
金犬「母さん、その前足で押さえているのは何ですか?」
猫「何って、見ての通りネズミよ」
金犬「そのネズミをどうするつもりですか」
猫「貴方の狩りの練習に使います」
金犬「!」
猫「いい? いちにのさん、で離すからしっかりと捕まえるのよ」
金犬「!!」
猫「いち・・に・・・さんっ」
金犬「ひゃぁ!動いたぁぁ!」
猫「こらっ! 逃げたら駄目でしょう!」
金犬「だって、ネズミ恐いです」
猫「私より大きいのになんて臆病なのかしら」
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金犬「遊ぼう母さん」
ジャンプ
猫「遊ば!」
硬直
金犬「そりゃぁ」
落下
猫「むぎゅう」
ペシャンコ
金犬「わぁーい」
御機嫌
猫「・・・」
不機嫌
金犬「わぁーい」
我武者羅
猫「・・・フシャァァ!」
ぷっつん
金犬「きゃうん」
本日二回目
■■■
金犬「母さん空を飛びたいです」
猫「たとえ私が本物の母であったとしても無理よ」
金犬「飛びたいです」
猫「諦めなさい」
金犬「だが諦めきれない」
猫「貴方には翼が無い」
金犬「この力強い意思がある」
猫「気持ちだけではどうにもならないことがあるわ」
金犬「なんて世知辛い世の中」
猫「それはともかくご飯の時間ね」
金犬「ご飯! やったぁっーなんて素晴らしい世界」
猫「なんて簡単な思考回路なのかしら」
■■■
金犬「母さん空を飛びたいです」
猫「まずは口の周りの食べかすを拭きなさい」
金犬「飛びたいです」
猫「空を飛ぶのは鳥ぐらいよ。貴方は犬。諦めなさい」
金犬「ではどうすれば鳥になれますか?」
猫「まずなれないわ」
金犬「がっくり」
猫「それはそうと、どうして空を飛びたいの?」
金犬「大空を自由に飛ぶのが気持ちよさそうだから」
猫「でも鳥は地面を颯爽と走れないわ」
金犬「それは嫌だ」
猫「だったら諦めなさい」
金犬「・・・ぐぅ」
■■■
金犬「母さん、その前足で押さえているのは何ですか?」
猫「何って? 見ての通り小鳥よ。」
金犬「その小鳥をどうするつもりですか?」
猫「食べるのよ」
金犬「やっぱり」
猫「貴方が」
金犬「びっくり」
猫「もしかしたら翼が生えて飛べるようになるかもしれないわ」
金犬「えぇ!」
猫「さっ、食べなさい」
金犬「い、いいです母さん結構です!」
猫「飛びたいと言ったのは貴方よ?」
金犬「いいです! 小鳥を食べるくらいなら空を飛べなくていいです!」
猫「あらそう。それじゃあ止めとくわ」
金犬「ほっ」
猫「私が食べるわ」
金犬「・・・やっぱり」
◆◆◆
『どわぁ〜〜〜』
『どうしたのお兄ちゃん? 大声なんか出して・・・』
『母ちゃん大変だ! 玄関に鳥の羽根が散乱してる!』
『え〜・・・っ! きゃあぁぁ! そこらじゅうに飛び散ってるじゃない』
『うはぁ〜、こりゃミケの仕業だな』
『あーもう。掃除しなきゃ。ちょっとお兄ちゃん、掃除機持ってきて』
『はいよ〜。しっかしよくミケも鳥なんか捕まえるよなー。どうやってハンティングしてんだ?』
『きゃぁぁぁぁ頭だけ残ってるぅぅ』
『母ちゃんも大変だなこりゃ』
◆◆◆
金犬「母さん質問です」
猫「母ではないけど答えましょう」
金犬「あれから背中に異常な無いですか」
猫「?・・・無いわよ」
金犬「翼は生えませんか?」
猫「生えないわ」
金犬「なら小鳥を食べても空は飛べないのですね?」
猫「そうなるわね」
金犬「ではコレはどうしましょうか?」
猫「よく捕まえたわね、その小鳥」
金犬「寝ていたら近くに来たので思わず前足でキャッチ」
猫「流石は私の教育の賜物ね」
金犬「でも僕は小鳥を食べません」
猫「せっかく捕まえたのに?」
金犬「はい・・・母さんまさか食べる気ですか?」
猫「まさか。貴方の獲物を横取りするほど私は飢えていないわ」
金犬「では放してあげます」
猫「もったいない」
金犬「そりゃ」
猫「飛んだ、小鳥が飛んだわ」
金犬「なんて素早い羽ばたき」
猫「まあ、必死に逃げるでしょうね」
金犬「空を飛ぶのも大変だ」
猫「翼がある者にはある者にの苦労があるわ」
金犬「やっぱり僕は地面がいい」
猫「地に足をつけた生活が一番」
金犬「では母さん、遊ぼ」
猫「猫は寝るのが一番」
金犬「遊ぼうよぅ」
猫「・・・・・・」
金犬「・・・捨て身ダイブそぉい!」
猫「ぎにゃー」
■■■
金犬「母さん質問です」
猫「母ではないけど答えましょう」
金犬「母さんは、鳥になって空を飛びたいとか、魚になって泳ぎ回りたいとか、モグラになって地面を掘り進みたいと思ったことないの?」
猫「・・・あまり無いわね」
金犬「あまり? 少しはあったのですか?」
猫「そうね。少しだけね」
金犬「母さんがなりたかったもの・・・気になります。教えて下さい」
猫「・・・駄目。内緒よ」
金犬「え〜〜〜知りたいぃー。知りたい!」
猫「あ〜もう、うさいわね」
金犬「教えて下さいよー母さん。減るもんじゃないでしょう。知りたい知りたい知りたいです」
猫「あ〜暴れないで! たく、仕方ないわね。なら、ヒントだけ教えるわ」
金犬「わくわく」
猫「ヒント。いつも私と一緒」
金犬「・・・?」
猫「以上よ」
金犬「・・・わかりません」
猫「まあ、ゆっくり考えなさい」
金犬「・・・あっ、『オバアチャン』達みたいな人間ですか? そしたら家族になれますもんね」
猫「残念だけどハズレよ。 ああでも、私がなりたいと思ったものに本当になれたのなら、きっと本当の母親に、貴方の、レオの家族になれたのかしらね・・・」
金犬「・・・? 母さんは今のままでも僕の家族ですよ」
猫「・・・そうね。その通りだわ。さっ、おしゃべりはここまで。私はもう眠るわ。おやすみ」
金犬「ああ、母さんズルイ、寝るなら僕と遊ぼ・・・やっぱり僕も一緒に寝ます」
猫「なら、私の横で眠りなさい」
金犬「わんっ!」
猫「にゃー」
わんにゃー
すいませんでした?
この小説のネタのいくつかは作者が実際に経験したものを使っています。玄関が鳥の羽根まみれになっていて雀らしき小鳥の頭部が転がっていた時はビビりました。猫が犬の目の前にネズミを咥えて持っていった光景は本当に謎でした。でもやっぱり二匹が一緒に寝ていたのには和みました。
まあ実際は結構ケンカしてましたけど・・・。
そんなこんなで猫母さんでした。
一応温めていたネタはこれにて終了です。
もしかしたら次を書くかもしれません・・・書かないかもしれません。
それではご愛読ありがとうございました。