「ちょっと〜!有樹!またあたしのあんぱん食べたでしょ!」
「知らねえよ。」
「うそつけ!ここに『ごちそーさん。by有樹』って書いてんじゃん!」
「あ、やべ。」
「こんの悪魔〜!」
この二人は家が隣同士の幼なじみ。家の出入りはお互いフリー。
「亜由美だって、俺のポルノグラフティのCD持ち出したじゃんか!」
「あ、あれは、ちょこっと借りただけだもん。」
「一ヶ月ぐらいなくなってたぞ!」
「え〜?そうだっけ?」
この二人はいつもケンカばっか。でも、普段はすごく仲がいい。そして、亜由美は、こんな有樹の事が好きなのだ。
「ほら、もう九時だから帰れよ。」
「有樹に言われなくても帰りますぅ。」
亜由美は玄関の方に向かった。
「おばさん。おじゃましました。」
「はい。また来てね。」
「じゃあ有樹、おやすみ〜。」
「ああ。じゃあな。」
次の日・・・・・
この二人は、当たり前のように一緒に学校に行っている。
「あゆ!おっはよん!」
後ろから亜由美の親友の珠理が走ってきた。
「はよ。珠理。」
「今日も仲良いですね〜。」
「べ、別に。」
珠理は、亜由美が有樹の事が好きなのを知っている。
「亜由美、俺部活あるから先行くぜ。」
「いつもサボってるくせに〜。」
「うるっせ。」
有樹は走って先に学校に行った。
「じゃ、あたしも部活あるから先行くね。」
「うん。じゃあ、学校で。」
「うん。」
珠理も行ってしまった。
「部活か。あたしもはいろっかな。」
亜由美はそんなことを思った。
ガラッ
「おっはー、あゆ。」
クラスの女子は、みんな亜由美の事を「あゆ」と呼んでいる。
「はよ。みんな何してんの?」
亜由美はクラスの女子達が集まって、紙に何か書いていた。
「クラスの美形ランキングだよ〜。やっぱ一位は笠川有樹だよね〜。」
亜由美はドキッとした。そう。有樹は、小学校の頃からもの凄くモテている。でも、有樹にはその自覚がないのだ。
「あゆも投票して。」
「あ、あたしはいいや。やめとく。」
「ええ〜?なんで〜?」
「い、いいじゃん。」
「ぶ〜っ。」
亜由美は心の中でこう思っていた。
『あたしだって有樹に投票したいよ。でもそうすると変に疑われるしな〜。』
亜由美は鞄の中から漫画を取り出すと、昨日読んだ続きを読み始めた。「16歳の夢」という、幼なじみが恋をする話だ。
『あたしも有樹とこうなりたいな。』
亜由美がパラパラ漫画をめくってると、後ろから有樹がひょこっと顔を出した。
「何読んでんの?」
「わっ、有樹。びっくりした〜。」
「お前そういうの好きだな〜。」
「いいじゃん。憧れてんの!」
「ふ〜ん。」
有樹は亜由美の隣に座った。
亜由美と有樹は、席が隣同士なのだ。
キーンコーンカーンコーンッ
チャイムがなり、みんなはいっせいに席に座った。
先生が教室に入り、授業が始まった。
キーンコーンカーンコーンッ
昼休み・・・・
「あゆ、お昼行こ。」
「うん。」
亜由美は、弁当を持って、珠理と裏庭に行った。
「ふぉわ〜、今日あっついね〜。」
「ね〜。」
二人は芝生の上に座った。
「も〜らいっ。」
有樹が亜由美の弁当の卵焼きを口の中にほうりこんだ。
「あ〜っ、有樹!あたしの卵焼き勝手に食うな〜!」
「いいじゃねえか。CD持ち出したお返し!」
有樹はパンが入った袋を肩にかついで行ってしまった。
「もう〜。」
「あゆいいな〜。」
「え?」
「あんなかっこいい幼なじみがいてさ。」
「べ、別に。」
「家の出入りお互い自由なんでしょ?」
「う、うん。」
「うらやましすぎる。」
珠理は遠くで笑ってる有樹を見つめた。
「あゆも、競争率高すぎだろ。」
「別にいいじゃん。」
キーンコーンカーンコーンッ
「あ、終わっちゃった〜!」
「早く!あのハゲ親父うるっさいからさ〜。」
「うん。」
放課後・・・・・
亜由美は、家に帰ったら有樹の家に行った。
「あら、あゆちゃん、いらっしゃい。」
「おじゃまします。」
亜由美は有樹の部屋に行った。
亜由美は棚から漫画を取り出して、ベットに寝っ転がった。
・・・・・
「有樹、遅いな〜。」
亜由美は次の漫画を取りに棚へ向かった。
すると、奥に写真のような物が見えた。
「ん?」
亜由美は奥の方に手を伸ばして、写真立てを手に取った。
「・・・・・え?」
それは、運動会の時の亜由美の写真だった。
「な、なんで・・・・・・」
亜由美は胸がドクンッと鳴った。
ガチャッ
「亜由美ー?来てんのか?」
亜由美はドキッとした。
「ゆ、有樹。」
有樹は、亜由美が持っている写真に気づくと、ばっと取り上げた。
「・・・・あ、あはは。ま、まさかね。有樹が・・・・そんな。」
すると、有樹は亜由美の腕を引っ張ってキスをした。
「っ・・・・やっ!」
亜由美は有樹を突き飛ばした。
「な、何すんのよ!この悪魔!どうし・・・・。」
「好きだからだよ!」
亜由美はびっくりした。
「亜由美のこと・・・好きだから・・・・。」
亜由美は顔が真っ赤になった。
亜由美は部屋を飛び出した。
「・・・・ははっ、かっこわり。」
有樹はしゃがみ込んだ。
亜由美は階段をダダッと駆け下りた。
「あれ、あゆちゃん、ジュース・・・・。」
「おじゃましました!」
亜由美は玄関をバンッと閉めた。
「うそ・・・・でしょ・・・?」
有樹が、あたしを好き?そんな・・・・まさか・・・・・。
亜由美はその夜、有樹のことで頭がいっぱいだった。
次の日・・・・
亜由美は、いつもより30分も早く家を出た。
「あゆ〜!おっはよ!」
「あ、珠理。はよ。」
「あれ?今日有樹は?」
「あ・・・・今日部活だって。」
「ふぅ〜ん。」
「・・・・・・・」
『亜由美のこと・・・・・好きだから・・・・。』
亜由美は昨日の有樹を思い出して胸がキュウッと締め付けられた。
キーンコーンカーンコーンッ
チャイムが鳴り、亜由美は鞄を持って、教室を出ようとしたら、有樹が他のクラスの女子に呼び出されていた。亜由美は気になって、後からそっと近づいていった。
たどり着いたのは、誰もいない裏庭。きっと告白だろう。
「ゆ、有樹君。好きなの。あたしとつきあって下さい!」
女の子は頭を下げた。亜由美は、有樹は絶対断るだろうと思った。が、
「・・・・・いいよ。」
亜由美はその言葉に胸がドクンッと鳴った。
「な、なんでよ・・・・・有樹の、有樹の・・・・・。」
亜由美は怒りで震えた手で、近くの花瓶を取り、
「ばかーーー!!!」
有樹の頭に投げつけた。
ガコンッ
「な・・・・!?」
有樹は頭を押さえながら振り向いた。
「あたしのこと好きってのは嘘だったの!?凄く嬉しかったんだから!」
「亜由美・・・・?」
「・・・・・・・好きなの。」
有樹はビックリしていた。
「有樹が、こんなにも好きなのに、嘘でも良いから嬉しかったのに、有樹のばか!」
亜由美は、泣きながら振り返り、全速力で走った。
「あ、亜由美!」
有樹は亜由美を追いかけようとしたが、動きを止めた。
『いや、これでいいんだ。これで・・・・。』
でも、有樹の胸の中には、亜由美が笑っていた。
『有樹!』
「・・・・・あきらめられるかよ!」
有樹は走り出した。
「ゆ、有樹君!」
前には、亜由美の後ろ姿があった。
有樹は、亜由美を抱きしめた。
「い、いや!離して!有樹なんか大嫌い!」
「いやだ!」
有樹は亜由美にキスをした。
「い、いや!好きじゃないなら、こんな事しないで!」
「嘘じゃない!亜由美のことが好きだ!亜由美は、俺にとって、天使の様な存在だった。だけど、幼なじみのこの関係を壊したくなくて・・・。だから・・・・。」
亜由美の肩に有樹の涙が落ちた。
「だから、嫌いなんて言うなよ。」
有樹は亜由美をギュウッと抱きしめた。
「有樹・・・・・。」
亜由美は嬉しそうに笑うと有樹にキスをした。
「あたしも有樹が好き!大好き!」
亜由美は有樹を抱きしめた。
「亜由美・・・・・・。」
すると、有樹は亜由美を持ち上げた。
「亜由美は軽いな!羽がはえてるみたいだ!」
嬉しそうに笑う有樹は、まるで天使のようだった。
というわけで、これは、悪魔が天使に恋をする、幸せなラブ・ストーリーでした。
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