シュールミント(22/75)縦書き表示RDF


シュールミント
作:六角オセロ



だじゃれ妖怪


「おまえたち、何をしとるんだ?」それは、猫の化け物の声ではなかった。
猫の化け物は、「わぁ〜〜〜〜!」と叫び、あっという間にどこかに逃げて行った。
若者は後ろを振り向いた。
天邪鬼あまのじゃくだ!』
「何をしとるんだ?」天邪鬼あまのじゃくは目玉を寄せ、不思議そうに問うた。
若者は、侍の言葉を思い出していた。<近づいたら、おぬしも天邪鬼になるぞ>。
『あっちに行け!』
「や〜だよ。一緒に遊ぼうよ。」
若者は、妖怪温泉に向かって走り出した。後ろを振り向くと、天邪鬼が面白そうに追いかけてきた。
「どこに行くのじゃい。」
『わ〜〜、助けて〜!』
「助けてあげな〜い。」
赤い門があり、【妖怪温泉青鬼門】と書いてあった。
『あっ、ここだ!』
若者は門の前で曲がろうとしたが、足を滑らせ転んでしまった。
天邪鬼は意外と早かった。門の前まで来ると、両足を広げ、両手を広げて行く手をはばんだ。
「とうせんぼ!」
『あっちに行け!』
「や〜だよ!」
突然、門の奥の透明ガラス張りのドアが開き、誰かが傘を差して駆けながら出てきた。
見覚えがあった。森の公園で助けてくれた、けんけんけんの姉さんだった。
『あっ、きょん姉さんだ!』
きょん姉さんは、天邪鬼の近くまで駆け寄って来ると、天邪鬼の肩を後ろから軽く叩いた。
天邪鬼が振り向くと、姉さんは首をかしげ、にこっと笑った。
「ねえねえ、一緒に遊ぼうよ!」
すると、天邪鬼は急に不機嫌な顔になり、「や〜だよ!」と言って、海岸の方に去って行った。
『あれっ?行っちゃった!』
「反対のことを言えばいいのよ。」
『あっ、なるほど・・そうか。』
「びしょぬれじゃない。着替えないと風邪を引くわよ。いらっしゃい。ついてらっしゃい。」
若者は黙って彼女について行った。
ドアの右横には、3メートルほどの青鬼が立っていた。
「これは、裏門の守り神なの。表門には、赤鬼が立ってるの。」
若者は、青鬼をコンコンと叩いた。
「プラスチックよ。」
中に入ると温かかった。一畳ほどのスペースの先は少しの段差があって、綺麗な板張りの広い部屋になっていた。
「そこで靴を脱いでください。」
『はい。』
若者は、靴下が濡れていたので、『靴下も脱ぎます。』と言って上がって行った。
『あれ。この床、温かいですね。』
「お湯が流れてるの。」
『へ〜〜〜ぇ。』
大きなテレビがあって、その前の長いソファーに白髪の男の人が座っていた。
その隣に、坊主頭の妖怪が座っていた。
「わたしの父です。発明家なの。となりの妖怪は、だじゃれ妖怪の駄洒落坊主。毒にも薬にもならない妖怪よ。」
妖怪は振り向いた。「そうりゃあないよ。姉さん。」顔は丸く、目玉は寄っていて、鼻はぺちゃんこで、口は尖っていた。
白髪の発明家は振り向いた。
「誰?」
「お父さん。この人、天邪鬼あものじゃくに追われてたの。」
「そうなの。それは大変だったね。」
『はじめまして。』若者は、ペコリと頭を下げた。
「仕事終わったの?」
「ペンキを塗るつもりだったけど、雨が降ってきたから止めたよ。」
「そうなの。」
だじゃれ妖怪の駄洒落坊主が、横から口を挟んだ。
「今日は、ぺんきが悪い。」
『なるほど。ははは、それは面白い!』
「駄目よ。調子に乗るから。」
駄洒落坊主は、白い尾っぽを見せながら、
「尾も白い!」と口を尖らせながら言った。
「ほ〜らね。」
姉さんは、駄洒落坊主を睨みつけた。
「あんた、隅にいなさいよ。」
「隅に置けないやつ!ってことで、隅ですみません。」
『ははは、面白い!』
「こいつバカなのよ。」
「バカも休み休み、イエ〜〜イ!」
「行こう、行こう!二階に浴室があるから案内するわ。」
若者は、彼女の言われるがままについて行った。
『お父さんにも、妖怪は見えるんですか。』
「見えるわよ。」
同じような扉が三つあった。いちばん手前の扉の前で止まった。
「ここよ。濡れた洋服は、そこの籠の中に入れておいて。中に浴衣があるから、それを着てください。」
『なんだか凄いところですね。』
「みかけだけよ。あっ、そうだ。下着とかも売ってるけど。どうします。」
『いくらですか?』
「パンツが五百円。ランニングシャツが五百円。」
『あっ、安いですね。それお願いします。』
「濡れた洋服、洗って乾かしてもいいかしら。」
『あっ、いいですよ。それおいくらですか。』
「それはいいのよ。そういうサービスはないの。だから無料。」
『いいんですか。』
「いいのよ。中に入ったら、松・竹・梅・エメラルドの伝説・ゆずの里のスイッチがあるから、どれかを選んで。」
『松・竹・梅・エメラルドの伝説・ゆずの里・・』
「香りとか効能とかが違うの。壁に大まかな説明が書いてあるから、それを読んで。」
『浴場は大きいんですか?』
「各浴室ひとり風呂よ。大きな窓があって、松原や富士山が見えるの。」
『へ〜〜〜。』
「あっ、そうだ。このカードを差し込んでね。」
姉さんは、胸のポケットからカードを取り出して、手渡した。
「用があったらインターホンがあるから。じゃあね。」
彼女は下って行った。
若者は、扉を開け入って行った。
『わぁ〜〜〜〜〜!』









 六角オセロゲーム 

 シュールミント・ドラゴンゲーム

 ♪テーマ曲 REBECCA - Friends 1985





ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう