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死神退散の秘術
 < 地・水・火・風・空・識 >

両手で印を結び、呪文を唱えながら現れたのは、風魔小太郎であった。
風魔小太郎は大きかった。白人のように肌は白く、髪の毛は茶色だった。
「あけましておめでとうございます。」
すると、みんなも「あけましておめでとうございます。」と挨拶をした。
姉さんは、小太郎にに駆け寄った。
「小太郎おじさん。お願いがあるの。」
「なんだね。」
「この人を、死神退散の秘術で助けて欲しいの。」
「死神退散の秘術?」
「はい!」
「わし一人では、できんぞ。貧乏神の助けが要るぞ。」
「知ってます。」
「貧乏神はいるのかね?」
「います。」
姉さんは後ろを見た。
「あれ、貧乏神さまがいない。」
若者が答えた。
「ちょっと前に、消えてしまいました。」
「えっ、なんで、なんで!?」
「さ〜〜ぁ?」
お父さんが答えた。
「おじいちゃんが来たら、いなくなっちゃったよ。」
「えっ?」
おじいさんは、にこにこ笑っていた。それは、いつもの丸い笑顔だった。
「じゃあ、できないじゃない。」
お父さんが「直ぐに戻ってくるんじゃないか。」と答えた。
「仕方ない。おじいちゃんと、小太郎おじさんの食事を作ろう。」

一時間待っても、貧乏神は帰ってこなかった。
おじいちゃんは、「ごちそうさま。」と、言って誰も知らないどこかに帰って行った。

 人生は 生きるも八卦 死ぬも八卦 紙一重で あっというまに間に変わってしまう

おじいさんが去ると、貧乏神は姿を現した。
『いや〜〜、ちょっと急用を思い出しましてなあ。』
みんなとテレビを見ていた姉さんが立ち上がった。
「帰って来たのね。あ〜、良かった!」
奥のソファーでテレビを見ていた風魔小太郎がやってきた。
「貧乏神殿、よろしくおねがいいたす。」
『久し振りだのう、小太郎どの!』
「そういえば、昔、お世話になりましたなあ。」
『なにかと、縁がありますのお。』
「じゃあ、よろしくおねがいいたしまする!」
『こちらこそ、よろしく頼むぞ!』
「貧乏神殿、では始めますか?」
貧乏神は若者に、『若者、こちらに来なさい!』と言って手招きをした。
若者は、貧乏神の前まで来て止まった。
『そこに正座して座りなさい。』
「はい!」
若者は静かに座った。
『小太郎殿、よろしいかな?』
小太郎は、両手で印を結ぶと、しっかりと言った。
「いつでも、よろしいでござるぞ!」
『若者、では行くぞ!』
「よろしくおねがいします!」
死神は、わなわなと震えていた。

 人は なぜ生きるんだろう こんなにも苦しいのに
  人は なぜ生きるんだろう こんなにも悲しいのに
 涙を流しても 誰も教えてくれない 誰も語ってくれない



この小説は、<妖精スミレちゃん>に続きます。

同作者の最新作は、人間村 です。

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