ハル・ノート
1943(昭和18)年1月26日
ルーズベルト大統領は日米戦を望んでいる……それが明白になっても、戦争回避に必死だった日本に対し、アメリカ政府は実質的最後通告……後のハル・ノートを突き付けた。
予想はしていたものの、現実を突き付けられた日本政府高官・軍人達の顔には困惑の色が見られた……。
呉軍港 戦艦播磨艦橋
福田
「くそ!」
力任せに壁にパンチをするが……怒りのあまり痛く無い様だ。
遠地
「予想はしていたが……ついに来たか……」
千歳
「この様子だと…開戦は避けられないわね」
新沢
「しかし、許せないのはこの内容です!」
ハル・ノートの内容は簡単にすると下記の通り。
・支那(中国)大陸より陸海空戦力及び警察力の全面撤収。
・支那大陸に保有する日本の権益及び治外法権を放棄する。(つまり日露戦争以前どころか義和団事件以前に戻れと言う事。)
以前よりアメリカが文句を言っていた事に加え……
・太平洋安全保障の為、南洋諸島及び台湾の領土及び権益を放棄する。(これはグアム、フィリピンが近くにある為)
・日本はサブルム帝国、ヴィントラント王国、ダリア・エステロール連合王国に保有する権益を放棄する。
・サブルム帝国、ヴィントラント王国、ダリア・エステロール連合王国等々と結んだ保障(講和)条約を破棄する。
(史実と状況が違う為、ハル・ノートの内容も変化している)
福田
「言えてるな!アメリカお得意の自分の都合を押し付けだ!」
楠木
「いくら何でも、無茶苦茶な要求です!断固拒否すべきです!」
福本
「もちろん、拒否するさ……こちらもアメリカ国民に言いたい事があるからね」
沖田
「福本先輩に…山本長官!」
福本とマリーダの後ろに何時来たのか、山本長官が居た。
山本長官
「諸君も知っているように、アメリカが遂に最後通告を突き付けて来た…無論、我が国は断固拒否する」
福田
「当然です!支那大陸にしろ、台湾にしろ、我が国の先人達が血と涙と汗で掴んだ物…それを何もしていない自己中心のアメリカにやれるものですか!」
ヴィル
「それに、満州を日本が守っているからこそ、ソ連と対等にイギリス・ドイツが戦えています…もしソ連のものになればパワーバランスが崩れ、ユーラシア大陸のほとんどがソ連のものです!」
山本長官
「それも百も承知だ……福本、第七艦隊は出撃可能か?」
福本
「いつでも行けます…なあ、みんな?」
沖田
「航空部隊はいつでも行けます!」
福田
「水雷戦隊、巡洋戦隊共に出撃可能!」
ニーナ
「潜水戦隊全艦、戦闘航行可能です!」
フェルデナント
「陸戦隊、全装備を輸送船に積んでいます!」
楠木
「第一、第二戦隊の士気は最高潮です!」
マリーダ
「山本長官、艦隊の出撃準備は既に完了しています」
山本長官
「……第七艦隊は呉を出港、トラックにて次の指示あるまで臨戦待機を命じる」
「「「「「「了解!!」」」」」」
二時間後……
第七艦隊は呉を出港。それと同時に、日本はハル・ノートを世界中に公開。
同時に明子天皇自ら声明を発表した。
明子天皇
『我が大日本帝国は、明治より常に欧米列強の認可の下、支那大陸にある諸権益及び領土を保有して来ましたが、今回のハル・ノートはアメリカの自分勝手な都合による強引なものであり、日清、日露戦争、第一次大戦で流した英霊の血によって得られた物を放棄する事になります。我が大日本帝国は断固拒否致します!』
この放送を福本達は艦橋で聞いていた。
福本
「いよいよ、退くに引けなくなったな……」
福田
「覚悟のうえです!このままアメリカの言いなりよりましです!」
千歳
「妥協の可能性は低いけど……外交交渉は続けて行くそうよ」
遠地
「ん、陛下の声明が続いている…ちょっと静かにしてくれ、放送が聞こえ無いよ」
明子天皇
『アメリカを含め、全世界の人々にお伝えしたい事が有ります……今回出されましたハル・ノートを起草した人物は財務次官補のハリー・ホワイトですが……諜報部の調査の結果、大統領周辺に居る約300人のソ連共産党スパイの一員で有ることが判明しました!』
「「「「「「な、何だって!!」」」」」」
まさに衝撃の事実!
福田
「せ、先輩は知ってたんですか?」
福本
「スパイの事は知っていた……しかし、300人と言うのは初耳だ」
明子天皇
『これで明白な通り、ルーズベルト大統領はソ連共産党によって…あるいはスターリンによって操られています……平和を望む皆さん、どうか、これ以上の惨劇を防ぎましょう…これが私の願いです!』
次号へ
作者「因みにハル・ノートの起草者がハリー・ホワイトで有り、彼がソ連のスパイだった事は事実です」播磨「証拠は?」作者「1995年にアメリカ中央情報局が公開した『ヴェノナファイル』に書いて有ります。」播磨「……次号は?」作者「140話なのでちょっと特別編を書きます。ですから更新が遅れます。」播磨「それでは、ご意見ご感想をお待ちしております。」
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