挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
結界師への転生 作者:片岡直太郎

第二章 ヒーデータ帝国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

50/261

第五十話   奴隷市、再び

寒い冬が終わりを告げ、暖かい風を感じる季節になった。

今日は帝都にペーリスと共に来ている。ここ数ヶ月、休日はペーリスと帝都散策をすることが多くなった。理由は、買い物とペーリスに料理を覚えさせるためだ。これまで俺が食べておいしいと感じた店にペーリスを連れていき、その味を覚えさせている。

ペーリスは俺の結界で人型に見せているが、最初はなかなか大変だった。何しろ、「グモモ」としか喋れないのだ。当然俺はわかるが、他の人はわからない。常に俺が通訳をしていたのだが、最近になってようやく、人語が話せるようになってきた。

人語の先生はゴンであり、その教え方が上手なのと、ペーリスの勉強熱心ぶりも相まって、驚くほど速く人語をマスターしていった。今では、カウンター越しの料理人に、その料理の作り方や包丁の入れ方、調味料などを質問し、さらに料理の腕を上げている。店の人からは料理好きな食いしん坊な女の子と思われることも多く、この間なぞは屋台の大将に

「お嬢ちゃん、食いしん坊もいいけど、少しは痩せなよ」

と言われてしまい、苦笑したこともある。ゴン曰く、ペーリスはかなりの美少女らしいのだが、いかんせん小さなドラゴンであり、体形は相変わらずずんぐりむっくりのままだ。それほどまでの美少女であるのなら、ゴンに人化を教えさせてみようかとも考えている。

帝都内で買い物を済ませ、どんどん無限収納に放り込んでいく。俺たちが行くと大量に大人買いをするので、店の人たちも割合に好意的に接してくれる。また、食材などはペーリスとゴンが職人レベルの目利きをするために、店の親方と何やら深い絆が出来つつある。かなり専門的な話をしているので、俺にはわからないのだが。

買い物が長引き、昼を過ぎてしまった。たまたま近くに高級そうなホテルがあったので、そこのレストランで食事をすることにする。地下のレストランに降りていくと、生憎と本日は休みのようだ。しかし、中は騒がしい。てっきりパーティでもやっているのかと思っていると、そこで意外な人物と会った。何と、遊郭「ミラヤ」の女将であるアキマだ。

「あらーリノスちゃん、お久しぶり!何してんのさ!」

「おかみさんお久しぶりです。いや昼飯を食べようかと思ってきたのですが、休みのようですね。女将さんはこんなところで何を?」

「決まってるさね!奴隷市だよ!」

普段レストランとして使われているこの場所は、今回は奴隷市の会場になっているのだそうだ。アキマは店の新人発掘のため、このような奴隷市によく顔を出すそうだ。今回も数名のダイヤの原石をゲットし、手続きのために外に出てきたのだという。

「もう目ぼしいものは終わっちまって、あとは犯罪奴隷だけだね」

犯罪奴隷・・・罪を犯して奴隷落ちした人々だ。基本的に軽い犯罪では奴隷落ちにはならない。重罪を犯し、ほぼ一生を奴隷として生きていかなければならない人々のことだ。大抵は、男は鉱山や兵士として買われることが多く、女は遊女として買われることが多い。しかし、環境は劣悪で苛酷なことが多く、10年以内に死亡する確率は90%を超えるのだという。言ってみれば、死刑になる時間が少し延びたくらいの状態なのだそうだ。

「基本的にはロクなのがいないんだけどね!でもたまに親の犯罪に連座して犯罪奴隷落ちしている女の子もいるんだよ。せっかくだから見ていきなよ!もしかしたら、掘り出し物があるかもしれないよ!」

アキマは無理やり俺の腕を取り、部屋の中に入っていく。

部屋の中は薄暗く、逆にステージの上はライトが当たっているためか、かなり明るい。しばらくすると、司会の男性が現れる。

「みなさま、お待たせいたしました。それでは犯罪奴隷の売買を始めます。この度の市は、これが最後でございます」

「リノスちゃん、いいのがいたら買っちゃいなよ!その白い札を上げて希望額を言うんだ。財布の中身と相談して買いなよ」

どうやらオークション方式らしい。アキマと話していると、ステージ上に屈強な男たちが並べられている。

「人間の男・25歳、猫の獣人男・19歳、人間の男・18歳、同じく人間の男・18歳!5000Gから始めます!」

司会者が大声を上げて商品を紹介していく。白い札があがり、「6000G!」、「7000G!」と声が飛ぶ。売りに出される奴隷は、数名まとめてという場合もあり、一人だけというものもあった。開始値で購入希望者が現れなければ、どんどん値が下がっていく。最低落札価格は1000Gに決められているようで、それでも札が上がらなければ、その奴隷はステージ上から降ろされていた。俺の嫌な思い出がよみがえる。

「落札されなかった奴隷はどうなるんですか?」

「うーん。次回の市に出すこともあるけど、大抵の場合は主催者側で処分されちまうね」

やっぱりか。俺もエルザ様に落札されていなければ、今頃人生が終わっていたのだ。今さらながらエルザ様に心の中でお礼を言う。

「それでは、最後の商品になります。羊の獣人女・16歳!3000Gから始めます」

頭の上にクルリと巻いた形のツノが生えている。髪の毛は銀色で、羊毛のように天然パーマがかかっている。よく見ると顔立ちは整っており、かなり美少女だ。胸と腰を布で隠しているだけなので、体のラインも丸見えである。両腕と足に羊の毛のようなものが生えているが、胸もそこそこ大きく、均整の取れた体だ。モデルもできるんじゃないかと思われるほどの美しさだ。

しかし、札は上がらない。アキマあたりが店で遊女として出しても問題ないと思われるが、アキマは眉間にしわを寄せているだけで、札を上げる気配はない。ステージ上の奴隷は、客の視線に耐えかねたのか、顔を伏せてしまう。しかし、後ろに控えていた関係者らしき男に頭を掴まれ、無理やり顔を起こされている。

「どなたかございませんか?正真正銘の生娘でございます。いかがでしょうか?それでは、2500Gでは?」

どんどん値が下がっていく。アキマに落札しないのか聞いてみると

「あの子は美人だけどダメだね。アタシの勘がそう言ってるんだ。あれは買っちゃダメ!」

そんなもんかと思いながら、俺は羊娘を鑑定してみる。

メイリアス(奴隷賢者・16歳)LV36
HP:91  
MP:145 
錬金術  LV3
鍛冶師  LV3
薬師   LV3
MP回復 LV2
教養   LV3
呪い   LV3

自己韜晦

呪いLV3・・・一般人から忌諱される。特に善人からは極端に忌諱される。
自己韜晦・・・全体的にスキル低下

スキル高っ!何じゃこの羊女??賢者って・・・。予想外のスキルの高さにしばし絶句する。

「出品者側から500Gまで値引きすると申しております!ございませんか?ございませんか?」

俺は思わず札を上げていた。

それを見計らったかのように、後ろから数名の兵士が入ってきた。

「この奴隷市を解散せよ!今後一切の奴隷市をこの帝都で行うことは禁止する!早々に解散せよ!!」

・・・一体どうなるんだ??
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ