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結界師への転生 作者:片岡直太郎

第一章 ジュカ王国編

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第十八話  王都反乱②

エリルの手を握りながら俺は馬車の外を見る。

一見するといつもと変わらぬ貴族屋敷が立ち並ぶ風景だが、一つ異質なことがある。それは、血の匂いがすることだ。

各屋敷の前には、王国軍、現在は反乱軍の兵士が警護に当たっている。おそらく摂政殿下派の貴族屋敷は襲撃され、抵抗する多くの者が討たれたのだろう。反乱軍に王都が占領されているのにもかかわらず、王都東地区の貴族屋敷区画は、静寂に包まれていた。

およそ1時間をかけて大手門に着く。既に日が西に傾きつつあった。馬車を降りると、大手門の前は民衆と兵士で大混乱になっており、すさまじい罵声と怒号が飛び交っていた。

そんな中、王城の屋根に止まっていたワイバーンの一部がこちらに向かって飛んでくる。そして咆哮を上げながら大手門の前に降り立った。あれだけの喧騒が、嘘のようにシンとなる。

それを合図に、大手門の上に数人が現れ、そのうちの一人である、銀髪の大男が叫ぶ

「聞け!民衆よ!我はジュカ王国元帥、シゲア・カルギである!この度、我ら王国軍は、政治腐敗の元凶たる国王とその側近を廃し、新たな王国を建国することとした!腐敗し、堕落しきった国を滅し、真の強国に生まれ変わるのだ!真の強国に生まれ変わるために必要な物は、血だ!流された血によって国は強く生まれ変わる。まずはこの国の腐敗の元凶となった者たちを血祭りにあげ、強国への一歩を踏み出そうぞ!」

兵士から歓声が上がる。それを合図に、大手門の左右の壁の上に多くの人が現れた。どうやら兵士に引きずり出されているようだ。男性女性、子供たちまでいる。どの人も豪華な衣装を纏っているので、おそらく、王宮内にいた王族なのだろう。狂ったように叫び声を上げている貴婦人もいるが、兵士に殴られて、大人しくさせられている。その中で、兵士に押さえつけられながらも、ひときわ大声で叫び続ける男性がいた。

「誰かカルギを殺せ!殺すのだ!朕をこのように!!許さん!誰ぞ!討て!トスカ!サイオ!何をしておる!!この者たちを討つのだ!!」

おそらく、これが国王なのだろう。でっぷりと肥った、ブタのような体。品性の欠片も感じない欲望が丸出しの顔。しかも素っ裸だ。そして、その傍らには、これもまた一糸まとわぬ裸体を晒している4人の少女がいた。おそらく同衾中に襲われ、そのまま大手門まで連れてこられたのだろう。少女たちは足を閉じ、体を捩じり裸体を隠しながら、じっと俯いている。

そんな国王を侮蔑しきった目で見ていたカルギは、おもむろに右手を上げた。すると兵士は無造作に王族たちを城壁の下に突き落とした。絶叫と悲鳴が交錯する。地面に叩きつけられた人々は、ある者は死を迎え、ある者は意識を失い、不運なものは身動きのできない怪我を負った。その人たちをワイバーンが貪り食う。王宮の屋根に止まっていたワイバーンもこちらにやってきて、貪り食っている。まさに阿鼻叫喚の地獄絵図だ。

再び城壁の上に人々が並べられる。おそらく、反対派の貴族たちなのだろう。倒れて動けない人もいた。その人たちも、カルギの無慈悲な合図で地面に突き落とされる。そして、全員がワイバーンの餌食になった。

そこら辺に血と肉片をまき散らして、ワイバーンは再び王宮の屋根に飛び立っていった。そして、大手門が開かれ、中からバーサーム侯爵、エルザ夫人、両腕を失ったファルコ師匠、摂政殿下の4人が連れ出された。

「結界師、リノスはいるか!いるのであれば、こちらに出てくるのだ!」

「リノス殿、我が主がお呼びです。あなたの御主人もおいでです。どうぞお進みください」

ニヤニヤと笑いながら俺に話しかけてくるマドイセン。一瞥もくれることなく静かに、俺は進み出る。後ろからエリルも付いてくる。

「おっ、おおぅ、エリルではないか!これは僥倖!おっ、お前は儂がもらう。げっ元帥、エリルは儂がもらう。文句ないであろう?ほんによい体をしておる。その乳、その尻。体中を舐めまわしてやるわ。ヒヒヒヒヒ」

カルギの隣にいた、細身の男が下卑た笑いをエリルに向ける。エリルは「クソ公爵・・・」と睨みつけている。どうやらこの男が、王弟であるヒーラ公爵のようだ。

「お前がリノスか。こやつらの結界を張っているのは、お主か?斬ろうと思ったが、全く斬れん。良い腕だ。気に入ったぞ。お前は今日から我が傍に仕え、我らの盾として働くのだ」

「わかりました。しかし条件があります。我が主人とバーサーム侯爵、エリルお嬢様、とファルコ師匠、そして摂政殿下を解放していただきたい。それが受け入れられるなら」

「身の程をわきまえんかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

カルギが激高している。

「奴隷の分際で付けあがりおって!お前は捕らわれの身なのだ。我が命に従うか、死か、そのどちらかしかないのだ!大人しく従えば、お前の命だけは助けてやる。それだけのことだ!こやつらは、殺す!」

結界を張っている3人は縛られて、跪いてはいるが、目立った外傷は見られない。心配なのはファルコ師匠だ。血は止まっているようだが、ガックリとうなだれたままピクリとも動かない。気配は消えていないため、ギリギリのところで生きているのだろう。一刻も早く回復魔法をかけねばならない。一応、師匠にも結界を張っておく。

「お前には聞かねばならぬことがある。バーサーム家の宝物庫の解除方法を言え」

「では、せめて師匠ファルコの傷の手当てをしていただきたい。師が死ねば、私は喋りません」

「やはりお前は自分の立場をわかっておらんのだな。おいシェン、やれ!」

すっとカルギの隣に、男が現れる。それは、俺も予想だにしなかった、意外な男だった
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