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二ノ宮高校野球部奮闘記
作:S.S



第6話 入部試験?


野球部が活動を開始してから1週間が経った。
先週はとにかく走りまくった。
俺は先週1週間だけでこのグランドを何周したのだろうか。
もはや分からないし、思い出したくもない。

さて、今日もまた走ろうかと着替えてグランドに出る。
他の部員達はまだ来てないようだ。
来るまで壁当てでもしてようとグローブとボールをバックから取り出しバックネットに向かってボールを投げた。
ボールはポーンと跳ね返りこちらに戻ってくる。
それを捕っては投げをしばらく繰り返しているうちにベンチの近くにうちの部員のかわりに女子が集まってきているのが目に入った。
何事だろうと投げるのを止め俺はベンチの方を眺めた。
するとその中にうちのクラスの女子が何人かいるのに気がついた。


「これって何かの集まりなん?」

俺はベンチの近くまで行き、女子に聞いてみた。
するとその女子は、

「うん。今日入部試験があるんよ」

と答えた。
入部試験?と俺が問い返すと今度は隣にいた子が、

「そう。何か今回野球部のマネージャーになりたいって子が多かったらしくて、監督がテストをして3人だけ選ぶんだって」


野球名門校で選手として入部する奴を入部試験でふるいにかけるのなら聞いたことがあるが、マネージャーの入部試験するなんて聞いたことがない。
まあ確かにあんまりたくさんいても邪魔だが、別に試験なんて大げさのものしなくてもいいのにと思いつつ、その子には試験頑張れよと声をかけてベンチを離れた。

しばらくすると男子達は全員集まりいつものようにアップを始めた。
俺は走りながらそれとなくベンチの方を見ると、監督が出てきてなにやら話している。
何をさせるんだろうと考えていると横にいた鳥越が、

「あれ何やってんだ?」

と聞いてきた。

「あぁ、うちのマネージャーになりたいって奴らだ。あまりに数が多いから入部試験やるんだってさ」

と答えてやった。
すると鳥越は

「へぇ〜。マネージャーになりたいって人そんなにいるんだ。ってかさ、別に全員してやれば良くない?俺からすればいっぱいいたほうが華があっていいんだけどな」

と少し残念そうに言う。
まぁ、分からんでもないがそれで部活がグダグダになっても困る。
第一うちの学校はただでさえ女子が多いのに、その上部活でまでたくさんの女子と顔をつきあわせるようになると正直言って疲れるし。


アップを済ませてベンチに戻ると監督は俺らに、

「よし。アップは終わったようじゃな。お前達はいつものように走りこみじゃ。走り終わったら10分休憩して筋トレをするようにな」

といつもどうりのメニューを告げる。
今日も走りこみと筋トレで終わりか。
おそらくほぼ全員がこんなふうに退屈に思っただろう。
しかししばらくの辛抱だと俺達は走り始めた。

俺は走りながらベンチのほうを見てみた。
どうやら試験が始まったようだ。
なにやら全員がベンチなどに腰掛一生懸命手を動かしている。

「何やっとんかね?」

村西が後ろから声をかけてきた。

「さあな。何か細々こまごましたことやってるみたいだけどさ」

と返した。

「なんか裁縫道具みたいなもんが見えるぞ」

後藤が言う。

「裁縫道具?雑巾でも縫ってんのよ」

と小林。
すると桜井が控えめな声で

「ボール縫ってんじゃないですかね?ベンチの近くに古いボールが入ったケースがありましたし…」

と言った。
この桜井の発言で全員があぁ、なるほどなと納得した。
古くなった硬球は縫い目が切れてしまう。
切れたままでは使えないし、かといって捨てるわけにもいかない。
そこでマネージャーとかがそのボールを縫うのだ。
そういえば古いボールが大量に入った箱が部室にあったな。

「ご苦労なことだな。俺ああいう細かいのとか絶対無理だし」

辻が言う。
まぁ確かにこいつは無理そうな感じだ。
結構派手好きのようだし。


女子達は結局俺達が筋トレを終わるまで縫い続けていた。
終わったあとの女子たちの顔を見ると疲れきった顔をしている。
ほんとよくこんなもんずっとやったなと感心した。

そして晴れて入部試験に合格した3人が発表されたのは次の日のことだった。


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