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明けの春に
作:都神紗茅


 ったくよ、こう言う日に限って何でこんなにさみいんだよ? 昨日はむだにあったかかったのによ。ついてねぇな、オレ。
 今日は、蘭と一緒に近所の神社に初詣に来ている。何でおっちゃんはいないかって? そりゃ、おっちゃんが昨日に酒を飲みすぎて二日酔いになってるからだよ。気持ち悪いから二人で行ってこいって言ってたぜ。元旦からあれじゃあ、今年もおっちゃんはあのままだろうな。
 朝早いとは言え、やっぱり元旦だから神社には人が多い。オレは寒いのも嫌だけど、人ごみはもっと嫌いだ。
 さいせんを済ませて手をあわせ終えた後、オレたちは列から離れた。オレの願いごとは、当然早く元に戻りたいってことだ。まぁ願いごとっつーか、オレはそう言うことは信じない方だけど、蘭をはやく安心させたいしな。
 後ろに並んでいたカップルが一緒に何か願いごとをしている。来年は、あの人たちみたいに、工藤新一の姿で蘭とここに……なぁんてな。
 やべっ、目があっちまった。って、今更そらしてもむだだよな。うん、まぁいいか。


「コナン君は何をお願いしたの?」


 身をかがめて、蘭はそう聞いてきた。
 そんな蘭は、今日は柔らかそうな白のコートに茶色のチェック柄のマフラーを巻いている。はいている茶色のブーツにはレースのリボンがついていて、たまに吹く冷てぇ風でゆらゆらしている。そう言う、何て言うか、さりげねぇ大人っぽさってのがすげぇ蘭に似合ってる。
 てか、オレ、黙ってるままじゃねぇか。


「ボ、ボクは特に何もしてないよ。ら、蘭姉ちゃんは何をお願いしたの?」


 バーロ、何むだに焦ってんだよ、オレ。大体、特にないなんて言葉、ガキは使わねぇだろ。ホラ、蘭が何か不思議そうに思ってそうな顔してんじゃねぇかよ。あーあ、新年そうそうやべぇんじゃねぇか?


「わたしは、今年も去年みたいないい年になりますようにってお願いしたよ」

「新一兄ちゃんは?」


 気づいたら即答してた。あーあ、本当にオレは何やってんだか。自分から言ったらぜってぇおかしいだろーが。
 蘭はまたさっきと同じ顔になった。やっぱりな。何となく予想はついてたけど、どうすっか? この空気。いつもより余計に寒いってことからかどうかはよく分からねぇけど、すんげぇいづらい。つーか、もうごまかせねぇよな。あきらめっか。


「バカね、お正月になっても何も連絡してこない推理オタクなんかどうでもいいわよ」


 蘭のヤツ、わざわざ両手をオレに向けて否定してる。いつものことだけど、推理オタクは余計だっつーの。こっちは好きでこんな姿になってるわけじゃねぇんだからよ。
 これでも本当は期待してたんだぜ? もしかしたら、オレがはやく帰ってきますように、って願いごとしてくれたんじゃねぇかって。結局は、オレの下らねぇ空想だったっつーことだけどな。


「コナン君、お守りとか絵馬とか見てこない?」

「あ、うん」


 蘭に手をひかれるまま、オレはお守りのおいてある小屋みたいなところに、えっと、名前は何だったっけ? まぁいいか。そこに連れていかれた。
 そこには色とりどりのお守りがおいてあった。表にはその効果の内容、裏にはここの神社の名前が書かれている。オレは『交通安全』のお守りを一回取って、すぐにまた元に戻した。
 大量のお守りのとなりには、絵馬やおふだもある。更にそのとなりには、おっと、おみくじじゃねーか。一回百円、よくあたります、か。へぇ。


「おみくじ引こうかな。コナン君も引く?」


 蘭も丁度オレと同じタイミングで見っけたのか。まぁちょっと古い感じがする真っ赤な箱だし、コイツを見っけらんねぇ人のほうがめずらしいけどな。


「うん」

「じゃあ、コナン君からどうぞ」


 蘭の入れた百円玉が箱の中に落ちた。よっしゃ、引いてやっか。箱の中には細長いおみくじがたくさん入ってる。へぇ、けっこうザラザラしてんな。
 よし、これにすっか!


「開けてあげよっか?」

「ううん、大丈夫だよ」


 お、意外と簡単に開くじゃねぇか。つーか、凶かよ。総合運は、えーっと……何ごとも報われないことが多くなり、また災難の多い一年になるでしょう。
うわぁ、新年そうそう縁起悪っ。まぁいいや。いや、よくはねぇけど。もっと細かく見ていくかな。金、使いすぎに注意。対人、あなたの言動で傷つく人あり。勉強、なまける傾向あり。健康、ケガが多いので用心せよ。待ち人、会いたくない人が来る暗示。な、何だこりゃ? いいことが何も書いてねぇじゃねぇかよ。ったく、ついてねぇ……って、あれ? よくみて見りゃ、恋愛んとこがまぁまぁいいんじゃねぇか? いちずに思えば報われる、って。ふぅん、そうか。
 蘭のヤツもおみくじを引いたみたいだな。もう広げて字を読んでやがる。何か、顔が赤いような気がするけど? とにかく、ちょっと見せてもらうか。


「蘭姉ちゃん、見せて」

「うん、いいよ。コナン君のも見せてもらっていい?」


 お互いにおみくじを交換した。さてさて、蘭の今年の運はっと。お、大吉じゃねぇか。総合運、願いごとが叶ったり、自分の思い通りになることが多くなるでしょう。へぇ、オレのとは大違いだな。さてさて、他の細かい運はどうかな、っと。あ! 待ち人んとこのこれって、まさかオレ? 思い続けた待ち人が帰ってくるでしょうって。まじ? やべ、すっげぇうれしい。


「蘭姉ちゃん、この待ち人って」

「新一、だといいな」


 ちっちゃい声だったけど、ちゃんと聞こえたぜ。ぜってぇ今年中には元に戻って帰ってくるから、それまで待っててくれな?


「おみくじ、結んでこよっか」

「うん」


 それまで、ずっとそばにいるから。









どうせなら元旦に投稿しろよ! って声が飛んできそうな作品でした。実は昨日、突発的に一人称が書くたくなって、その舞台を初詣に決めた次第なんです。それで、前に蘭で一人称は書いたから次はコナンにしてみようと思ったんです。正直、コナンの方が書きやすかったです。口癖が結構あったり、しゃべり方に特徴があるので。初めて書いたときよりは主人公に近づけたと思います。如何でしたか? そして……そろそろ、投稿が滞っている作品にも手をつけようと思います(^-^ゞ 嗚呼、大分個人的な話が多いですね(--;)













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