始業式 放課後
2限目も終わり鞄に、配られた教科書の半分を詰め込み…
壱春は思う…
『…今日は散々だったな…』
生徒会室から、いや…千秋の姉の美波から逃げ出して教室に戻った頃には、もう1限目も始まっていた。
『始業式はサボるうえに、授業にまで遅れてくる…そこまでして怒られたいなら、放課後教職員室に来い! 』という事になり、そして今が放課後だ。
鞄を肩に掛け、教室を出る。
…
「失礼しまーす。」
…教職員室の中に入り遠山先生を探す。
「サンタ! 」
手を上げ『コッチコッチ』としている遠山先生の側まで行くと、プリントの束を渡される。
「遠山先生…コレは? 」
「まぁいいからついてきな。」
喋りながら、席を立ち歩き出す遠山先生の後を追い…壱春も教職員室を出て、隣の用務員室に入る。
ショボイ流し台やガスコンロ…少し高い段差の奥には六畳ほどの畳の部屋に、幾つかのロッカーが並べられ、真ん中に机がおかれている…
壱春も遠山先生に続き、向かい合って畳に座る。
「で…このプリントの束は何すか? 遠山先生。」
「『柚』でいいぞ!」
…。
「このプリントは何ですか?遠や…」
「『柚』でいいぞ。」
「遠…」
「『ゆず!』でいいぞ。」
…。
……。
壱春はため息をつき
「…柚先生。このプリントは? 」
遠山先生…いや…
柚先生は嬉しそうに『ニカッ』っと笑い
「まぁ良いだろう! このプリントはな…コレだよコレ! 」
修学旅行のしおりを机の上にポンと置き
「サンタには罰としてプリントをまとめてもらうからさ! 」
と言い、ホッチキスを渡してくる。
『まぁ30人分だし、柚先生と2人でならすぐ終わるな! 』
という壱春の甘い考えは柚先生の次の言葉で吹き飛ぶ…
「一応8クラス分あるからソレ! 後…手伝って貰おうなんて思うなよ? コレはサンタに対する罰なんだからさ! 」
遠山柚希は…綺麗な笑顔を向けながら、ポケットからホッチキスの針とタバコを取り出した…。
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