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ライトノベル小説で学ぶ宅建士(宅地建物取引士、旧:宅地建物取引主任者)試験 過去問版 作者:大滝七夕

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宅建士試験過去問 権利関係 取得時効 1-46 平成16年 解説


(所有権の取得時効)
第百六十二条  二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2  十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

胡桃「まず、二十年間で所有権を時効取得するための要件を述べてくれるかしら?」
建太郎「一つは、所有の意思をもっていること。二つ目は他人の物を占有していること。三つ目は、平穏に、かつ、公然と占有していることだよな」
胡桃「そうね。じゃあ、十年間で所有権を時効取得するための要件は?」
建太郎「同じく、一つ目は、所有の意思をもっていること。二つ目は他人の物を占有していること。三つ目は、平穏に、かつ、公然と占有していること。四つ目の要件が、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったことだよな」
胡桃「そうね。平穏、公然、善意、無過失はどうやって立証するのかしら?」
建太郎「次の条文によって、ただ占有しているだけで、平穏、公然、善意は推定されるんだよね」

(占有の態様等に関する推定)
第百八十六条  占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
2  前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。

建太郎「占有者が立証しなければならないことは、無過失であることだけ。通常は不動産登記を確認していることだった」
胡桃「そして、取得時効は、自分の占有だけでなく、前占有者の占有を承継することによっても取得できるんだったわね」
建太郎「そうだな。ええっと……」

(占有の承継)
第百八十七条  占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
2  前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。

建太郎「自己の占有のみを主張することも、前の占有者の占有を併せて主張することもできる。ただ、前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。つまり、占有開始時に悪意、有過失だった場合は、合わせて二十年間経たないと、時効取得できないわけだ」
胡桃「そうね。そのことが理解できていれば、この問題は簡単に解けるわ。まず、1から」
建太郎「これは、善意、無過失がいつの時点で求められるかの問題だよね。第百六十二条にあるとおり、『その占有の開始の時に』、善意、無過失であればよく、その後、悪意になったとしても、十年間で時効取得できてしまうという話だった」
胡桃「そうね。承継人が悪意でも全く問題ないというわけよね。世間一般の常識からすると、おかしな話だけど、民法ではそうなっているから、割りきって覚えるしかないわ。次、2はどうかしら?」
建太郎「これも同じだね。前の占有者の占有を併せて十年間の時効取得を主張するためには、善意無過失の判断時期は、前の占有者の占有の開始の時であるという話だよね。現在の占有者が、占有開始した時に善意、無過失だったかどうかが問題になるわけではない」
胡桃「そうね。じゃあ、3はどうかしら?」
建太郎「土地を相続により取得したと考えて利用していたということは、所有の意思をもっているわけだから、時効取得しうるよね」
胡桃「じゃあ、4はどうかしら?」
建太郎「土地を借りて利用しているだけで、所有の意思をもっているわけじゃないから、二十年占有したって、取得時効は成立しない」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「1だね。ねえ、胡桃」
胡桃「んっ?何かしら?」
建太郎「俺もさあ、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と胡桃を占有しているから、そろそろ、胡桃のことを時効取得できると思うんだ。胡桃と出会って十年くらいになるんじゃないかな?」
胡桃「あら残念ね。占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったとは言えないから、十年では足りないわ。二十年は占有しなければだめよ」
建太郎「二十年どころか、三十年、四十年、五十年でも占有するよ!だから胡桃……!」
胡桃「ちょっと!何の話をしているのよ!恥ずかしいからやめて!」

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