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ライトノベル小説で学ぶ宅建士(宅地建物取引士、旧:宅地建物取引主任者)試験 過去問版 作者:大滝七夕

権利関係ステージ1

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宅建士試験過去問 権利関係 担保責任 1-15 平成11年 解説


建太郎「これは他人物売買に関する問題だね。売買契約は、諾成契約――口約束だけで成立するから、他人の物を目的として契約することもできる。もちろん、売主は、他人から物を取得して、買主へ所有権を移転する義務を負う」

(他人の権利の売買における売主の義務)
第五百六十条  他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

胡桃「そうよ。1の選択肢では、その他人であるCには、建物を売る意思がない。この場合、売主Aには、他人物売買に関する担保責任が問われるということは分かるわね?」
建太郎「わかるよ。民法の……」

(他人の権利の売買における売主の担保責任)
第五百六十一条  前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。

胡桃「ここで注意したいことは、契約解除は、買主Bが善意であるか悪意であるかを問わず、することができる。Aが売ろうとしている建物が本当はCの所有だったということを知っていたとしても契約解除できるということね。それに対して、損害賠償請求は、悪意の場合はできない。Cの所有だと承知して、売買契約を締結したのに、自分の物にできなかったからと言って、損害賠償を求めるのはおかしいだろうというわけよ。分かるわね」
建太郎「分かるよ。Bとしては、AがCから所有権を取得して、自分に移転してくれるものと期待して、Aと売買契約を締結することもある。もちろん、Cから取得できない場合もあるから、その時は、Bが契約解除を求めることができる。まあ、当たり前のことだよね」
胡桃「ところで、1では、『CにはAB間の契約締結時からこれを他に売却する意思がなく』とあるわ。そのような場合でも、他人物売買は成立するのかしら?」
建太郎「Cの意志とは無関係に成立するんじゃない。もちろん、実際に引き渡すことはできないだろうから、後は、担保責任の問題ということになるよね」
胡桃「そうね。Cからして見れば、勝手に人の物を売り買いするな!と抗議したいところだろうけど、契約自体は成立してしまうのよね。その点はOKね?」
建太郎「OK」
胡桃「ついでに、他人物売買の担保責任の項目が出たところで、重要な条文をもう一つチェックしておくわよ」

(他人の権利の売買における善意の売主の解除権)
第五百六十二条  売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。
2  前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。

胡桃「売主の担保責任は、一般的には、買主から売主に対して、契約解除や損害賠償請求を求めるものだけど、他人物売買の場合は、売主からも、契約解除ができる場合もあるという点ね」
建太郎「売主が自分の建物だと思って、売ろうとしたのに、実は、自分のものではなかったという場合だよね。つまり、他人の物であることについて、善意の売主は、『損害を賠償して、契約の解除をすることができる。』そんなうっかりさんいるのかどうかわからないけど」
胡桃「あり得ないことではないわ。2項では、買主がそのことについて、知っていた――悪意だったら、契約解除をするだけで足りる。つまり、売主は、損害を賠償する必要はないということね」
建太郎「OK」
胡桃「それが分かれば、選択肢2の分かりにくい文章を理解できるわね」
建太郎「あっ。条文そのままの出題だったんだな」
胡桃「次、3にいくわよ。何を問う問題か分かるわね?」
建太郎「抵当権が設定されていた場合の売主の担保責任だよね」

(抵当権等がある場合における売主の担保責任)
第五百六十七条  売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。
2  買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。
3  前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。

建太郎「抵当権が設定されていた場合の担保責任は、瑕疵担保責任と違って、買主が善意であろうと悪意だろうと、契約解除や損害賠償請求ができると」
胡桃「そうね。不動産の売買では、一般的には、登記簿を確認したうえで、売買契約を締結する。だから、抵当権の存在について、知らない買主というのは、実際のところ、想定しえないわね。抵当権が設定されているけど、債務者が必ず弁済するから、実行されることはないという言葉を鵜呑みにして買う場合もある。そんな時、抵当権の実行によって、所有権を失ったら、買主は、善意、悪意を問わず、契約解除ができるのは当然のことね。もちろん、損害があれば、賠償請求もできる。これがまず基本ね」
建太郎「OK」
胡桃「選択肢3は、買主が、債務者の代わりに弁済した場合の問題ね。それが、2項の条文よ。分かるわね」
建太郎「買主が、債務者の代わりに弁済した場合は、売主に対して、その費用の償還を求めることができると。もちろん、善意、悪意を問わずすることができる。そして、3項にある通り、『損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。』わけだね」
胡桃「そうよ。次、4はどうかとら」
建太郎「これは、瑕疵担保責任の問題だね。物理的な瑕疵があった場合。つまり、欠陥住宅だった場合の問題」

(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

胡桃「抵当権が設定されていた場合の担保責任と比較してね。瑕疵担保責任の場合は、買主が善意、無過失でなければ、契約解除や損害賠償請求ができないということね。善意という点は、第五百六十六条を読めば分かると思うけど、無過失も求められることを忘れないでね。第五百七十条の隠れた瑕疵は、『通常人の注意を以てしても発見しえない瑕疵』と説明されることがある。つまり、買主としては、建物を買う際に、相応の注意を払わなければならないということよ。だから、無過失でなければ、瑕疵担保責任を追及することができない。分かるわね?」
建太郎「OK」
胡桃「それを踏まえたうえで、4の選択肢を見るわよ。売買契約締結時に、売主がしろありの被害があることを知っていた。つまり、瑕疵があることについて、売主が悪意だった場合でなければ、買主は瑕疵担保責任を追及できないのかということね。どうかしら?」
建太郎「これは、売主の担保責任の基本だよね。買主は、売主に、『お前!欠陥住宅と知っていて売っただろう!契約解除だ!損害賠償請求だ!』と主張するわけじゃなくて、ただ単に、『欠陥住宅じゃないか!契約解除だ!損害賠償請求だ!』とクレームを入れればよいだけということだよね。売主が知っていてかどうかまで、主張する必要はない」
胡桃「そのことを一言で説明するとなんというのかしら?」
建太郎「売主の担保責任は、無過失責任である」
胡桃「そうよ。それじゃあ、答えはどれかしら?」
建太郎「1だね」

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