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ライトノベル小説で学ぶ宅建士(宅地建物取引士、旧:宅地建物取引主任者)試験 過去問版 作者:大滝七夕

権利関係ステージ1

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宅建士試験過去問 権利関係 代理 1-8 平成14年 解説


建太郎「錯誤の問題であることは分かるよ」

(錯誤)
第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

建太郎「ただこの選択肢では、錯誤に陥ったのは、本人じゃなくて代理人。この場合、錯誤無効を主張できるのかという問題だよね」
胡桃「そうね。民法にはこうあるわね」

(代理行為の瑕疵)
第百一条  意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2  特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

胡桃「まどろっこしくて、読みづらいかもしれないけど、1項の条文にある通り、錯誤無効が問題になる時は、本人が錯誤に陥ったかではなく、代理人が錯誤に陥っているかどうかで判断するということね。どうしてかは分かるわね?」
建太郎「まあ、当たり前のことじゃないかな。代理人というのは、本人に成り代わって法律行為をしているわけだから、錯誤無効の問題も、代理人が錯誤に陥ったかどうかで、判断すべきということだろう」
胡桃「まあそういうことだわね。次行くわよ」
建太郎「2は、表見代理が成立するかどうかの問題だよね?」
胡桃「そうよ。表見代理がどういう制度か分かるわね?」
建太郎「代理権限がないのに代理人が法律行為をしているということで、原則として無権代理だけど、相手方が代理権限があると信じて、そのことに正当な理由がある場合は、そう信じた相手方を保護するために、代理行為を有効なものとして本人に効果を帰属させようという制度だよね?」
胡桃「正当な理由がある場合というのはどういう意味か分かるかしら?」
建太郎「つまり、相手方が善意・無過失だったということだよね」
胡桃「そうよ。じゃあ、表見代理には三つの類型があったけど、覚えているかしら?」
建太郎「ええっと……。
1、代理権がないのに代理権限を与えたと表示した場合。つまり、代理権授与の表示による表見代理。
2、代理権は与えたけど、越権している場合。権限外の行為の表見代理。
3、代理権が消滅した後も代理行為をしている場合。代理権消滅後の表見代理」

(代理権授与の表示による表見代理)
第百九条  第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

(権限外の行為の表見代理)
第百十条  前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

(代理権消滅後の表見代理)
第百十二条  代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

胡桃「そうね。2の事例は、どれに当たるか分かるわね?」
建太郎「担保として借金することしか頼んでいないのに、土地売却の代理権があると信じた。つまり、越権しているわけだね。権限外の行為の表見代理じゃないかな」
胡桃「そうよ。それが分かれば、正誤は判断できるわね。次行くわよ」
建太郎「3は、難しい選択肢だな。本人が未成年で、代理人は成年……。未成年者でも代理人になれるという話かと思ったら違うんだよな」

(代理人の行為能力)
第百二条  代理人は、行為能力者であることを要しない。

建太郎「とりあえず、代理人が成年者で正常な判断ができるなら問題ないよな。選択肢1みたいにさあ……。つまり、代理人が成年者である以上、未成年取消は主張できないと」
胡桃「そういうふうに考えて、この選択肢は正しいと思ってしまう人もいるかもしれないわね。でもこの選択肢は、一見すると代理行為の問題のように見えて、実は、未成年者が法定代理人の同意を得ないで、土地を売却してしまいましたという問題なのよ」

(未成年者の法律行為)
第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2  前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3  第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

胡桃「具体的なストーリーで考えてみれば簡単よ。この選択肢では、要するに子供が勝手に不動産屋さんに赴いて、『おじさん、僕の土地を売ってよ。おじさんに土地を売る代理権限を与えるよ』と言っているわけよ」
建太郎「あっ……。なるほど、そう考えれば、未成年者が親の同意もなしに勝手に土地を売ってしまったということになるな。代理人が成年しているかどうかは関係ないわけだ」
胡桃「そうよ。数学みたいにABCの記号だけで考えていると、こういう問題の時に、誤った判断をしてしまうこともあるのよね。法律は実世界で機能しているものなんだから、分からなくなったら、具体的な人間をイメージしてドラマを作ってみるといいのよ。そうすればおかしいって分かるわ。そういう意味で『小説で学ぶ』って、役立つと思うのよね」
建太郎「さりげない宣伝だね(苦笑)」
胡桃「次行くわよ。4は?」
建太郎「これはなんだろう……。代理行為が問題になっているというよりも、二重売買の対抗要件の問題じゃないか?」

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

胡桃「そうね。B所有の土地に関して、二つの売買契約が発生してしまっているわけね。まず、Bが自らDに売却した行為は、何の問題もなく有効であることは分かるわね」
建太郎「ああ。分かるよ。それに対して、AB間の売買は、無権代理だから無効。ただ、本人が追認すれば有効だということだよね」

(無権代理)
第百十三条  代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2  追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

胡桃「この選択肢でも追認しているからには、一応、有効になるわけね。追認するとどんな効果が生じるか分かるわね」
建太郎「遡及的に有効になるんだよね。民法の……」

(無権代理行為の追認)
第百十六条  追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

建太郎「そうなると、どちらの契約も有効になって、二重売買の買主の関係になるけど、既に登記を備えているDに対して、土地を引き渡せとは言えないわけだ」
胡桃「そうよ。以上で正解がどれか分かるわね?」
建太郎「1だね」
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ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1
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