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運命は如何に?
バカ息子が率いるのは7機+自分の乗機。
7機はいつもいる取り巻き共。バカ息子と同じ親が政府上役で、将来を約束されたエリート達だ。
余談だが、こう言った人間が督戦隊に入れられ、後ろから後退する味方を撃つ事になる。
しかし、最近は督戦隊が先に狙われ、戦死する確率が高くなっている。
だが、ソ連兵達にとっては後ろから撃ってくる生意気なエリート小僧が居なくなる事に関しては連合軍に感謝しているという皮肉な話である。
さて、余談が長くなってしまったが、バカ息子は取り巻きに追わせた。
つまり、最後の美味しいところを食べる為に、猟犬役を僚機に負わせたのだ。



しかし、そんな事は実戦経験豊富なエカテリーナ・ブダノワ少尉にとってお見通しだった。
何故なら、彼らは実戦経験に乏しい。
確かに彼らはパイロットだが、出撃しても何もしていない。
そう、彼らも地上の督戦隊と同じ、空で戦うパイロットを見張っているに過ぎないのだ。
そのくせ、帰還したら一機撃墜等と報告していた。
もちろん、それは『幻の戦果』だ。
だからこそ、彼らは実戦経験は無い。
その為、彼らは結果的に銃弾をばら蒔いているだけだ。
発射のタイミングも、実戦経験豊富な人間なら簡単にわかってしまう。
しかし、相手は数を頼りに向かってくるから厄介だった。
それを間一髪でヒラリと避ける。
機体は同じだが、腕が違うのだ。
それに、機体なら彼女達の方が精通している。
だから、カティアは回避出来た。
しかし、ずる賢さなら向こうが上だった。

リリヤ
「!カティア!」

エカテリーナ
「!!」

上からの一撃に気付いたリリヤの声に直ぐ様回避する。


『ち、当たれよ!!』

あのバカ息子の声だ。
大体、無線の周波数を変えて無い時点で無能の証明である。


『こんな事ならサロマーティンの野郎みたいに、機体のどっかを弄っとくんだったぜ!』

この本人にとっては何でも無い一言は、聞いている2人にとてつもない衝撃だった。



知っている読者もいるだろうが、リリヤ・リトヴャクは史実でもアレクセイ・サロマーティン大尉と付き合っていた。
ただ、43年に恋人のサロマーティン大尉は事故死、リリヤ、親友のカティアも戦死するのだが、歴史自体が大きく変わっている為、2人は死んでいない。
しかし……アレクセイ・サロマーティン大尉は1944年10月頃、空戦訓練中に事故死した歴史は変わらなかった。
だが…この後、隊内では不気味な噂が囁かれていた。曰く、前々から女性パイロットに対する差別発言が絶えなかったバカ息子にサロマーティン大尉が注意したのを逆恨みし、エンジンを弄って事故死に見せ掛けて殺したのでは無いか……と。
まあ、今も昔も精密機械の塊ではある飛行機は、ネジ1つ緩めておくだけで事故に繋がるから、それほど難しい事では無い。
しかし、戦況の推移が早かった為に、たちまち、消えてしまったのだが………



その噂が本当だと知った瞬間、リリヤもカティアも呆然としてしまった。
しかし、この数秒間の呆然がミスを犯した。


『よし、取った! 墜ちろ!!』

空戦の鉄則の中に、『三秒以上の水平飛行は厳禁』とある。
カティアはその禁忌を犯してしまったのだ!
そして……バカ息子の乗る機から機銃弾が…………






………発射されなかった。いや、逆に……


ドガガガガガガガガ!


ゴワーン!!

上空から急降下して来た戦闘機の20mm機銃が発射した銃弾がコックピットの防風ガラスを叩き割り、バカ息子の頭に直撃。
ガソリンに引火したか、爆散した。



敵は素人だった。
撃つ時は普通警戒する……しかし、敵は敵機撃墜に目がいって疎かになっていた。
あの様子では戦死確定だ…まあ、敬礼する気にも成らないが……

紫音
「世の中は解らないな…杉田」

杉田
「あぁ…紫音」

2人は定時警戒に出ようとした矢先に彩雲から連絡を受けた福本の指示で同じ様に出ようとしていた宮本機、クリス機、ワイズマン機と共に出撃した。
しかも、合流した彩雲は無線傍受機能を持っており、その会話は彩雲のレーダーに映った時から傍受していた。
この無線傍受とレーダー管制により見事に敵の真上に周り込んだ。
その途中、誰もがあの『一言』を聞いていたのである。
そして、杉田が引き金を引いた瞬間、紫音の日本刀による一撃も放たれた。



その後の展開は一方的だった。
あのバカ息子が被弾・爆散してから数分も経たない内に彼らは8機全部を撃墜してしまった。
確かに今はチャンスだった。
しかし……離脱しようにも既に燃料が尽き掛けていた。
これでは海を渡る事も出来ない。
その事を考えている内に……日本軍機が周りを囲んでいた。
前に出ていた一機がバンクを振る。
付いて来いの合図だ。
この時、既にカティアは諦めていた。
いま、このまま戻っても……祖国は何をするか解らない。
ただ……日本軍が何もしないとは思えなかったが……やもおえず、日本機に従った。



次号へ
予告

いよいよ、連合軍はセバストポリ要塞攻略作戦を開始!
陸海空より、鉄の嵐が吹き荒れる!
また、日本軍はスターリングラード攻略作戦を開始しようとしていた……

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