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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

吟遊詩人は今日もバフと死を撒き散らす

作者:崖淵紫音
短時間で書いたアレなアレです。
誤字もアレかも知れません。
是非アレしてください。
アレはしないでください。
 サーバー接続注意を示す視界右上の印……タカを模した印がゆっくりと回りはじめた。ゲームを切断されると思ったが、何とか耐えたらしい。

 第一サーバーの接続率を示すタカ印の色は真っ赤。流石は国内の人気VRゲームランキング一位を独占する『ファンタジーア』だ。土曜ともなると昼時でも人が多い。
 今日も色々な人間が各々の思惑で好き勝手に行動しているのだろう。

 始まりの街として知られるここ『オールドローズ』は、攻略組から若葉まで、多種多様な種族のアバターが行き交っている。中世ヨーロッパの世界観を空想と混ぜ合わせて再構築したような街並みで、いかにもファンタジーらしい。
 行き交う人のコスチュームは大体がファンタジーなものだが、現代の服やアニメ、他ゲームなどのコラボで売り出された服を着ている人もいる。課金をすれば自作もできるので、凝った衣装のデザインもまま見受けられる。

 私が現在いる場所は、集合場所によく指定される大噴水。オールドローズの北門寄りにあるオブジェクトだ。
 昔でいう、渋谷のハチ公前みたいな感じだろうか。

 だが、私は別に待ち合わせをしているわけではない。趣味とレベル上げを兼ねてここに居座っていた。

 私は自分のプレイヤーネームをオルフェウスとしている。

 容姿以外の設定を完全なランダムにした結果、メインとサブ両方共、ランダムでしかひけないというレアな職業を引き当てた。
 ステータスまでランダムなので最終的に体力が大変悲惨なことになったが、それはそれでありだろう。

 私の職は歌い手と踊り手。どちらも周囲の敵味方に影響を及ぼす。
 この二つの職を持つ者にしか与えられない『』という称号の効果で、演奏者でないにもかかわらず楽器を一つだけ選んで弾ける。

 私は迷わず琴を選んだ。だからこそオルフェウスだ。種族が長耳族(エルフ)ではなく吸血鬼(メトシェラ)なのが残念ではあるが。

 戦う時はこの竪琴を弾き、或いは振り回してモンスターを肉塊にしている。

 そして暇な時は各街の大噴水前で、竪琴の音と歌によって、様々なバフを広範囲に振りまいている。
 大盛況かどうかは分からないが、今日も大噴水前は待ち合わせする人で溢れていた。

 ゲーム内の晴れやかな朝日を浴びて出血ダメージを受けながら、私は竪琴を弾く。
 ところでさっきから噴水の中より聞こえるこのゴボゴボ音はなんだろうか?





『オルフェウス狂信者の集い』
 ここはオルフェウス様を崇める者達の集まりです。

 Q.オルフェウス様とは誰ですか?
 A.各街の噴水前か上級者向け狩場にランダムで現れる神々しいお方です。
 竪琴と歌、稀に踊りでもって初心者から上級者まで全てをカバーしてくれる神様です。特に基礎体力の固定値上昇は初心者の味方です。オールドローズでお会いできたら、狩りの前にそのふつくしい歌声と演奏が聞ける範囲に行って物陰から『崇拝』しましょう。

 Q.必ず会える場所はありますか?
 A.土曜日のオールドローズ大噴水前を張り込めばお会いすることが可能でしょう。話しかけるとバフ付きの演奏が止まり、周囲のプレイヤーから睨まれるので静かに物陰から『崇拝』しましょう。
 たまにオールドローズ北門にあるカカオを採取している姿がみられます。真後ろで『崇拝』しても気がつかないくらい集中なさっているので狂信者にランクアップするチャンスです。

 Q.オルフェウス様の性別、職、種族は?
 A.性別は男性です。職は使用スキル、バフの効果、ゲーム内の職業調査などから歌い手/踊り手、昼間の出血ダメージなどから種族は吸血鬼と予想されています。
 ゲーム内の職業調査を閲覧すると、歌い手/踊り手の組み合わせを持つ男性アバターはNPC含めても一人なので間違いないでしょう。

 Q.オルフェウス様はプレイヤーですか?
 A.分かりません。
 ゲーム中の人物を判別する方法は今現在、当人に聞く、キルに成功して復活の有無を確認する、ログアウトを見届けるしかありません。オルフェウス様本人にプレイヤーかと聞いた場合悲しそうな顔をされているのでプレイヤー説が有力ですが、はっきりした答えはありませんし、プレイヤーであった場合、あのふつくしい容姿が自前ということになるのでNPC説も捨てきれていません。
 ログアウトに関してはオルフェウス様が確実に宿屋にお泊りになるので確認できません。またキルに関しても、NPCだった場合復活しなかったりと色々取り返しのつかない事になるため実行されてはいけない事です。
 創世記(ゲーム稼働から一周年記念が終わるまでの期間)時代のNPCはアイテムを使用しないという仕様がありましたが、創世記時代のオルフェウス様がプレイヤーの店でアイテムを購入した記録も、戦場で使用したという記録も残っていません。
 大人しく物陰から『崇拝』しましょう。

 Q.セクハラしていい?
 A.絶対に駄目です。
 被害には段階がありますが、高確率で演奏が止まります。

 1.どさくさに紛れてボディタッチ。
 →ボディタッチの度合いによっては声が震える、或いは演奏ミスによりバフ効果が薄くなります。やめましょう。
 2.意識的にボディタッチ。
 →困った顔をしたオルフェウス様が、竪琴を弾きながら場所を移動します。ミスは滅多にありませんが、歌がなくなりバフが薄くなります。座る場所がなかった場合、その場から立ち去る事例も報告されています。やめましょう。
 3.腕を絡ませる、髪をすくなど。
 →驚いた顔をしたオルフェウス様が、そっと逃げようとします。演奏は完全に泊まり、しつこい時は、その日一日演奏が聞けなくなります。やめなさい。
 4.身体を舐める、股間を触る、卑猥な言葉を囁くなど。
 オルフェウス様の恥じらいもしくは怒りの顔が見えた次の瞬間に、竪琴の強スマッシュで頭が吹き飛びます。カウンター無効化などの反則級な自己バブの重ねがけ効果によって凄まじい一撃になりますので、攻略組タンクだろうがラスボス並みの体力だと言っていたゲームマスターをも殺せます。というか殺されてました。
 その後オルフェウス様は普段以上に血塗れのまま演奏再開しますが、一時的に敵対状態になってバフの恩恵がいっさい受けられなる上に精神的に不安になるメロディーが流れます。
 ぜったいにやめなさい。

 Q.なんでダメージ受けてるの? 痛そうだから傘をさしてもいい? or回復かけてもいい?
 A.日の光による炎ダメージだと思われます。
 前者は非推奨行為、後者は絶対にやめましょう。
 出血ダメージをスタミナに変換しているらしく、途中で演奏が止まる事があります。その場合『焼けた鉄の靴』を履き演奏を再開するようです。痛カッコいい。
 初心者がたまに範囲ヒールをかけたりしてオルフェウス様を気絶状態にしていることがあるので注意を促してください。

 Q.『崇拝』って何。
 A.有料スキルの一つです。自らが崇める神を設定して普通のスキルのように使用すると、その神に向かって地面に叩頭しはじめます。プレイヤーでもNPCでもモンスターでも設定可能です。一見ジョークスキルに思えますが、信仰対象が信仰されている人数や『崇拝』熟練度によっては凄まじい効果を得ることができます。
 ただポースを真似ただけでは効果はありませんので、公式ストアから崇拝する権利を買いましょう。

 Q.オルフェウス様を信仰するとどうなるの?
 A.信仰具合によってはすごく強くなります。
 オルフェウス様は『暗闇からの帰還』という復活スキルを、一回限り(一週間で再度かけ直し可能)で発動できるようになる唯一の信仰対象者です。
 スキルを発動できるようになるまでにはそれなりの時間と愛を注ぐ必要がありますが、日頃からオルフェウス様のバフの恩恵を受けている攻略組は大抵が狂信者か隠れ信者です。それだけすごい効果を得られるということなのです。物陰から『崇拝』しましょう。
 因みに、名前に由来する特殊効果を持っているのは限られた信仰対象者だけで、その殆どがストーリー上に名前しか出てこない神様です。

 Q.どうして物陰から崇拝しているのですか?
 A.オルフェウス様の眼前ですると高確率でセクハラレベル4にあたるからです。
 過去に、ほぼ攻略組で構成された狂信者軍団がオルフェウス様の前で一斉に『崇拝』するというイベントを企画したところ、完全武装したオルフェウス様が見たこともない竪琴を取り出し、聞いたことのない演奏がかかったと思ったら奇声(スキルの『奇声』?)を上げながら「その場で崇拝した全員の」頭を吹き飛ばしました。この中には面白がって降臨したゲームマスター二名とアートディレクターのアバターが含まれます。
 それ以来、目の前で『崇拝』すると高確率で頭を吹き飛ばす作業が始まるようになりました。崇拝してもいいか問うた者は死を免れ、尚且つ凄まじいバフを得られるそうですが、どちらにせよ演奏は止まります。

 Q.オルフェウス様は何故、歌い手かつ吸血鬼(魔法攻撃寄り)なのに物理攻撃で敵を殲滅できるんですか?
 A.サブと思われる踊り手は極めれば肉弾戦のエキスパートになれる他、そもそものステータスが隠し成長度を含めて物理攻撃特化である可能性があります。プレイヤーであっても、低確率ながらランダム生成で再現可能です。
 また、オルフェウス様が敵(もしくは罰当たり者)に殴りかかると常時クリティカルの効果音が出ていることから、絶滅危惧種の『クリティカル特化アバター』でしょう。
 オルフェウス様が戦場で奏でるゲームのオープニング曲は物理攻撃のクリティカル率を上げてくれることからも確定です。※オルフェウス様のステータスをシミュレートした結果、体力が初期値以下という大変なことになりました。敵対行動や戦場でのトレイン押し付けは絶対にやめましょう。

 Q.オルフェウス様とパーティーを組みたいor会話してみたいです
 A.戦場で戦っているオルフェウス様にカカオ持参でお声をかけると高確率でパーティー入りを承諾してくださるそうです。
 また、ワールドボスである大カカオイーター討伐に苦戦していると、稀にオルフェウス様が降臨なされてその場にいる人にお声がかかります。無駄に硬い大カカオイーターを一瞬で葬った後、パーティーの狩場までついてきてくださるそうです。
 オルフェウス様はカカオ(現状では調理不可)に目がないようです。

 Q.公式サイトの質問コーナーにずっと質問を送っているのに、オルフェウス様が回答してくれないんだが?
 A.過去に四回、公式生放送の質問コーナーで答えてくださっています。これはゲーム内にいるNPC・PCアバター最多の回答数です。

 Q.演奏コラボしたい……
 A.過去にオルフェウス様の演奏に音を割り込ませた勇者がいます。また、生放送の質問コーナーでは「どうぞ」という回答でしたので、バフの効果を薄めない自信があるのならどうぞ。

 Q.オルフェウス様と結婚したい
 A.処刑台に送ってやろうbyハデッさん


0001-
 オルフェウス様の許可なくおみ脚をペロペロしようとした者には竪琴神の裁きを。
0002-
 ペロペロ
0003-
 れろれろ
0004-
 そんな奴いたの?
0005-
 いた。
0006-
 あーあったねそんなこと
 ゲーム開始の創世記時代だんな
0007-
 あの竪琴で罰当たりを肉塊にした時はびっくりしたわ……
0008-
 かみさまだもの
0009-
 そうねかみさまだものね
0010-
 NPC説浮上したのもその頃だったっけ
0011-
 運営サイドなら即死攻撃しててもおかしくないってんでな
0012-
 いいかげん誰か答えもらってこい
0013-
 だって怖い
0014-
 だってふつくしい
0015-
 もし中身アリならデザイナーズチャイルドだろーなーオルフェウス様
0016-
 ふくつしい
0017-
 日本人離れした日本人の見本みたいな顔ですからぇー
0018-
 肉塊といえば攻略組息してる?
0019-
 ハデスさんは今日も元気に噴水の中で崇拝してるよ
0020-
 戦犯だもの
0021-
 噴水の中かよwww
0022-
 倍率ドンのバフのためならえんやこら
0023-
 その為の水中呼吸
0024-
 いやあの人たちもう極まってるんじゃ?
0025-
 狂信者だしな
0026-
 スライディング叩頭どうやるんですか?
0027-
 まずローラースケートを足につける
0028-
 本当に水の中にいるw
0029-
 そしてスキー板をはめて
0030-
 疾走
0031-
 時計塔から飛び降りる
0032-
 そして裸踊り
0033-
 つまらん
0034-
 剣士系スキルの『疾走』を発動中に『崇拝』するといいよ
0035-
 ミンチになっ……てない
0036-
 危ないなぁ
0037-
 スライディング叩頭はいいのか?
0038-
 ミスったと判断してくれるに違いない
0039
 あっ死んだ
0040-
 おいいいぃ!!!!
0041-
 オルフェウス様、水中叩頭気がついてたんだな
0042-
 バフ消えたぁ
0043-
 ハデスも巻き添えワロタ
0044-副管理人
 オメェラが笑うからだろーがちくしょー
0045-
 頭も消えたなwww
0046-
 ふざけんな
0047-
 ハデッさん……乙
0048-
 ハデッさんチーッズ!
0049-
 おい誰だ血塗れにしたの
0050-
 噴水から血が吹き出てるんですけど
0051-
 どうすんだよ今日のカカオ食い倒せねぇぞ!
0052-
 お前の神に頼め
0053-
 これがほんとの
0054-
 神頼み
0055-
 いや神様降臨すると経験値が……
0056-
 うみゃあ…………
0057-副管理人
 なぁお前ら、今日は思ったほど神様の機嫌荒れてないよな?
0058-
 っカカオ
0059-
 っカカオ
0060-
 っカカオ
0061-管理人
 つカカオ
0062-管理人
 さっきカカオ捧げた勇者がいたんよ
0063-
 オレオレ
0064-
 オレオレオレ
0065-
 オレオ
0066-
 管理人さーん、QアンドAの敬語変ですー
0067-
 帰国子女なんだろ
0068-
 今更感
0069-副管理人
 管理人さーん、オルフェ様召喚のカカオくださりやがれ
0070-
 ハデッさんまた死んどる…





 こうしてBGMのように竪琴を弾きはじめてからもう直ぐ二年になる。演奏スキルのカンスト(ゴール)がようやく見えてきたが、今後も続けるつもりでいる。感謝されるというのは嬉しいことだからだ。ただ、最近私に向かって叩頭する人が増えている気がする。
 正直あの集団叩頭はトラウマだし、どす赤いオーラが見えて怖いから目の前で叩頭するのはやめて欲しい。物陰からこっそりやるのは許そう。ただ、オーラが見えるから隠れてはいないぞ君達。

 私は竪琴にべったりとついた血を丁寧に布で拭っていく。噴水の水が真っ赤になってしまったから、今日は宿に帰るまでは乾拭きで我慢するしかないだろう。

 多少のアクシデントはあったものの、今日もファンタジーアは平和だった。

 まだ討伐されてないようだから、この後カカオイーターを屠りに行こう。もうじき実装される念願のチョコレート・ココアの為に、カカオ採取に勤しみたい。あぁ、楽しみだなぁ。

 私の名前はオルフェウス。ただの軟弱吟遊詩人だ。




0120-
 ハハッ。ワールドボス一撃死ワロス……ワロ……

暇人ですね。









本当にありがとうございました。

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