GW2 第5話
「父さん達遅いなー。」
コントローラーを持ちながらテレビの前に座る壱春は携帯電話で時間を確認してから、同じ様にコントローラーを持ち、テレビ画面を睨み付けている千秋に話し掛ける。
「…気が散るから話し掛けないでよっ!!あぁーー!!」
「よし…逆転!もう俺の勝ちは決まったなー。 って消すな消すなっ!!!」
壱春の声を無視してリセットボタンを押した千秋は、また対戦モードを選択する。
「さぁーハルちゃん…もう1回勝負しよっ!? 」
「……千秋。お前は弱すぎるからしばらくコンピューター相手に練習してろ。」
壱春はそう言うと持っていたコントローラーをカーペットの上に置き、テレビのすぐ横にある千秋のベッドの上に寝転びながら、棚に並べられている雑誌に手を伸ばし読み始めた。
最新号のファッション雑誌をパラパラと捲りながら横に目をやると、『それっ!』やら『わっ!!』とか『行けっ!!!』など独り言を呟きながらコントローラーのボタンを連打する千秋。
…10分後。
「ハルちゃーーーん…………。」
名前を呼ぶ千秋の情けない声で、集中して読んでいた雑誌からテレビ画面に視線を移す壱春。
「前半終了か? …『3ー0』で負けてるじゃん!? 逆転してやるから貸してみなっ!」
ベッドから身体を起こしてカーペットに座り直すとコントローラーを受け取る壱春。
そして千秋はさっきまでの壱春と同じ様に、ベッドに寝転びながらテレビ画面を見詰める。
さらに15分後…
「……よーしっ!!延長で逆点勝ちしたぞ千秋っ!! って寝てんのかよ? ………ったく。」
今の試合のハイライトシーンが画面でリプレイされるなか、薄手の毛布を千秋に掛けてあげ、
「…憎まれ口ばかり叩いてなきゃ、可愛い奴なんだけどな……。」
千秋の寝顔を少しの間見詰めて本当に小さな声で『ボソッ』と呟く壱春。
それと同時に千秋の部屋の扉が開き、美波が顔を出す。
「千秋ぃー。春坊ぉー。私も仲間に入れてぇー!! ………………何してるの春坊??もしかして今…『千秋の寝顔は可愛い』って思ってたでしょぉー!??? 」
「そんな事…ないですよ。」
美波の質問に冷静に答えながらも、千秋の部屋をキョロキョロと見渡し始めた壱春は
『オイオイ!!盗聴されてるのか…この部屋わっ!?? 』
心の中で慌てながら、ヌイグルミや目覚まし時計などを念入りにチェックし始め、
美波はそんな壱春を見て、不思議そうに首を傾げていた。
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