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親善測量航海 2
海と言うのは解らない。
地球上の生物は全て海から生まれた。
これだけでも凄い。
しかし、海は時として自然の猛威を見せる時もある。津波は自らが生み出したはずの生物に襲い掛かる。
そして、海には不気味で不思議な話にも事欠かない。今回の作品は、そんな不気味で不思議な話の1つである。



その報告が入ったのは昼食が終わって一時間後の事だった。
念のため、前路哨戒と言う事で薩摩・土佐から零水観を、戦鷹・勇鷹から九七艦攻を発進させ哨戒に当たらせていた。
報告は、土佐の零水観からであった。
そして、その報告とは……

福田
「軍艦が漂着しているだって!?」

ジント
「はい。」

マリーダ
「何かの見間違いじゃあないの? まあ、商船と軍艦の見間違いは有り得ないと思うけど。」

ジント
「実は気になる事が1つ。艦のシルエットが古いそうです。偵察員の話では、三笠とか、日進とかに印象が似ているそうです。」

福本
「……ま、議論してても何もならないし、調べに行きますか。」



旧エステロール王国近海の海域には、島や群島が多い。
そして、そのほとんどが未調査だ。
一部の島には小規模ながら調査隊が派遣され、調査が行われたが、無人島かどうかの調査であり、島の面積や水深などの本格的な調査はなされていない。
だからどこに何があるかさえもほとんど解らない。
今回の親善測量航海の目的の1つであった。



報告を受け、進路を『謎の軍艦』が発見された島に向かった。
そして、一時間後……



遠地
「う〜ん、案外大きい島だな。」

千歳
「そう言う事じゃあ無いでしょう…。」

福本
「……ふむ、後ろ姿だが確かに明治時代の海軍艦艇のシルエットだな…。」

マリーダ
「で、どうするの? 上陸して調べる?」

福本
「そうだな。上陸して調べよう。で、人選だが……」
福田
「先輩! 自分も連れてって下さい!」

福本
「……残念だが福田、今回君は留守番だ。」

福田
「せ、せんぱ〜い〜!」

福本
「人選だが、俺とマリーダ、遠地、千歳、神童、クレア、ヴィル、アリソン、そして、艦魂達を連れて行く。」

遠地
「艦魂もか?」

福本
「相手は軍艦。なら艦魂を同行させた方が、何かと役に立つ。」



用意が整った8人と艦魂達は内火艇に……あれ?

福本
「予想はしていましたが……付いて来るんですか?」

シャルロット
「うん、もちろん♪」

マリーダ
「あのね〜、遠足に行くんじゃあ無いんだからね。」

ウェールズ
「大丈夫です。シャルは私が守ります。」

遠地
「……そう言う問題でもないんですけど…。」



島は丸形、湾があり、形は半月形であった。
しかし、湾は海流の関係か、渦潮が発生しており、湾への上陸は無理と判断、湾の左端に上陸。
海岸に沿って歩いて行き、『謎の軍艦』に向かった。



ヴィル
「これ……ですか。」

アリソン
「これね…。」

彼らの前には確かに軍艦があった。
しかし、長年放置されていた為か、塗装が剥げたり、苔が付着したりしている。
遠地
「こりゃ〜、放置されて1,2年とかの話じゃあないな。」

千歳
「10年…いや、20年以上経過しているわね。」

船尾の方を見ていた福本は苔や錆などでほとんど読めなくなった船名を解読していた。
結局、甲板に上がろうとする間に解読できたのはわずか一文字。
しかし、一文字でも十分だった。
一文字でも、歴史が得意な福本なら、ある確証が出てきたからだ。



甲板に上がった福本達。
もちろん、誰も居ない。

福本
「艦内を検索しましょう。数人一組で行動、検索してください。」

そう言い終わった瞬間……


「誰だ、貴様らは?」

声のした方を振り向くと、そこには1人の少女、もとい艦魂が居た。
格好は福本達が着ている士官服に似ているが、明治の印象を残す士官服だ。
そして、一番の特徴が明治の日本海軍に多かった外国産艦の証である、髪の色。彼女は金髪だった。


「もう一度問う。貴様らは何者だ? 答えなければ……」

そう言って彼女は腰にあるサーベルの柄に手を添える。

福本
「ま、待ってくれ! 自分は日本海軍連合艦隊所属第七艦隊司令長官、福本大介少将です。」

それを聞いた瞬間、その艦魂はサーベルに添えていた手を離し、その場でヘナヘナと膝を付いてしまった。そして、泣きながら……


「やっと……やっと見付けてくれたんですね…。」



一時間後 戦艦薩摩会議室


「先程は失礼した。私は日本海軍巡洋艦畝傍だ。」

遠地
「う、畝傍だって!」

福本
「やはり…そうでしたか…。」

マリーダ
「大介、判ってたの?」

福本
「あぁ、船尾の船名が気になって解読してみたんだ。『う』の文字しか解読出来なかったけど、『う』の平仮名名で錆具合から2,30年以上経過しているとなると、畝傍ぐらいしかないからね。」

千歳
「なるほど…。」

薩摩
「けど、おかしくありませんか? 畝傍が行方不明になったのは南シナ海ですよね。何で正反対のここで見付かるんですか?」

福本
「それは本人に聴きましょう。」

この言葉に全員が畝傍に注目する。

畝傍
「それは……私にも解らない。」

土佐
「解らない?」

畝傍
「あぁ。私は12月3日にシンガポールを出港したんだが、その翌日、嵐に遭遇した。乗組員全員が一致団結して立ち向かったんだが……」

神波
「だが?」

畝傍
「何回目かの大波で、船体が海面から1メートルほど浮き上がったところまでは覚えているんだが……気が付いた時には、私はこの島に居た。艦内を探したが、乗組員は誰も居なかった…。」

ジント
「そんな…、海面から1メートルも浮き上がったのでさえ驚きなのに……」

ラフィール
「気が付いた時には、この島に居て、乗組員が誰も居なかったなんて……。」

ヴィル
「自分は似た様な話を聞いた事がありますが…。」

福本
「俺も聞いた事がある……もしかしたら、海はまだまだ解ってない事だらけなのかも知れないな……。」



その後、畝傍が行方不明になった1886年から今までの54年間の歴史を手短に説明した。

畝傍
「なるほど…私がここに居た間にそんな事が……。」

福本
「はい。今の世界情勢はあなたが発注された時よりも混迷しております。ロシアは共産主義により南進をより一層進め、今はイギリス・フランス・ドイツと戦争中。我が国とも対立しています。アメリカは、中国から手を引いたのに未だに我が国を警戒しております。」

こんな事を話しながら夜はふけていく。



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