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ライトノベル小説で学ぶ宅建士(宅地建物取引士、旧:宅地建物取引主任者)試験 過去問版 作者:宅建士試験過去問研究会

権利関係 ステージ2

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宅建士試験過去問 権利関係 留置権 2-30 平成25年 解説


(留置権の内容)
第二百九十五条  他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2  前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

(留置権の不可分性)
第二百九十六条  留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。

胡桃「まず、留置権はどういう性質を持った担保物権かしら?」
建太郎「付従性、随伴性、不可分性を有しているんだよな。ただ、物上代位性だけは有していない。留置権は目的物を留置することを目的としたものであって、目的物が滅失したら、その交換価値に対して行使するという性質のものではない」
胡桃「そうね。それから、留置権を行使するには四つの要件を満たしている必要があったわね」
建太郎「ええっと……。1他人の物を占有していること。2その物に関して生じた債権であること。3債権が弁済期にあること。4占有が不法行為によって始まったものではないこと。この四つだな」
胡桃「それを踏まえたうえで、1から見ていくわよ」
建太郎「1は、どのテキストにも書かれている基本事項だよな。造作の買取請求権は、造作に関して生じた債権であって、建物に関して生じたわけではないから、造作の買取請求権に基づいて、建物を留置することはできない」
胡桃「そうね。誰でもわかる選択肢だわね。2はどうかしら?」
建太郎「うーん。これは見たことないよな。判例なのかな?」
胡桃「知らなかったら、どうするべきか自分で考えるのよ」
建太郎「第二の買主が登記を備えてしまった以上、第一の買主は第二の買主に対抗することができないんだよな。民法の百七十七条によって」

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

建太郎「もしも、ここで、第一の買主が建物に留置権を行使できるとしたら、百七十七条の意味がなくないか?だから、建物に留置権を行使することはできない」
胡桃「そうね。百七十七条をしっかり押さえていれば、おかしいなって分かるわね。とりあえず、判例も、売主に対する債務不履行に基づく損害賠償請求権に基づいて、建物に留置権を主張することは許されないとしているわ。知らなかったら、今スグにインプットしてよね」
建太郎「OK」
胡桃「次に、3はどうかしら?」
建太郎「ええっと、賃借人は、賃借物について必要費や有益費を支出したときは、償還請求ができるんだよな」

(賃借人による費用の償還請求)
第六百八条  賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2  賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

※(占有者による費用の償還請求)
第百九十六条  占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
2  占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

建太郎「でも、償還請求をするには、適法な賃貸借契約期間中に支出したものあることが前提になるわけで、債務不履行により解除された後に、支出したとしても、不法に占拠していることになるから、留置権を行使することはできない」
胡桃「そうね。第二百九十五条2項に『前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。』とあるわね。判例も解除された後に必要費や有益費を支出しても、不法に建物を占拠していることになるから、留置権を行使できないとしているわ。ちなみに、留置物を適法に留置している間に、必要費や有益費を支出したらどうなるか分かるかしら?」
建太郎「もちろん償還請求できるんだよな」

(留置権者による費用の償還請求)
第二百九十九条  留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。
2  留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

建太郎「そして、その償還請求権に対しても、留置権を行使できるんだよな」
胡桃「その通りよ。よく問われるから覚えておいてね。4はどうかしら?」
建太郎「ええっと……。建物に関して必要費を支出した場合、留置できるのは、建物であって、敷地ではないよな」
胡桃「判例も、4のようなケースで建物の敷地を留置する権利は認められないとしているわ。というわけで答えは?」
建太郎「4だね」



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