第11羽:只今バイト中
「空が、青いな・・・。」
エンは、ラントの町近くの東の森で一人、呟いた。
――闇の大群に囲まれながら。
「・・・なんでこーなるんだ?」
赤毛の少年、エンは約二十匹を超える闇の大群に囲まれながら一人で呟くのだった。
事の起こりは、エン達が金稼ぎのために仕事の依頼を引き受けたことだった。依頼主はラントの町近くの森に住む、きこりの爺さんだったが、こんな大群が出るとは聞いていなかった。
あらかじめ、爺さんに闇がよく出る場所を聞き、ティアをジジイの家に置いて来て調査に来たが、そこでいきなり闇の大群に出くわした。
(くっそー、あのジジイ、あとで依頼金額、上乗せしてやる・・・。)
固い決意をして、エンは迫り来る闇を薙ぎ払った。
*
「お帰りー。って、どうしたのエン?」
すっかり日も暮れた頃、精神的にも、体力的にもボロボロになったエンを待っていたのは、ティアだった。
「つ、疲れた・・・。」
ジジイの家の玄関で、倒れたままエンは言った。
「なんじゃ、若い者が情けない」
依頼主の爺さんがエンを見下ろしながら言った。
(なんだと、このくそジジイ。人の苦労も知らないで威張りやがって。)
心の中で悪態をつくエン。
「まあ良かろう、その様子じゃと退治してきたんじゃろうからな。」
なにやら、タンスの中をゴソゴソやっている爺さんの後ろ姿にエンはもう一回、悪態をついた。
(このクソジジイィィィ・・・!)
*
「この間の三頭犬といい、今日の闇といい、なーんか変だよなぁ・・・。」
爺さんの家を出て、ラントの町に戻る途中でエンは、ボソッと疑問を口にした。
「何が?」
エンとは違い、軽い足取りで先を歩いていたティアは振り返った。
「今日の闇は爺さんが言った数とは違ってたし、三頭犬は背中から触手みてーのが出てたが、今思えばありゃ人の手だな。」
「人の手ぇ!?」
突然の事実発覚にティアは驚いた声をあげた。
「まあ、何にせよ簡単にはいかねえだろうなぁ・・・。」
「そうだけど、人の手って・・・。あの三頭犬、人を何人取り込んだのよ!?」
「さあ?四、五人じゃねえのか?」
「・・・。」
さらりと、とんでもない事を言うエンに呆然とするティア。
そんな事もおかまい無しにエンは歩き続け、そして足を止めた。
「まさか・・・?!」
エンは驚愕の表情で呟いた。
そして、突然反対方向に走り出した。
「エン?!」
「ティア、走れ!」
慌ててあとを追うティア。ティアはエンに追いつくと話しかけた。
「どうしたの?!」
エンは振り返り、そして言った。
「組織の奴等だ!」
「えーーっ!?」 |