第1羽:森の奥で・・・
「なんか、最近やたらと襲ってくるわねー。」
ティアが闇の消えた後を見ながら言った。
「仕方ないさ、俺達が邪魔なんだろ。」
エンは辺りを見回しながら言った。
世界は守護獣が居なくなった今、闇で溢れてしまった。
そして、その闇を裏で退治し抑制する役割を持つ、国の秘密組織。
そこからエンは、悪用される事を恐れて逃げ出して来たのだ。
ティアとは、逃げる途中で出会った。ティアもエンと同じ守護獣の力を持った守護者で、その特別な力を悪用されるところだったのだ。
「しっかし、随分と奥まで来ちまったなぁ。」
エンはふーっと、ため息をついて空を見上げた。空はまだ明るかったが、森の中に居るので辺りは薄暗かった。
「そうねー。」
ティアが何故かエンの方を見ないで言った。
守護獣が居ない今は何処も彼処も危険だらけで、守護者である自分達が襲われるのは当たり前になってきていた。
「それもこれも、誰かさんが闇を見て逃げださなければねぇ・・・。」
ティアの方を見ずにエンはわざとらしくため息をついた。
「うっ・・・。
し、仕方ないでしょうが、ネズミって汚いんだから。」
微かに動揺しながら言うティアにエンは最後の追い討ちをかける。
「ネズミが怖いのか?」
「・・・・・。」
途端にティアは何も言えなくなって黙ってしまった。
「ところで・・・、」
「何?」
エンの言葉にティアはすねて冷たく言った。
「・・・ここどこだ?」
一瞬の沈黙。
「・・・・・え?もしかして、迷子?」
ティアがそう言った瞬間、風が虚しく二人の前を通って行った。
「えっ。ど、どうしよう。」
「落ち着けって、ティア。死ぬわけじゃないだろ。」
やけに落ち着いたエンの言葉に、少しは落ち着きを取り戻すティア。
「そんなこと言われても・・・。」
「大丈夫だ、ここからは出られるって。」
「ホントにー?」
疑わしげにティアが言うとエンは自信ありげに笑った。
「ああ、出られる。だが、」
「だが?」
「敵に見つかるかもしれないんだけどな。」
「敵?闇に?」
「いや、違う。たぶん、人間だ。」
そう言うとエンは立ち上がった。
「もしかして、追手・・・?」
そう言うとティアも立ち上がる。
ガサッ
「「!!」」
音が後ろから聞こえた。
「あーあ、もう見つかったか。」
エンは残念そうにそう言うと自分の魔力で作りだした大剣、『風斬羽』を構えた。
ガササッ
「・・・・。」
そして、茂みから出てきたのは、長い金髪の少年だった。
それを見た瞬間エンは動きを止めた。
「!?、お前は・・・。」 |