企み
「“災厄の歌姫”だと!」
何故絶滅した筈の魔物が2体もいるんだ!
「歌いなさい。」
女が命じるとラエティティア達は美しい歌声で歌い始める。
「壁が消えた!?」
ポニーテールが驚いた顔をして叫ぶ。
次の瞬間、彼女は女に首に手刀を打ち込まれて気を失った。
「ポニーっ!!」
ロングヘアが女に向けて糸を振るうが、女は災厄の歌姫ラエティティアの歌に合わすて踊るようにそれを避けてロングヘアへ近づいていく。
「うあぁぁぁっ!!」
パニック状態になり攻撃が一層激しくなるが女はどんどん距離を縮めていく。
そして、
トスッ…
ロングヘアの胸に片刃の剣が突き刺さる。
それと同時に私の胸からも腕が生える。
「がは…」
痛い…苦しい…
鉄の味が口に広がり、喉から液体が逆流する感覚がする。
「部下が襲われているのに余所見とは、使えない指揮官だな役立たず。」
後ろから男の声がして周りを見る。
私の周りには部下達の死体と“白い悪魔”で埋め尽くされていた。
ああ…そういえば可憐聖歌隊ばかり見ていて…
“部下達を見てなかった。”
そして、私は黒い炎に包まれた。
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「司祭様! 可憐聖歌隊がやられたそうです!」
「何だと!?」
どうなっているんだいったい!
“白い悪魔”が突然現れ、黒い炎が街を燃やし、可憐聖歌隊が戦闘不能になる。
「門が開いて魔物が侵入しました!」
「兵士達はどうした!?」
「殆どが城内に退避して、魔物が城内に入らないように入り口を塞いでます。」
「帝都への連絡は?」
「それが、“白い巨人”に襲われているらしく応援は出せないと…」
白い巨人だと!?
何なんだいったい。
「白い巨人か…調べたいな…」
白衣を着たDr.ルーナがやってくる。
「お前の“人造人間”がやられたみたいだぞ…」
「そうみたいだな。」
使えない奴だな。
昼間は使えると思っていた可憐聖歌隊はどうやら失敗作みたいだ。
どうする“アレ”を使うか?
今ここで死ぬ訳にはいかん、“テスト”として使うとするか。
「Dr.ルーナ“例の計画”を発動させろ。」
「はいよ。」
Dr.ルーナは返事をすると踵を返して歩いていく。
“アレ”を持っているのがバレないように奴も後で消すか…
私は今後の事を考えながら再び作業へ戻った。