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ライトノベル小説で学ぶ宅建士(宅地建物取引士、旧:宅地建物取引主任者)試験 過去問版 作者:大滝七夕

権利関係ステージ1

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宅建士試験過去問 権利関係 意思表示 1-6 平成13年 解説


建太郎「地下に予見できない空洞があった……。これって、隠れた瑕疵があったということだよね?」
胡桃「そうよ。よく気づいたわね。隠れた瑕疵があった場合は、買主としては、何が主張できるかしら?」
建太郎「ええっと……、民法の……」

(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

建太郎「つまり、買主が善意・無過失だったら、契約解除と損害賠償請求ができる。権利行使期間――除斥期間は、買主が事実を知った時から一年以内」
胡桃「その通りね。1のようなケースでももちろん、瑕疵担保責任を追及できるわけだけど、この問題では、『売買契約は錯誤によって無効であると主張できる』と記されているわね」
建太郎「っていうことはこの選択肢は間違いか?錯誤無効じゃなくて、瑕疵担保責任を追及すべきってことかな?」
胡桃「でも、住宅を立てる予定で買ったのに、空洞があって巨額の費用が必要だと判明したということは、『法律行為の要素に錯誤があった』ということもできるわね。つまり、錯誤無効を主張することもできそうだということよ」

(錯誤)
第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

建太郎「言われて見ればその通りかもしれないな……。ってことは、1のようなケースでは、錯誤無効を主張することも瑕疵担保責任を追及することもできるってこと?」
胡桃「そうなのよ。どちらも主張できるのよね。ここからは、宅建レベルを超える話になるけど、その場合どちらを主張するべきかが論点になっているのよね。司法書士や司法試験を受けるならば、判例と学説を押さえる必要があるわ」
建太郎「とりあえず、どっちを主張するべきか教えて」
胡桃「どっちを主張したらBにとって有利になると思うかしら?」
建太郎「ええっと……。錯誤無効かな?」
胡桃「どうしてそう思うの?説明してみて」
建太郎「まず、錯誤無効は、表意者に重大な過失がない限り、主張できる。それに対して、瑕疵担保責任の追及は、買主が善意・無過失の場合だけに限られる。錯誤無効の方が主張しやすいね」
胡桃「他には?」
建太郎「除斥期間の問題だ。瑕疵担保責任は事実を知った時から一年以内しか追及できないけど、錯誤無効は、そんな制限がない。やっぱり、錯誤無効の方が主張しやすい」
胡桃「そうね。他には?」
建太郎「ええっと。無効と契約解除の関係じゃないかな。錯誤無効は文字通り無効だから、最初から無効ということになるけど、瑕疵担保責任の追及は、いったん有効に成立した契約を後で契約解除するわけだから、やはり、錯誤無効の方が主張しやすい」
胡桃「そうね。そういうこともあるから、Bにとっては錯誤無効の方が、主張しやすいということになるわね。判例でも、契約の要素に錯誤があるときは、瑕疵担保責任の適用はないとして、錯誤優先する旨が示されているわ。学説上の分類では錯誤優先説ということになるわね。とりあえず、こういう話があるということを押さえておいてね」
建太郎「錯誤優先説ね。ということは、1の場合は錯誤無効を主張できると」
胡桃「主張できるというよりも、錯誤無効ならば、最初から無効のはず。有効に成立した契約を瑕疵担保責任の追及によって取り消すというのはおかしいという考えなのよ。主張できるじゃなくて、主張すべきなのね」
建太郎「とりあえず、1は正しいということだね」
胡桃「そうね。この学説を知らないと、判断に迷うかもしれないけど、次の選択肢が簡単だから、正答は導き出せるはずよ」
建太郎「ええっと……。2は、第三者が錯誤無効を主張できるかという問題だね」
胡桃「そうよ。説明してみて」
建太郎「無効ということだから、取消みたいに取消権者が制限されているわけじゃなくて、誰でも主張することができる。でも、錯誤無効は、取消的無効と言って、無効を主張できるのは表意者に限られている」
胡桃「そうよ。でも例外があったわね」
建太郎「相手方や第三者が債権を保全するために必要な場合は、代位して錯誤無効の主張ができる。尤も、表意者自身が錯誤を認めていることが前提になる」
胡桃「2のケースでは、どうかしら?」
建太郎「『Bがその錯誤を認めず』とあるから、相手方や第三者が代位することは不可能。たとえ、債権を保全するために必要だったとしても」
胡桃「そういうことになるわね。じゃあ、3はどうかしら?」
建太郎「これは動機の錯誤の問題だよね。動機は表示された場合に限り、法律行為の要素になって、錯誤無効を主張することができる。3のケースでは、『今なら課税されないと信じていたが、これをBに話さないで売却した』とあるから、動機は表示されていないから、Aは、動機の錯誤を主張することができない」
胡桃「そうね。じゃあ、4はどうかしら?」
建太郎「これは条文をそのまま問う出題だね。第九十五条の但し書以下『ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。』ってあるけど、まさに4のような場合だね」
胡桃「そういうわけで、正解はどれかしら?」
建太郎「2だね」

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 宅建士(宅地建物取引士)資格試験の基本テキストです。

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ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1
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