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ライトノベル小説で学ぶ宅建士(宅地建物取引士、旧:宅地建物取引主任者)試験 過去問版 作者:大滝七夕

権利関係ステージ1

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宅建士試験過去問 権利関係 留置権 1-40 平成9年 解説


(賃借人による費用の償還請求)
第六百八条  賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2  賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

※(占有者による費用の償還請求)
第百九十六条  占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
2  占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

建太郎「『賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。』んだよな。必要費の償還請求権は、建物に関して生じた債権と言えるから、留置権を行使することができると」

(留置権の内容)
第二百九十五条  他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2  前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

建太郎「ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。とあるけど、必要費の償還請求権は、『直ちに』請求できることからして、既に弁済期にあるものと考えることができる」
胡桃「そうね。それが分かれば、1の正誤は判断できるわね。2はどうかしら?」
建太郎「これはどうなんだろう……。債務不履行により、建物の賃貸借契約が解除されたということは、それ以降に居座り続けているのは無権限ということになるよな。つまり不法に占拠しているということになる?」
胡桃「そうよ。それでいいわ。第二百九十五条2項を読んでみて」
建太郎「占有が不法行為によって始まった場合……。この設例でも適用されるのか?」
胡桃「そうよ。これは判例ね。賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後は、賃借人の占有は不法占有となるから、その間に支出した必要費、有益費については、留置権を主張することはできないとしているわ。次、3はどうかしら?」
建太郎「留置している間だって、賃料は払わなきゃダメだろうとは常識で分かるけど、条文がないよな」
胡桃「これも判例なのよ。留置権者は、被担保債権の弁済を受けるまでは、留置建物に居住することができるけど、それによって得た賃料相当額の利益は、不当利得だから返還しなければならない。とされているのよ」

(不当利得の返還義務)
第七百三条  法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

建太郎「なるほど、不当利得として返還義務を負うと」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「うーん。留置している間にさらに必要費を支出した……。留置しているのは不法占拠じゃないから、留置権を認めてもいいんじゃないかな?なんか、たかられている気がしないでもないけどさあ」
胡桃「それでいいのよ。選択肢2の場合は、不法占拠しているから留置権が認められないわけだけど、適法に留置している以上、その間に支出した必要費についても、留置権を行使できるとするのが判例よ」
建太郎「あっ。これも判例なんだね。必要費償還請求権のために建物を留置している者が、その留置中にさらに、必要費を支出した場合は、その必要費償還請求権のためにも、留置権を行使することができると」
胡桃「そうよ。というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「2だね」


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