第14羽:敵襲
「一体、どーなってんだ!?」
「知らないわよっ!」
迫って来た組織の魔士に当て身をくらわせてながら言うエンに、ティアは少し離れた場所を走しりながらエンに向って怒鳴った。
知りたいのはティアも同じだった、こんなにも早く組織の人間に見つかるとは思ってもみなかったからだ。誰かに見つかったのだとしか思えない。
(でも、どこから?)
エンがまた組織の魔士に当て身をくらわせた。「ぐっ」という呻き声と共に、魔士が倒れる。
「きゃっ」
ティアは危うく魔士を踏んずけるところだった。
どうやら、考えている暇はなさそうである。
「キリがねぇな・・・。」
十人ぐらいの魔士を倒してからエンがぼそりと言う、ティアはハッとなってエンを見る。エンが何をしようとしているのか分かったからだ。
多分、エンは森の中で迷ったときにも同じ事を考えていたはずだ。
(エンは守護獣の力を使おうとしているの・・・?)
「ダメよ!」
ティアが叫ぶ。
「いくらなんでも危険すぎるわ!敵が飛び道具を使えたらどうするの?!それに・・・。」
そこでティアは言葉を途切れさせ、うつむいた。エンはティアを見る。
そして、ため息をついた。
「わーかったよ、今は使わねぇって」
その言葉にティアが顔を上げた。
「ほんとに?ほんとーに、しばらく使わない?」
「ああ、本当にしばらくは――・・。
って、ちょっと待て。しばらくってなんだ。当分は使うなって言うのか?」
苦笑いをしながら言うエンに、しかし、ティアは満面の笑みで「うん♪」と、言った。
「いやいやいや、無理だって。戦闘のときはたまに使うから」
「ダメ」
「いや、でも」
「ダメ」
「・・・・。」
もはや、なにも言えなくなるエン。それに対して、ティアは勝ち誇った顔をしている。
(ティアが居ない時に使おう・・・。そんな日があればの話だが。)
エンがそんな事を考えていると、突然、声がした。
「それは困りますね。使うときに使ってくれないと」
「「!?」」
聞き覚えのある声にエンの足が止まる。屋根の上から黒髪の青年が降りてきた。
「ヒサメ!?」
エン達の前に突如姿を現したのはヒサメだった。呼び捨てしてしまったが、大丈夫だろう。
(いつのまに・・・!?)
身構えるエンとティア。それに対して、ヒサメは余裕たっぷりにエン達に歩み寄る。その手には普通の槍が握られていた。
「どうやら、みんなやられちゃったみたいだね。さすが、エン君」
「その『エン君』って言うの、やめてくれます?」
一応、敬語を使うエン。後ろでティアが大笑いしている。
(あとで覚えてろよ・・・・。)
何やら決意を固めるエン。ティアはまだ笑っている。
(かといって振り向くわけにはいかないし・・・。)
「エ、『エン君』だって、キャハハハ」
・・・・・・・・・・プチッ
*
「!?」
ヒサメは突然、足を止めた。なんだかこれ以上近づくと危なそうな気配をエンから感じる。
エンのバックには怒りのオーラが出ていた。
(近づけない・・・。)
ヒサメから余裕の表情が消えた。
(これは、一筋縄じゃいきませんね・・・。)
何やら、勘違いしてヒサメはその場で足を止めた。
*
「お、落ち着いてよ、エン」
さすがに、堪忍袋の尾が切れたのか、エンからすさまじい怒りのオーラが出ている。ティアが慌てて声をかけるが、エンには届いてないようだ。
しかし、幸いなことに怒りの矛先は、ヒサメへと向けられている。
(ちょっと、言い過ぎたかなー?・・・。)
ちょっとだけ反省するティアだった。 |