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治療完了、目をさますよ 作者:天寧霧佳

【1】 攻撃性に抱かれて

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第3話 蜘蛛の城

【あらすじ】
高畑汀たかはたみぎわはマインドスイーパーである。
彼女は半身不随の体でありながら、他者の夢の中に入り、トラウマを消去できる力を持つ。
子猫を拾う汀。その子猫はマインドスイーパーとしての資質を持っていた。
そんな中、死刑囚の治療を担当することになった汀達。
体調が最悪な状況の汀だったが、半ば強制的にダイブさせられ……。

【登場人物】
高畑汀たかはたみぎわ
  半身不随の少女。左腕も動かず、寝たきりの生活を送っている。13歳。
  マインドスイーパーとしてとても高い能力を持っている。
高畑圭介たかはたけいすけ
  汀の主治医。とても冷酷で冷静な物言いをする。
大河内裕也おおこうちゆうや
  赤十字病院の医師。
小白こはく
  汀が拾った小さな猫。白い。マインドスイーパーの力がある。
蝉の声が聞こえる中、汀は圭介に車椅子を押してもらいながら、木漏れ日の中を進んでいた。
夕暮れ近くの、気温が下がってきた頃、近くの公園まで散歩に出てきたのだった。
そこで、汀はふと、公園の木の下に目を留めた。

「圭介」

呼びかけられて、圭介が車椅子を止める。

「どうした?」
「あそこ」

右手で木の下を指差す。
そこには薄汚れた段ボール箱が置いてあり、夕立で濡れたのか、グショグショのタオルがしいてあった。
近づいて覗き込んで、圭介は顔をしかめた。
今にも死にそうなほど衰弱した、手の平ほどの大きさの白い子猫が横たわっていたのだ。

「圭介、猫だよ」
「ああ、猫だな」

興味がなさそうにそう言って、圭介は車椅子を道の方に戻そうとした。

「待って、待ってよ」

汀が声を上げる。

「何だ?」
「死んじゃうよ」
「それがどうした?」
「私の髪の毛と同じ色だよ」
「だから、それがどうした?」

淡白に聞き返した圭介に

「もう……」

と呟いて、汀は頬を膨らませた。

「この子を拾っていくよ」
「何で?」
「何でも」
「基本的に、何のメリットもないことはしたくないんだけど」
「メリットならあるよ」
「何だ?」
「癒されるよ」
「…………」

圭介はため息をついて、車椅子から手を離し、ダンボールに手をかけた。
濡れていて崩れたそれを破り、子猫を無造作に手で掴み上げる。

「……分かったよ。癒しは大事だからな」
「うん。癒しは大事だよ」

汀は、にっこりと、無邪気な少女の笑顔で微笑んだ。



汀の部屋の隅に、圭介が用意したケージが設置された。
しばらくは安静が必要と判断したので、やはり圭介が動物病院に連れて行き、それから綺麗に洗ってやってから、弱いドライヤーで乾かす。
子猫は大分衰弱していたが、温めたミルクなどを口に運ぶと、貪るように食べた。
体が自由に動かない汀は、猫の世話など出来ない。
ただ、徐々に回復してきて、妙に人懐っこいその猫を自分のベッドで寝かせることが多くなった。
猫も、汀の枕の右脇を定位置と決めたらしく、次第に我が物顔で眠るようになっていった。



数日後、圭介はくしゃみをした汀を、心配そうに見た。
そして言いにくそうに口を開く。

「汀。あまり猫を顔に近づけるな。その毛は、お前には毒だ」
「猫じゃないよ。小白こはくだよ」
「小白?」

問いかけられて、汀は頷いた。

「うん。小白」
「何で?」

猫……小白を抱きながら、汀は言った。

「小さくて白いから」
「…………」
「それに、毛なら平気だよ。慣れたし」

圭介は頭を掻いて、小白のトイレを掃除し始めた。
元々どこかで飼われていたのだろう。
トイレの場所もすぐに覚え、行儀もいい。
かなり、頭が良い猫のようだ。
喉を撫でられ、ゴロゴロと言っている小白を見て、 圭介は息をついてから言った。

「汀、猫で遊ぶのはいいが、仕事が入った」
「今日はやだ」
「我侭を言うな。マインドスイーパーの資格を持っているなら、ちゃんと仕事をしろ」

圭介はそう言って、立ち上がった。

「今回の仕事は凄いぞ。元老院から直々の依頼だ。その打ち合わせに行く」
「お外に行くの?」
「ああ。お前にも同席してもらう」
「私も、会議に出るの?」
「そうだ」
「どうして?」
「クライアントのたっての希望だからだ」

そう言って、圭介は小白の首の皮をつまみあげた。
猫は抗議するようにニャーと鳴いたが、彼は無視して無造作にケージに放り込み、その入り口を閉めた。

「小白!」

汀が慌てて、猫の方に手を伸ばす。
小白は汀の方に行こうとして、ケージの中で、檻部分に鼻を突っ込んでもがいている。

「猫で遊ぶのはお仕舞い。帰ってからまた遊べばいい」
「やだ! 小白も一緒に行くの!」

汀は、圭介を睨んで声を上げた。

「一緒に行くの!」
「我侭を言うな。元老院のお偉方も来るんだぞ」
「やだ! やだやだやだやだ!」

じたばたと駄々をこね始めた彼女をため息をついて見て、圭介は困ったように額を押さえた。
そして息を切らしている汀に、もう一度同じことを言う。

「元老院のお偉方も来るんだ。猫を連れて行くわけには……」
「小白が一緒に来なきゃ、私行かないもん!」

圭介の言葉を打ち消して、汀は大声を上げた。
こうなってしまっては、彼女は頑固だ。
圭介は一瞬、彼女を怒ろうと口を開いたが、すぐにそれを閉じた。
そして考え直して言う。

「……分かった。猫も連れて行こう」
「本当に?」

途端に顔をパッと明るくした彼女に、圭介は頷いてから言った。

「ただ、妙なことをしたらすぐに帰るからな」
「圭介、だから私圭介のこと好き」

圭介はそう言われ、汀から顔をそらした。
そして小白のケージの前にしゃがみこみ、猫を凝視する。
青い瞳の猫は、ニャーと威嚇するように彼に向かって鳴いた。
一瞬、圭介が何かを思いついた、という表情をして、口の端を吊り上げてニヤリと笑う。
汀はモゾモゾと動き出し、タンスから自分の服を取り出していたので、そのどこか邪悪な表情は見ていなかった。

「ああ、そうだな」

生返事を返し、圭介はケージの入り口を開けて、手を伸ばし、小白の首筋をむんずと掴んだ。



「遅くなりました」

圭介が車椅子を押しながら、長テーブルが置かれた広い会議室に足を踏み入れる。
既に、彼女達以外の人はそろっているらしく、水と資料が置かれた空間には、何も言葉がなかった。
汀は小さく肩をすぼめて、体を丸めている。
顔を上げようとしない。
その胸には、しっかりと、リードをつけられた小白が抱かれている。
リードの反対側は、汀の右手首に結ばれていた。
コツ、コツ、と万年筆でテーブルを叩いていた議長席に座っている老人が、二人を一瞥して、そして汀の抱いている猫に目を留めた。
しばらくそれを凝視する。
入り口で止まった車椅子の上で、汀は伺うように、チラッとその老人を見た。
そして慌てて、怯えたように視線をそらして小白を抱く。
老人は万年筆でテーブルを叩くのをやめると

「はじめよう。高畑医師と、マインドスイーパーは、そこの空いている席に」
「かしこまりました」

圭介が頷いて、汀の車椅子を、老人と対角側に移動させる。
老人が、沢山いた。
全員鋭い表情で汀を注視している。
そして老人の隣に、喪服を着た女性が座っていた。
女性は立ち上がると圭介に向けて会釈をした。
しかし、自分を見ようとしない俯いた汀を見て、言い淀み、議長席の老人に向かって声を発する。

「あの……マインドスイーパーというのは……」
「あそこにいる白髪の子供です」
「そんな……まだ、小さな……」

「特A級スイーパーです。無用な発言は慎んでいただきたい。お座りになってください」

女性に座るように促し、老人は圭介に向けて言った。

「高畑医師。君の上げている業績を、我々は高く評価している。今この場に、同席してくれたことを、まず感謝しよう」

そこで小白が、眠そうに、ニャーと汀に向かって甘えた声を発した。
老人達が顔を見合わせる。
圭介はその様子を気にした風もなく、頭を下げた。

「こちらこそ」
「資料は、事前に説明したとおりだが、一応形式として用意させてもらった。読んでくれたまえ」
「かしこまりました」

頷いて、圭介は目の前に置かれた分厚い資料にパラパラと目を通した。
そして写真と経歴が載っているページに目を留めた。
まだ若い青年の写真が載っている。
汀がそこで頭を上げて、写真を見た。
そして圭介に向かって小さく囁く。

「私知ってる。この人、この前死刑判決が出た人だ」

汀の細い声を聞き、喪服の女性が老人達を見る。
老人達は、汀の手の中で眠っている猫を見て不快そうな顔をしていた。

「黙ってろ」

圭介はそう言って、いきなりページを閉じた。
汀が叱られた子供のように、しゅんとして肩をすぼめる。

「今回のクライアントは、こちらの秋山早苗女史だ」
「知っています」

資料を自分の方に引き寄せ、パラパラと目を通しながら、圭介は議長席の老人に向けて言った。

「テレビでも随分と報道されましたから」
「話が早くて助かる。高畑医師には、今回、秋山女史の依頼を受けていただくことになる。よろしいか?」
「お受けしましょう」

会議室がざわついた。
老人達が全員、信じられないと言った表情で顔を見合わせ、何事かを囁きあう。
議長席の老人が、コツ、コツと万年筆でテーブルを叩いて、彼らを黙らせてから言った。

「意外だな。もう少し話を聞かなくてもいいのか?」
「お受けすると言っただけです。それ以上でもそれ以下でもありません」

圭介はそこで息をついて、資料を見終わったのか、目の前に放った。

「まずは、ご指名いただきました幸運に、心から感謝を述べさせていただきましょう。光栄です」
「光栄……か。君の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかったよ」
「先ほどから、随分と私情を挟まれる。私は医者としてここにいます。仕事をお受けすると言っただけです」
「そうか……そうだな」

頷いて、老人は続けた。

「今回のダイビング(治療)は、マスコミにも大きく報道されている。注目されている一件だけに、失敗は許されない。その意味は、理解していただけるな」
「はい」
「…………」

汀が更に小さくなり、ぎゅっ、と小白を抱く。

「よろしい。最初から説明を始めよう」

彼はそう言って資料を開いた。

「患者は、中島正一。二十八歳。無職。知っての通り、先日死刑判決が出た。最高裁への上告は、棄却されている」

圭介は興味がなさそうに、手を組んで言った。

「我々に、その死刑囚を救えと?」
「ああ、そうだ」

老人が、ゆっくりと頷く。

「三日前に自殺病を発症。現在、第六段階にまで差し掛かっている。赤十字のマインドスイーパーが三人、ダイブを試みたが、いずれも失敗に終わっている」
「失敗の要因は?」
「攻撃性のあまりの強さに、撤退を余儀なくされた」
「統合失調症ではないようですが」
「……第六段階を治療できるマインドスイーパーを保有していない。それを、私の口から言わせたいのか」

苦そうにそう言った老人に、圭介は柔和な表情のまま返した。

「まぁ、いいでしょう。それで、この場にこの子を呼んだ理由を教えていただきたい」

老人達がざわつく。

「余計な既成概念を入れると、ダイブに影響が出てきますので、早めに引き取りたいのですが」
「分かっている。こちらの秋山女史たっての希望だったのだ」

老人に促され、秋山と呼ばれた喪服の女性は、頷いて、潤んだ目を圭介に向けた。

「……娘は、中島に拷問され、殺されました」

勝手に喋りだした彼女を、圭介は一瞬だけ眉をひそめて見た。

「中島を助けてください」

秋山は頭を下げた。

「どうか、どうか助けてください」

彼女が握り締めているハンカチが、ギチ、と音を立てる。

「どうしてですか?」

圭介が、穏やかにそう聞いた。
何を聞かれたのか分からない、と言う表情で秋山が彼を見る。

「放っておいても死にます。死刑を執行させたいがためだけに助けたいのですか?」
「…………」
「娘さんを殺した殺人犯に、法の鉄槌を下したいがためだけに、助けたいのですか?」
「それの何が悪いんですか!」

ドンッ! とテーブルを叩いて、秋山が金切り声を上げた。
汀がビクッと体を震わせ、抱いていた猫が怯えて、彼女の服にもぐりこむ。

「娘が殺されたんです! 私の、たった一人の娘が! なのにその犯人が……やっと捕まえた犯人が、自殺病で勝手に死んでしまうなんて……」
「…………」
「これ以上理不尽なことってありますか? ありませんよ、ええありませんとも! 法の鉄槌を下したくて、何が悪いんですか!」

女性の声がしばらく会議室に響き渡っていた。
圭介は黙ってそれを聞いていたが、やがてクッ、と口元を押さえて、小さく笑った。

「何がおかしいんですか!」

掴みかからんばかりの剣幕の彼女に、彼は言った。

「あなたは法の鉄槌を下したいんじゃない。ただ単に、自分の中の鬱積した鬱憤を晴らしたいだけだ」

そう言って、圭介は冷めた目で秋山を見た。

「人はそれを、自己満足と言うんですよ」
「自己満足で何が悪いんです? 何がおかしいんですか!」

殆ど絶叫に近かった。
体を丸めて小さくなっている汀を一瞥して、彼女は高圧的に言った。

「あなたは仕事を請けるといいました。でも、それ以上私と娘を辱めると言うなら……」
「別に辱めてはいませんよ。思ったことを口に出したまでです。気に障ったのなら謝罪しましょう。そういう性格なので」

頭を下げずにそう言い、圭介は冷めた目のまま、微笑んでみせた。

「それに、レベル6を治療できるのは私達だけです。私は、『だから』仕事を請けることを決めました。あなたの個人的感情など、極めてどうでもいい」

切り捨てられ、秋山は呆然とその場に立ち尽くした。
そこで議席の老人が咳払いをし、圭介を見た。

「高畑医師。口が過ぎる」
「あなた方は根本的な勘違いをしていらっしゃる」

そこで圭介は、周りを見回し、秋山に目を留めた。

「自殺病にかかった者は、決して幸福になることは出来ません。そういう病気なのです。助ける、助けないはその人の主観に過ぎません」
「それは俗説だ」
「事実です」

メガネを中指でクイッと上げ、彼は続けた。

「ですが、請けましょう。報酬は指定額の三倍いただきます」

老人達が眉をひそめる。
議席の老人が、一拍置いてから聞いた。

「何故だ?」
「マインドスイーパーに余計な知識が吹き込まれてしまいました。診察費も、危険手当もいただかなければ、割に合いませんので」
「…………」
「それに、私の論文の学会発表の件も、宜しくお願いいたします。こちらから提示する条件は、以上です」

圭介はそう言って、資料を脇に挟んで立ち上がった。

「それでは、この子は一旦退席させます。秋山さん、マインドスイーパーに余計なことを吹き込もうとするのは、規定違反です。罰則を受けていただきます」

秋山が、一瞬間をおいてから、怒りで顔を真っ赤にする。

「何を……」

それを、手を上げて制止し、圭介は汀の車椅子を掴んだ。

「一旦失礼します」



会議室を出たところにある、中庭の隅で、汀は眠っていた。
木陰になっていて、爽やかな風が吹いてくる。
丁度日を避けられる場所に、圭介は車椅子を設置したのだった。
小白も、汀の手の中で、丸くなって眠っている。
汀は耳に、自分のiPodTouchから伸ばしたイヤホンをつけていた。
そこからは、流行の女の子達のユニットが歌っている歌が、やかましく流れている。



汀は白いビーチに座っていた。
白い水着を着て、波打ち際で足をぶらぶらとさせている。
そこがハワイだ、と分かったのは、彼女が好きな女の子達のユニットが歌っている歌のPVを、事前に見ていたからだ。
撮影場所は、確かハワイのはずだ。
辺りには誰もいない。
汀は立ち上がって、静かにひいては返す波に足を踏み入れ、その冷たい感触に、体を震わせて笑った。
カンカンと照っている太陽で、肌がこげるのも構わず、波音を立てて海に、背中から倒れこむ。
新鮮なその感覚に、汀は水に浮かびながら満足そうに息をついた。
そこで、ニャーという声がした。
汀が目を開くと、自分の体の上に、白い子猫が乗っているのが見えた。

「小白、あなたも来たの?」

驚いてそう問いかけると、小白はまた、ニャーと鳴いて、汀の腹の上で小さくなると、恐る恐る水に手をつけた。
そしてビクッとして手を引っ込める。

「びっくり。猫って夢と現実の世界を行き来できる生き物だって言うことは知ってたけど、実際にそんな例を見るのは初めてだよ」

ニャーと小白は鳴くと、また恐る恐る汀の腹の上から、水に手をつけた。

「大丈夫だよ」

そう言って、汀は小白を抱き上げると、体を揺らして立ち上がった。
小白はまたニャーと鳴くと、汀の肩の上に移動した。
そしてマスコットのように、そこにへばりつく。

「でも、何しに来たの? 一人でいるのは、やっぱり不安?」

問いかけて、汀は波打ち際の砂浜を、特に何をするわけでもなく、ブラブラと歩き始めた。
ニャーと鳴いた小白に頷いて、彼女は続けた。

「そうだよね。一人でいると、不安だよね。私も、圭介がいてくれなきゃ、おかしくなってると思うんだ」

足元の砂を、ぐりぐりとつま先でほじり、汀は呟くように言った。

「圭介には、感謝してるんだ……」

特に、小白の反応はなかった。
また歩き出し、汀は言った。

「今度の患者さんって、死刑囚なんだって。女の人を、拷問して殺したんだって。そんな人の精神構造って、どうなってるんだろう。ね、考えただけでワクワクしない?」

ニャーと小白が鳴く。

「あなたにはまだちょっと、早かったかな」

首をかしげて汀は続けた。

「沢山の人が、私に注目してる。あの頃から考えると、信じられないことなんだ」

彼女がそう言った時だった。
突然、脇に生えていた椰子の木から、ボッと音を立てて炎が吹き上がった。

「きゃっ!」

驚いて汀がしりもちをつく。
そして彼女は、小白を抱いて

「まただ……」

と呟いた。

「逃げるよ!」

悲鳴のように叫んで、彼女は走り出した。
無限回廊のように立ち並ぶ椰子の木に、次々と炎がついていく。
次いで、空に浮かんでいた太陽が、ものすごい勢いで沈み、あたりが暗くなった。
空に、赤い光がともる。
しかしそれは太陽の光ではない。
何かが燃えている。
灼熱の、光を発する何かが炎を上げて、空の中心で燃えていた。
熱い。
暑い、のではない。
体をジリジリと焦がすほどに、周囲の気温が上がりはじめた。
次いで、爽やかな色を発していた海が、途端にヘドロのような色に変わり、ボコボコと沸騰し始める。
夏のビーチは、あっという間に地獄のような風景に変わってしまっていた。
汀は、体を焦がす熱気に耐え切れず、小白を抱いたまま、しゃがみこんで息をついた。

「やだ……やだよ……」

首を振る。

「圭介! 助けて、圭介!」

顔を上げた汀の目に、たいまつを持った人影が見えた。
熱気で揺らめくビーチの向こう、二十メートルほど離れた先に、たいまつを持った男……何故か、ドクロのマスクを被った男が、反対の手に薄汚れたチェーンソーを持って、それを引きずりながら、近づいてくる。

「圭介!」

居もしない保護者の名前を呼んで、汀は泣きながら、はいつくばって逃げ始めた。

「やだ、来ないで! こっち来ないで!」

ドルン、と音を立ててチェーンソーのエンジンが起動し、さびた刃が高速回転を始める。

「やだ怖い! 怖いよぉ! 怖いよおお!」

絶叫して、汀はうずくまって目を閉じ、両耳をふさいだ。
ドルン、ドルンとチェーンソーが回る。
ザシュリ、ザシュリ、と男が足を踏み出す音が聞こえる。
そこで、汀は

「シャーッ!」

という声を聞いた。
驚いて顔を上げると、そこには全身の毛を逆立て、汀と男の間に四足で立ち、牙をむき出している子猫の姿があった。

「小白、危ないよ。こっちおいで、逃げるよ。小白……!」

おろおろと、汀がかすれた声で言う。
男は、さして気にした風もなく、また足を踏み出した。

「シャアアーッ」

小白が威嚇の声を上げた。
途端、白い子猫の体が、風船のようにボコッ、と膨らんだ。
それは、唖然としている汀の目の前でたちまちに大きくなると、
体高五メートルはあろうかという、化け猫のような姿に変わった。
小白が、汀の体ほどもある牙をむき出して、威嚇する。

「小白、駄目!」

汀が叫ぶ。
そこでドクロマスクの男は、たいまつを脇に投げ捨て、
チェーンソーを振りかぶって小白に切りかかった。
化け猫の眉間にチェーンソーが突き刺さり、回転する。
しかし、小白はそれに動じることもなく、額から血を噴出させながら、頭を振り、巨大な足で、男を吹き飛ばした。
人間一人が宙を舞い、燃えている椰子の木の群れに頭から突っ込む。
小白はニャーと鳴くと、震えて動けないでいる汀のことをくわえて持ち上げ、男と逆方向に走り始めた。

『汀!』

目をぎゅっと閉じた汀の耳に、どこからか圭介の声が聞こえた。
汀はそこでハッとして、自分をくわえて走っている小白に言った。

「圭介だ! 目を覚ますよ。小白もついてきて!」

目の前に、突然ボロボロの、木の板を何枚も釘で打ちつけた奇妙なドアが現れる。
それがひとりでに開き、中の真っ白な空間が光で周囲を照らした。
背後でチェーンソーの音が聞こえる。
振り返った汀の目に、人間とは思えない速度で、こちらに向かって走ってくる男の姿が映った。
小白は、それに構うことなく、誰に教えられたわけでもないのに、明らかに小さなそのドアに頭を突っ込んだ。
ポン、という音がして、汀が宙に投げ出される。
ドアの中の白い空間に、汀と、小さな姿に戻った小白が飛び込む。
そこで、彼女らの意識はホワイトアウトした。



「汀、起きろ。大丈夫か、おい、汀!」

切羽詰ったような圭介の声が聞こえる。
汀は真っ青な顔で、ものすごい量の汗を流しながら、目を開けた。

「け……圭介……?」
「すぐにこれを飲め。早く!」

圭介が、いつになく慌てて、汀の耳のイヤホンを引き剥がし、彼女の口に錠剤をねじ込む。
ペットボトルのジュースと一緒に、苦い薬が体の中に流し込まれる。
続いて圭介は、汀の右手を掴んで、ポケットから出した小さな注射器を静脈注射した。

「落ち着け。ここは現実の世界だ。俺がついてる。分かるな?」
「ここ、どこ……?」

はぁはぁと荒く息をついて、汀がそう聞く。
彼女の右手を、両手で強く握ってしゃがみ込み、圭介は言った。

「元老院だ。お前、俺が渡した薬を飲まずに寝たな? 何回繰り返せば気が済むんだ!」

怒鳴られ、汀は力なく頭を振った。

「……覚えてない。分かんない……」
「…………ッ」

忌々しげに舌打ちをして、圭介は深く息をついた。

「……少し目を離すとこれだ」

そこで、汀の服にもぐりこんでいた小白が顔を出し、圭介の手に噛み付いた。

「痛っ!」

小さく言って、圭介が慌てて汀から手を離す。

「ニャー」

小白が威嚇するように鳴く。

「この猫……!」

噛まれたところから血が出ている。
しかし汀は、小白を弱弱しく抱いた。

「ぶたないで……小白が、助けてくれたの……」
「…………」

圭介は傷を揉んで止血すると、頭を抑えてため息をついた。

「しばらく寝るな。俺がいいというまで起きてるんだ。できるな?」
「…………うん」
「帰るぞ。その生意気な猫も一緒にな」
「猫じゃないよ……小白だよ……」

そう言って、汀は小白の小さな体を、ぎゅっ、と抱きしめた。



次の日、汀は頭をふらふらさせながら、車椅子に乗っていた。
それを押しながら、圭介が半ばノンレム睡眠状態に入っている汀を、息をついて見る。
赤十字病院の入り口には、多数の報道陣が待ち構えていたため、裏口から入って、今、施術室へと向かっているところだ。
報道陣も、顔を出すことのないマインドスイーパーの姿を捉えようと必死だ。
早く施術室に汀を誘導したかったが、当の彼女が、単純に「寝不足」のために体調が不良であることに、圭介は頭を悩ませていた。
道具と一口に言っても、やはり人間は人間だ。
それに、汀は普通の女の子ではない。
そう、普通ではないのだ。
施術室の前には、大河内をはじめとした、多くの医者が集まっていた。
大河内がふらふらしている汀を見て、一瞬顔を青くする。

「汀ちゃん!」

声を上げて近づいた彼を制止して、圭介は周りを見回した。

「すぐにダイブに入ります。患者の容態を見るところによりますと、もう猶予がありません」
「…………容態は深刻だ。先ほど、事態が急変した」

大河内がそう言って、圭介と汀を施術室の中へと誘導した。
医師たちが、顔を見合わせて心配そうな表情をしながら、大河内の後に続く。

「急変とは?」

圭介が聞くと、大河内は機械的にそれに返した。

「赤十字のマインドスイーパーが二人やられた。患者も、このままステる(死亡する)確立が高い」
「マインドスイーパーがやられた時間帯は?」
「つい先ほどだ」

圭介達の脇を、鼻や口から血を流している少年と少女が、担架で運ばれていく。
大河内は歯を噛みながらそれを見送り、忌々しそうに呟いた。

「……精神世界で殺されると、現実の肉体にも多大なる影響が及ぶ。あの子達は、もうマインドスイープ出来ないかもしれない」
「無駄話をしている暇はない。早く準備に取り掛かかってください」

圭介は大河内の声を打ち消し、固まっている周囲に向けて、淡々と声を上げた。

「何をしているんです? レベル6の患者の治療には、皆さんの協力が要ります。患者に鎮静剤を投与してください。麻酔の量を二倍に。早く!」

圭介が、施術室のベッドに縛り付けられてもなお、ガタンガタンとそれを揺らしながら暴れている患者……死刑囚を見て、声を荒げる。
そこで、彼の隣に腰を下ろしてマスクを被っていたマインドスイーパー……十五、六ほどの男の子の口から勢い良く血が噴出した。

「三番、やられました! ダイブ続行不可能です!」
「すぐに回線を切れ! 一緒に引きずり込まれるぞ!」

中で医師や看護士達が、大声で喚いている。
吐血した少年は、ダラリと椅子に脱力すると、そのまま崩れ落ちた。

「ダイブ中のマインドスイーパーを、全員帰還させてくれ。邪魔だ」

大河内に圭介が耳打ちする。
それに対し、大河内は苦々しげに言った。

「駄目だ。意識的境界線が張られていて、元に戻れないらしい」
「どうして俺達の到着を待たなかった?」
「お前達こそ、施術予定時間を三時間も遅れてどうした? それに、汀ちゃんが到底、ダイブできる状態だとは思えない」
「できるさ。秘策を持ってきた」
「秘策?」

圭介はそこで、車椅子の後ろ部分に取り付けてあった小さなケージをあけ、中から小白をつかみ出した。

「ニャー」

鳴いた猫を呆気に取られて見て、大河内は声を荒げた。

「猫だと? お前、そんな科学的根拠のないまやかしに任せるって言うのか?」
「まやかしじゃない。偶然かどうか分からないが、この猫にはマインドスイーパーの素質があるらしい。最低でも汀の盾くらいにはなる」
「ふざけるなよ! レベル6の患者の治療に当らなきゃいけないんだぞ! それをお前は……!」
「無駄話をしている時間はないと言っただろう」

大河内を押しのけ、圭介は汀を暴れている死刑囚の隣の機械の前に設置した。
そして何度か彼女の頬をぴたぴたと叩く。

「起きろ、汀。起きるんだ」
「…………起きてるよ…………」
「これから治療を始める。出来るな?」
「……」
「汀?」
「…………できるよ」
「よし。今日はいいものを持ってきた」

そう言って圭介は、汀の手首に、小白の首に繋がっているリードを結んだ。
そして小白を彼女に抱かせる。
猫はすぐに汀の膝の上に丸くなると、顔を上げて、ニャーと甘えた声を出した。
それを見て、とろとろとした表情だった汀が、笑顔になる。

「小白も、一緒に行く?」

問いかけられ、猫はニャーと鳴いた。

「これは私達に対する冒涜だぞ、高畑」

大河内が肩を怒らせてそう言う。
圭介はそれを無視し、汀の耳にヘッドセットをつけると、マスク型ヘルメットを被せた。

「時間は十五分でいいな?」
「…………うん…………」
「端的にこの患者について説明しておく。まずは……」
「………………」

すぅ、すぅ、と言う寝息が聞こえる。
圭介は慌てて顔を上げ、声を張り上げた。

「五番、今すぐに接続してください! ダイブに入りました!」



汀は、いつもの病院服で暗い地下牢のような場所に立っていた。

「…………」

しばらく状況を理解できなかったのか、彼女はきょとんとして停止していた。
足元で、小白がニャーと鳴いた。
猫を抱き上げて肩に乗せ、汀は呟いた。

「どこ、ここ……?」

そこで、ボッと言う音とともに、壁の蝋燭に自然に火がともった。
薄暗かった部屋の中があらわになる。
そこは、錆と腐った血液、それと据えた何か生物的な悪臭が漂う、牢屋の中だった。
壁には磔台や、ソロバン型の拷問器具、鞭、三角形の木馬など、大小さまざまな拷問道具が、綺麗に陳列されている。
部屋の隅には石造りの水槽があり、磔台が取り付けられた水車が、ガタン、ガタンと揺らめきながら回っていた。
しかし、それよりも異様だったのは、部屋の中、いたるところに白い糸がはびこっていたことだった。
触ると、粘って指に細い糸を引く。
まるで、蜘蛛の糸のようだ。
良く見ると、薄汚れた壁は、その糸が絡み合ってレンガのような形を作り上げているものだった。
鉄格子も、糸が寄り集まって出来ている。
十畳ほどの部屋の中を見回し、汀は、そこで思い出したかのように耳元のヘッドセットのスイッチを入れた。

「……圭介?」
『汀、時間がない。短く説明するから、すぐにその患者の中枢を見つけてくれ』
「私、ダイブしてるの?」
『そうだ。その患者はレベル6。死の一歩手前にいる。極めて危険な状況だ。精神構造も変化して、極Sランクの危険区域、変質形態Sの六乗と指定されてる。なるべく早くそこを出ろ』
「……分かった」

頷いて、汀は深呼吸して、足を踏み出そうとした。
そこで彼女は、ガチャリと音がしたのを聞いて、足元に目をやった。
汀の右足に、鉄枷がはまっていた。
鎖は壁に繋がっている。
汀は、何度かそれを引っ張って、動かないことを確認すると、ため息をついた。

「そう簡単にはいかないかも」
『どういうことだ?』

「捕まっちゃった。この人、対マインドスイーパー用のトラップを心の中に沢山設置してるみたいだね」
『極稀に、心への進入を許さない特異体質がいる。それがその患者だ。何とかしろ』
「最悪」

顔をしかめた汀の耳に、そこでズリ……ズリ……という何かを引きずる音が聞こえた。
小白が、毛を逆立ててシャーッ、と言う。
少しして、鉄格子の向こうに人影が見えた。
体中に包帯を巻いている。
全裸の男だ。
包帯の所々から血がにじんでいる。
男の手は、六本あった。
足も混ぜると、四肢ではなく、八肢だ。
わき腹から伸びた手で壁の糸を掴んで、
男はぐるりと向きを変え、汀の方を向いた。
その目、包帯から除く眼球がぎょろりと動き、口が裂けそうなほど広がる。
男は、四肢にそれぞれ、束にした三、四本ほどの包丁を持っていた。
黒いビニールテープで、包丁が無造作に束ねられている。

「トラウマを見つけたよ。見つけられたって言ったほうが早いかな?」
『すぐに離れろ』
「無理っぽい」

クスクスと笑って、拘束された汀は面白そうに言った。

「拷問って、一回受けてみたかったんだぁ」
『…………』

マイクの向こうの圭介が唾を飲んで、そしてため息をついた。

『……お前、俺を怒らせたいのか?』
「怒らないでよ……そんなつもりで言ったんじゃないよ」
『ならすぐに離れて、中枢を見つけてくれ』
「…………分かった」

シュン、として汀は男から目を離した。
男は鉄格子に手をかけた。
鉄格子がぐんにゃりと歪み、人一人通れそうな空間が開く。
そこから進入してきて、八肢の包帯男は、キキキ、と奇妙な声を上げた。

「折角だけど、私、おじさんの方が好みだな。若いと駄目」

そう言って、汀は強く、左腕を壁に叩きつけた。
ベコッ、とレンガのような壁が歪み、汀の足を拘束している部分が砕け散る。
足で鎖を引きずって、汀は笑っている男の方に足を踏み出した。

「それに、わざわざ好き好んで、嫌味そうなトラウマと戦うつもりもないし……ね!」

足を振って、鎖で男の顔面を殴りつける。
張り飛ばされ、男は簡単に床を転がり、壁にたたきつけられた。
汀は鎖を手で引きちぎり、それを脇に放り投げてから、鉄格子の空いた場所から外に出た。
そして、いくつも並んでいる牢屋の部屋の前を駆け出す。
少し行ったところに階段があり、その先のドアが開いていた。
そこに飛び込み、ゴロゴロと転がる。
起き上がった汀の目に、真っ暗な空が映った。
そこは、洋風の城の一角だった。
テラスになっていて、下が見えるようになっている。
近づいて下を覗き込むと、城は、ボコボコと泡立つ、ヘドロの海の中に建っていた。
どこまでも、果てしなくヘドロが続いている。
時々、トビウオのように、何か巨大なものが水面を跳ねるのが見えた。
いびつな城だった。
三角錐の屋根が所狭しと立ち並んでいる。
そこで、背後からキキキという笑い声が聞こえた。
振り返ると、包帯の八肢男が出てくるところだった。
否、一人ではない。
二人。三人。
四人。
合計四人の、同じ格好をした同じ背丈の男達が、綺麗に整列する。
そのうちの一人が、木造りの十字架に、両手両足を巨大な釘で磔にされた女の子を抱えていた。
女の子の手足は奇妙な方向に折れ曲がり、意識はないようだ。
汀と同じように、病院服を着ている。

「マインドスイーパーだと思うけど、見つけたよ。トラウマに捕まってる」

汀がそう言うと、マイクの向こうで圭介は少し考え込み、言った。

『救出できるか?』
「難しいんじゃないかなぁ」
『無理なら諦めて中枢を探せ』
「分かった」

淡々とやり取りをしている間に、蜘蛛男達が汀を取り囲む。
汀はそこで、十字架を担いでいる男に向き直り、ニヤァと笑った。

「何で近づいてこないの? ほら、私はここだよ」

パンパンと挑発的に手を叩いて、汀は言った。

「鬼さんこちら、手の鳴る方へ!」

男達が一瞬制止して、一斉に束ねた包丁を取り出した。
その目が円形に見開かれ、けたたましい絶叫を上げる。
凄まじい勢いで汀を囲む円が狭まり、彼女は振り上げられた包丁を、無機質な目で見つめた。
そこで小白が、シャーッ! と鳴き、汀の肩の上で、風船のようにボコリと膨らんだ。

「小白……」

驚いて呟いた汀を覆うように、小白はムササビを連想させる形に変形すると、彼女の代わりに全ての包丁を受けた。
しかしそれは突き刺さることなく、 キンキンキンキンと鉄にでもたたきつけたかのような金属質な音が響き渡る。

「凄いね小白! 私にはそんなことできないな!」

目の前の猫の頭をなで、汀は十字架を抱えている男を殴り飛ばした。
人一人が簡単に数メートルも吹き飛ばされ、壁にたたきつけられる。
転がった十字架を、女の子ごと拾い上げ、汀は外に向かって走り出した。
男達が絶叫を上げて追いすがる。
汀は、パラシュートのように広がった小白の両足を片手で掴んで、無造作に宙に体を躍らせた。
そこで、彼女達の意識は、ホワイトアウトした。
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