ワルシャワに迫る危機
ワルシャワ市内
福本
「う〜〜! 解らん!!」
さすがの福本も引っ掛かる物が解らないだけに、苛々が溜まり、ついつい叫んでしまう。
頭を掻きながら、ふと、机にあるヨーロッパの地図が目に止まった。
ロンドン、パリ、ベルリン、ワルシャワ……とヨーロッパの首都の名前が書かれている。
そして、パリに目がいった瞬間、ある事を思い出した。
砲術士官である遠地の話を思い出したからだ。
福本
「…そうか…そうかだった! ちくしょうめ、すっかり忘れていたぜ!」
そう言うと慌て部屋を飛び出した。
マリーダ
「!大介!? どうしたの!?」
福本
「マリーダ! やっと解ったんだ! あの『鉄槌』の意味がさ!」
そう言うとマリーダの腕を掴んでスッ飛ばす。
マリーダ
「ちょ……もう、後で何か奢りなさいよ!」
福本
「もちろん!」
ヴィル・フェルデナント
「「列車砲による都市砲撃!!」」
福本
「遠地が前に話していたパリ砲の事を思い出したんだよ。いや〜、まさかそれを失念していたとは…」
マリーダ
「けど…ソ連に列車砲なんてあるの?」
福本
「大砲大好き王国のソ連だ。いくらなんでも、試験的に1門か2門は製作しているかもしるない」
ヴィル
「なら、ドイツ軍のゲーレン大佐の諜報部が何か知っているかも知れませ…ロンメル中将を通じて即急に問い合わせて来ます!」
ヴィルは部屋を飛び出した。
フェルデナント
「列車砲の類いと成りますと、12キロの監視線は無駄ですね」
福本
「まあ、それに関しては仕方がないさ」
マリーダ
「それよりも、疑いのある所を探しましょう」
フェルデナント
「そうですね」
再びあのワルシャワ周辺の地図を机に広げる。
フェルデナント
「ワルシャワ以西と周辺12キロは除くとして……となると東一帯が怪しく成りますね」
福本
「あぁ…ワルシャワを中心に46cm砲の最大射程である40キロの円を書いらどうなる?」
マリーダ
「えーと……こうなるかしら」
そう言うとマリーダが定規で長さを計り、コンパスで周囲40キロの円を書く。
フェルデナント
「いくら地図でも、広範囲に成りますね」
福本
「乾し草の中から針探す…とは、よく言ったもんだよ」
フェルデナント
「しかし…くそ、こんな天気でなければ偵察機を出して、付近を捜索出来るんですが…」
窓から未だに降っている雨を苦々しい顔で見ながら、フェルデナントが言った。
マリーダ
「あら、雨だからソ連軍も安心して作戦を実行しようとしてるんじゃないの?」
福本
「言えてる話だ。雨なら航空機が飛びにくいからな」
フェルデナント
「なら、それはそれで物凄く質が悪いですね」
福本
「元々、スターリンの質が悪いんだ。今更始まった事じゃあ無いさ」
そう言うと地図を見た。
ソ連軍が4年間にどんな準備・装備をしたかによって状況が変わるだけに、慎重に成らざるおえなかった。
その頃……ワルシャワより北東37キロの地点
「同志、準備完了しました!」
「うむ、これより、裏切り者と資本主義者に鉄槌下す! これは同志スターリン大元帥が立案した偉大な作戦である! これに成功すれば我々は英雄だ!」
「「「「「「ウラー!!」」」」」」
「よし! では、これより砲撃を開始する! 砲弾を装填せよ!」
その頃……ワルシャワ市内
ヴィル
「元帥! ドンピシャです!」
福本
「やっぱりあったか!?」
ヴィル
「はい! たまたまワルシャワにゲーレン大佐が来ていて…早速問い合わせたところ、ソ連は1935年頃、艦砲用18cm砲を列車砲にしたTM-1-180列車砲を開発、最大射程は徹甲榴弾で37,8キロとの事です!」
マリーダ
「なら、この東40キロ内の何処かにいる筈ね」
福本
「いや、さっきので大分絞れる。ワルシャワから37キロ以内で、線路があるのは……」
フェルデナント
「…この北東にあるこの線路です!」
福本
「よし、フェルデナント! 直ぐに出せる部隊で線路を捜索する」
フェルデナント
「はい、我々は敵に3日間の猶予を与えてしまいましたからね」
マリーダ
「ちょっと待ってて! 陸戦服取って来るから!」
ヴィル
「自分も狙撃銃を取って来ます!」
陸戦隊が慌ただしく動き出した。
その頃……
ソ連兵1
「砲弾の装填完了!」
ソ連兵2
「砲の仰角修正完了!」
ソ連将校
「わっはっはっは! 裏切り者も資本主義者め、偉大なるスターリン大元帥の鉄槌を受けるがいい! よし、撃…」
ズダーン!
突然の銃声……胸を撃ち抜かれた将校が倒れ、全員がハッと思った瞬間、雨降る視界の向こうからパッパッパッ……と何かが瞬き、ソ連兵を襲った……
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