ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
差し伸べられる救いの手 後編
戦艦薩摩艦橋


士官
「敵編隊接近!」

楠木
「対空戦!撃ち方始め!」

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!タンタンタンタンタン!
タンタンタンタンタン!
ドドドドドドドド!
ドドドドドドドド!

高角砲、40mm機銃、25mm機銃が一斉に射撃される。



空母遠龍

水兵
「敵B25、来まーす!」

白河
「対空火器!撃ち落とせ!」

遠龍に群がらんばかりに接近する敵機。

ドン!ドン!ドン!ドン!タンタンタンタン!
ドドドドドドドド!

そんな敵機に対空火器が火を吹く。

ゴワーン!
ズガーン!

二機のB25が弾幕に捉えられ爆砕された。
回収艦隊の艦艇は、艦の周りが赤く染まっていた。
つまりそれほど対空砲火が強力だった。
下手に近付けばあっという間に爆砕である。
それでも、爆撃隊は回収艦隊に襲い掛かる。

水兵
「B25、爆弾投下!」

白河
「取り舵!回避!」

ヒューウ……

ザバーン!ザバーン!ザバーン!

タンタンタンタンタン!
ドドドドドドドド!

ゴワーン!

水平爆撃を行ったB25が火を吹きながら落ちていく。

白河
「よーし、総員その意気!第七艦隊の恐ろしさ、見せてやりなさい!」



この時、P38を片付けた烈風と紫電改が爆撃隊に襲い掛かった。
只でさえ、彗星や流星に苦戦しているのに、本命の戦闘機に襲われれば堪ったものでは無い。
特に、烈風は脅威であった。
4基の25mm機銃は、頑丈である筈のB17爆撃機をあっという間にジュラルミンの塊に変え、B25の胴体を切断する。
これ以上の爆撃は犠牲を増やすだけだと判断した爆撃隊の指揮官は、エセックスの撃沈を命じた。



その頃エセックスは複雑な気持ちで戦闘を眺めていた。
見た目は、日本軍とアメリカ軍との単純な戦闘ではあるが…中身は複雑だ。
日本軍の中には明らかに元アメリカ艦の姿が見え、爆撃隊と戦っている。
それに、日本軍は自分の事を回収しに来た様で、回避しつつも自分の所に向かって来ている。
それを妨害しようとミッドウェー島基地から爆撃隊が来て爆撃している。
アメリカ軍人としては敵に使われるのは嫌だが、なぜそこまでするのかが解らない。
だが……思考にふける時間はなかった。
何機かのB25、A20がエセックスの所に向かって来た。
エセックスは攻撃を終えて帰るのだろうと思っていたが、自分の手前で爆倉が開いた瞬間、エセックスはなぜ攻撃されるか解らなかった。
まさか、自分の知らない上のところで自分の処分が決まっていたとは思わなかっただろう。
それに自分を守る筈の爆撃隊が攻撃してくるとも思っていながった。

エセックス
「い、い、いやー!来ないで!なんで!?なんで、攻撃するの?!あっち行ってよ!」

しかし、非常にもB25、A20は爆弾を投下する。

カチッ

ヒューウ……

エセックス
「い…いや!嫌よ!死にたく無い!やめて!いやーー!」

この瞬間……彼女の中で…何かが崩壊した……



駆逐艦神波

士官
「敵機、エセックス型に爆弾投下!!」

ヒューウ……

ザバーン!ザバーン!ザバーン!ザバーン!ザバーン!ザバーン!ザバーン!ザバーン!ザバーン!ザバーン!

エセックス型と神波の間を爆撃で出来た水柱が遮る。

神童
「エセックス型は?!」

士官
「待って下さい………だ、大丈夫です!被弾しておりません!」

水柱のカーテンから出てきたのは、先程までと一寸も変わらないエセックス型空母の姿。

神童
「…機関出力最大!このまま直進!全銃砲、銃砲身が焼き付くまで撃ち尽くせ!!」

士官
「了解!!」

この瞬間、神波の速度が1ノット上がった。
つい先程、最大速度で走っていたところに出力最大で速度が上がったのだ。
当然、神波に爆撃機が集中する。
だが……

ダン!ダン!ダン!

ゴワーン!

攻撃の機会を狙い旋回していたB25が神波の1番砲塔の連射に捉えられ撃墜される。

ダダダダダダダ!

カガガ…カガガ!

バキッ!

25mm機銃の弾幕に翼を叩き折られるA20。

士官
「左舷よりB17!スキップボバミングをやる気です!」

神童
「左舷機銃座、B17を狙え!」

神波
「撃て!」

タンタンタンタンタン!
ダダダダダダダ!
ダダダダダダダ!

ビシビシビシビシビシ!
ビシビシビシビシビシ!

ザバーン!

40mm機銃と25mm機銃の集中射撃を受けたB17が波間に突っ込む。
巫女艦長こと神童艦長の指揮か、神波の最古参艦の意地か、乗組員の技量と気迫か、あるいは3つ共かも知れないが、確実に神波はエセックス型に近付いていた。


重巡洋艦畝傍

畝傍
「九鬼艦長、神波が妨害されている。援護したい」

九鬼
「わかりました。小浜?」

小浜
「いけるよ!まかせといて〜」

九鬼
「わかった。弾種3式弾。撃ち方用意」

小浜
「…標準完了。用意よし」

九鬼
「撃て!」

ズドーン!ズドーン!

25,4cm三連装砲が放たれる!

チカッ

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガン!

九鬼
「千賀航海長!進路そのまま、出来るだけ回避運動はせずに」

千賀
「了解」

畝傍
「小浜、砲撃は任せた!」

小浜
「了解!女性砲術長の腕、見せてやろうじゃないの!」



激闘40分…回収艦隊に凱歌が上がった。
300機以上の敵機に襲われたものの目立った被害もなく、逆に200機以上を撃墜し、見事敵爆撃隊を撃退した。



空母エセックス

神童
「じゃあ、艦内検索にあたって」

水兵
「「「「「「了解!」」」」」」

あっという間に水兵達が散らばって行った。

神波
「し、神童さん!」

神童
「どうしたの、神波?!」

神波
「え、えーと……と、とにかく、早く来て下さい!」

神波と急いで防空指揮所に向かうと、そこには……

神童
「あ!ちょ、ちょっと!あなた、大丈夫?!」

そこに倒れていた少女は……大変な事になっていた。まず、青の目は生気を失っており、綺麗だった筈の顔や周りは涙なのか、鼻水なのか、涎なのか解らないが、汚れていた。
そして、虫の息だった。

神童
「神波、タオル出して!」

神波
「は、はい!」

すぐに艦魂の能力でタオルを出すと、神童に渡す。
神童は慣れた手つきで、少女の顔や周りを拭いていく。

エセックス
「ぁ…ぁ…ぁ…」

神童
「気が付いた?!もう大丈夫だから!」

エセックス
「ぁ…あ…な…た…は?」

神童
「私は日本海軍の神童神子。隣にいるのが、私の艦の艦魂の神波」

神波
「あなたの名前は?」

エセックス
「………あ…り…が…と…う……」

少女はそう言うと、意識を失った。

神童
「ちょ、あなた?!」

神波
「……大丈夫です。気を失っただけです」

神童
「そう…良かった」



こうして第七艦隊は空母エセックスの回収に成功した。



次号へ
ご意見ご感想をお待ちしております。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。