第17羽:エン探してます
「エン・・・。」
エンの姿が完全に夜の闇に消えた時、ティアは弱々しく呟いた。
(エン・・・どうして・・・?)
何故逃げ出したのだろうかと、ティアは思考を廻らせて考えていた。
「迂闊でした・・・。」
手を額にあててヒサメがぼそりと呟いた。その声にティアが、ヒサメを見る。
ヒサメはティアを見て言った。
「エンくんは、船が苦手なんですよ・・・。」
「・・・え?」
(それだけの理由で?)
ティアの目が点になった。
ティアの心情を読み取ったのか、ヒサメはエンが消えた辺りを見て、
「そういう、子なんですよ・・・。」
と、まるで、親のようなことを言った。
*
「へー、」
一方、エンはというと―、
「――っくしょい!」
どこかの路地裏でくしゃみをしていた。
エンは鼻をすすりながら、辺りの様子を確認した。
「・・・・。」
辺りには、猫一匹も居ない。エンは、ふーっ、とため息をついた。
(今んとこは、誰もいねぇな・・・。けど、いつまでもつのやら・・・。)
エンは壁に寄りかかって座り、天を仰いだ。
月がエンを照らしていた。
*
「エンー。どこー?」
ティアはエンの名前を必死に呼んでいるが、エンは出てくる気配がない。
いや、もしかしたら、もう、この町には居ないのかもしれないのだ。
「そんなに、船に乗るのが嫌なのかな・・・。」
そう考えると、ティアはなんだか馬鹿馬鹿しくなってきたのだった。
そして、エンを探しているティア達を見る影が一つ――。
「・・・・。」
一人、民家の屋根の上に立っているのは青い髪の少女―、リラ。
その感情のない目が見るのは・・・。
青い髪の少女、リラは、踵を返して夜の町へと消えて行った。
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