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結界師への転生 作者:片岡直太郎

第六章 アガルタ国編

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第百六十一話 招かれざる客

「じゃ、俺はそろそろ帰る。何かあれば・・・そうだな。この箱の中に、知らせたい内容を書いた紙を入れて、外に出しておいてくれ」

ジンビに余っていた木の空箱を渡し、俺はソレイユを促して、アガルタに帰ろうとする。

「そんな!何もおもてなしもせず、このままお返ししては・・・」

ジンビが慌てて俺を押しとどめようとする。

「いや、この村の者と俺が会っているのを誰かに見られたら、それこそややこしいことになるだろう。俺は招かれざる客だ。用が済んだら早々に退散するよ」

村人たちは口々に俺の名を呼んでいる。そんな中を右手を上げ、会釈をしながら俺はイリモの下に歩いていく。まるで選挙中の候補者みたいだ。

「じゃあな!」

俺はソレイユと共にイリモに乗り、森の中を進んでいった。しばらく進むと、この森の精霊であるクレイドルが姿を現した。

「ソレイユ様、リノス様、ご案内いたします」

「ありがとうクレイドル。私たちは・・・山頂まで案内していただけるかしら?」

「畏まりました」

森の中に再び精霊たちの道しるべが光輝いた。俺たちはそれに沿ってバンザビ山の山頂を目指した。

程なく山頂に到着し、眼下にイルベジ川を望む。標高の高い山だけあって、ここから見ると、アガルタとヒーデータの国境付近が丸見えだ。

「よーしイリモ、都まで頼むぞ!」

「お任せください」

イリモは翼を大きく広げて、大空に舞い上がった。

イルベジ川に沿って北に進路を取る。遥か彼方にはジュカ山脈やルノア山脈も見える。もう四月になろうというのに、未だに雪が残っていて、空から見ると実に美しい景色だ。標高の高い山だけに雪解けも遅いのだろうなと考えていたその時、全身に凄まじい衝撃を受けて俺は空中に投げ出された。

「ご主人様―!」

ものすごい速さで地面に向かって落下しているその上から、ソレイユの声が降りてくる。俺は慌てて結界を張り直そうとしたその時、落下する速度が急速に落ちた。気が付くと空中でソレイユが俺に抱き着いていて、パタパタと彼女の羽が動いている。どうやらソレイユが背中の羽を使って俺を抱きとめてくれたようだ。

ゆっくりと俺たちは河原に着陸する。そして、その後を追ってイリモも空から降りてきた。

「ご主人様、大丈夫ですか?」

「ああ、ありがとうイリモ。ソレイユが抱き留めてくれなかったら、今頃大怪我だったな」

「突然イリモから落ちたのでビックリしました。お怪我がなくてよかったです」

「ああ、いきなり衝撃を受けて気が付いたら・・・ぐわっ!」

再び俺は衝撃を受けて数メートル吹っ飛ばされる。立ち上がろうとすると、また衝撃を受けて吹っ飛ばされる。

「ぐっ・・・何だ?何が・・・ガハッ!」

吹っ飛ばされてうつ伏せになっているところに、今度は背中に衝撃を受ける。たまらず俺はゴロゴロと転がってその衝撃から逃れようとする。よく見ると俺が寝ていたところが抉れて、小さなクレーターが出来ている。

「柔結界!」

俺は起き上がりながら、衝撃を吸収する分厚い結界を張りなおす。しかも、結界の外殻には、触れた瞬間にとてつもない粘着性を持つ効果を付与した結界を張る。

その直後、一本の細いストローのような穴が結界にできた。それは少しずつ俺の体に迫っていたが、やがてその動きを止める。穴の先端をよく見ようとした瞬間、そこから吹き出すようにして、何か巨大なものが空に舞い上がった。

何とそれは、薄水色の鱗を持った、巨大なドラゴンだった。

「ドラゴン・・・?」

思わず俺は声を漏らす。ドラゴンは背中に生えた二枚の翼をゆっくりと動かしながら、上空にとどまり、じっと俺を見据えている。俺はこのドラゴンに鑑定スキルを発動させる。


ス・btr/ニ301(シ.jpg・XY4isシ)Tt//
Pa://tt49
LL:オ・98
團州   id9
梅寿   3dK
魁玉   ue5
可江   タu
白鸚   コS
茶谷   13/.
大芝翫  Sy5
芝乃親父 mA5
岡本町  JA/
明船町  11n
紀尾井町 s62
神谷町  oI8
永田町  6/b
今戸   7S10

助六由縁江戸桜、勧進帳、京鹿子娘道成寺

助六由縁江戸桜:團州 大芝翫 魁玉
勧進帳:可江 芝乃親父 白鸚
京鹿子娘道成寺:岡本町


・・・何じゃこりゃ?文字化けしているのか?・・・これは意図的に書き換えられているようだ。いずれにせよ、鑑定スキルをブロックできるほどのスキル持ちということになる。ということは、かなりのスキルを持ちだ。コイツは油断できない。

上空のドラゴンはゴルァァァといううめき声を漏らすと、体から眩いばかりの光を放った。俺は素早く自分とソレイユ、イリモに最高硬度の結界を張りなおす。

光が収まると、俺の前に見目麗しい美青年が立っていた。

「・・・結界LV2などと・・・。随分とふざけているのだな」

男だか女だかわからない中世的な声で、青年は話しかけてくる。

「それは、お互い様だろう?お前は一体誰だ?何のために俺を襲う?」

青年はニヤリと笑い、目を大きく開く。

「我は、龍王だ。我のシンジョを返してもらおう!」

「シンジョ?あ~フェアリのことか?あれは俺のペットだ。返せって人聞きが悪いな?フェアリが望んで俺のペットになったんだ。盗んだみたいに言うんじゃねぇよ。てゆうかこの会話、どっかで前に一回やらなかったか?」

「どうあっても、返す気はないのだな?」

「だから言ってるじゃねぇか。フェアリが望んでウチに居るんだ。返すとか返さないの問題じゃねぇだろ?人の話聞けよ」

「仕方がないな。それならば、問答無用だ!」

龍王と名乗る男は、一瞬で距離を縮めて俺のすぐそばに移動する。既に右手がドラゴンの手に変化しており、その爪が俺を襲う。しかしその爪は結界に阻まれる。龍王の動きが一瞬止まる。その瞬間に俺は無限収納からホーリ―ソードを取り出し、その腕に向けて剣を振るう。

キィィィィン!

キレイな、鈴を鳴らしたような音がする。確かに龍王の腕を斬ったはずだが、彼の腕は全くの無傷だった。龍王は一旦上空に飛び上がって、俺と距離を取る。

「無駄だ。我の体は聖なる鱗にて守られている。どのような攻撃も、無意味!フフフフフ」

龍王は不敵に笑っている。確かホーリーソードは邪悪な物に対しては抜群の切れ味を誇っていたんだっけ?ということは、龍王の鱗には効かないってことか。そう思った俺は素早く剣を「鬼切」に持ち替える。

「ほう、随分と禍々しい剣だな。フフフフフ。それで我が斬れるか・・・試してみるがいい!」

再び龍王が突撃してくる。俺は遠慮なく龍王を脳天から斬り付ける。

龍王は左腕で鬼切の斬撃を受け止めていた。これも、龍王にはノーダメージのようだ。気が付くと龍王の右腕が真っ赤に灼熱している。

「失せよ!」

龍王の左腕から炎が飛び出し、俺にまとわりつく。すぐに俺は結界ごと紅蓮の炎に包まれた。

「ご主人様ぁ―!!」

ソレイユの絶叫が響き渡る。その声に龍王が反応する。

「うん?そなたは・・・サイリュースか?そして・・・ユニコーンペガサス。随分と珍しい者を連れているのだな」

「そうかな?そんなことないと思うけどなー?」

俺は全くの無傷で立っている。俺の声を聞いて振り返った龍王は、目を見開いている。

「我の灼熱を耐えきったというのか・・・。やはりただの結界師ではないな?」

「いや、俺はLV2の結界師だ。でも、あまり油断しない方がいいぞ?」

「人間の分際で言わせておけば!よかろう。どうやら貴様は、苦しんで死にたいらしいな」

そう言うと龍王はみるみる小さくなった。そして、姿が消えた。

「なるほど。目に見えないくらいに小さくなって攻撃をしていたのか。考えたな」

俺は先ほどと同じ「柔結界」を張りなおして、攻撃に備える。

その瞬間、俺の結界に衝撃が走り、ヒビが入る。次々と衝撃が走り、結界にヒビが入っていく。結界が割れる直前になって、ようやく攻撃の手が止まった。

「ほほう。これだけやってもまだ結界が破れぬとは・・・。やはり神結界が扱えるのか?しかし、もうその結界はもう、使い物にならんぞ?」

どこからともなく龍王の声が聞こえる。

「まさか粘着部分を凍らせて攻撃してくるとは思わなかった。やはり龍王はダテじゃないな」

実際のところを言うと、あの攻撃はかなり焦った。俺は再び結界の硬度を上げる。これならば結界が割れることはないが、龍王にダメージを与えることもない。俺は息を整えながら、無限収納から「黒刀」を取り出す。そして刀を腰に差して居合い抜きの態勢を取る。

「何をするのかは知らんが、大人しくシンジョを返せば、命だけは助けてやるぞ?」

「だ、か、ら、フェアリが望んでウチに来たって言ってんだろ?アホなの、お前?いや、アホなんだろうな。どうしてこうも話が分からんかなー」

「死ねぃ!」

俺は目を閉じて気配探知と魔力探知を駆使して龍王の気配を探る。捉えた!と思った瞬間に俺は黒刀を抜きはらった。バキッという鈍い音と共に、凄まじく固いものを斬った感触が伝わってくる。龍王はゴアァァァァという叫び声と共に、上空に人型になって姿を現した。

「何ということをする!・・・怪我でもしたら、どうするのだ!」

龍王の言葉を聞いて、俺は思わず失笑を漏らした。
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