第10羽:エンの手配書
「あー、ちょっと君達。どいてくれんかね?」
呆然と手配書を見てたエン達は慌てて、後ろに居た大剣を背負っている旅人の男性に道をあけた。
旅人は『怪物退治!強者募集中!』と書いてある紙や、大根の安売り紙を見たあと、エンの手配書に目を通した。
「ほーん・・・【南の鳥】ねぇ・・・。
隣の大陸の組織が一体全体、なんでこんな奴を探してんだ?」
顎を擦りながら不思議そうに言う旅人を、エン達は冷や汗たらたらで見ていた。
「なあ、お嬢ちゃん、あんたはどう思う?」
「えっ?!」
大根の安売りチラシを見ていたティアはいきなり話を振られて動揺した。
どう答えていいのか分からず、ティアはエンの方を振り返った。
「・・・・・・・。」
エンは大根安売りのチラシを見て、他人のフリをしている。仕方なしにティアは、
「えと・・、よく分かんない・・。」
と、答えた。
すると旅人は―、
「だよなぁ・・・。」
と、腕を組んで頷いた。どうやら納得してくれたようなので、エン達はそそくさと、さりげなくその場を後にした。
*
次の日、とある安宿でエン達は朝食をとっていた。
昨日の旅人の男性から逃げた後、色々な酒場などで情報を集め――。
この、訳ありな客も泊めてくれる親切な宿に泊まったのだった。エンは手配書のことを気にしていたが、手配書を破るわけにもいかないので、なんだか機嫌が悪い。
「ねえ、今日はどこ行くの?」
野菜スープを飲みながらティアはエンに聞いてみた。エンは、フォークでプチトマトを刺し、口に入れて飲み込んでから、
「どっか。」
と、身も蓋もなく答えた。
「・・・・・。」
露骨に呆れているティアにエンは、
「しょうがないだろ。情報が中々、集まんねーんだから。」
「だからって、そんな答え方はないでしょ」
スープを一口すすりながら、ティアは言った。
朝食を食べ終わったエンは、大きく背伸びをした。
「とりあえず金もあんましないから、バイトでもすっか。」
「えーー・・・。」
いきなりそう決めたエンに、ティアは不満の声を上げた。 |