始業式第4話
「…って事で、今日は2限目終わったら帰ってもらうから、初日から寝るんじゃないぞー! 」
2ーDの担任の遠山先生が、大雑把に今日1日の流れを説明した。
『1限目自己紹介って…何言えば良いのか悩むな…。』
大事な新学年の一発目。壱春は考える。
目立つ事はしたくないから…当たり障りなく…
「そーいえば、ウチのクラスの生徒が学園でたった1人、新学期早々遅刻したぞ! 」
一瞬、壱春の思考が止まる…。
「とりあえずソイツは生徒会室に行って、遅刻届けの用紙貰いに行けよ! えっーっと…名前は…んっ?……サンタ?………サンタ壱春! 」
坊主頭が席から腰を上げる…
「三田です…。」
「丸坊主のサンタか…覚えやすいな! 」
遠山先生がウンウン頷いていると
「ブッ!!! 」
健太が口を押さえて吹き出す。
『ケンタの奴、俺の坊主頭の話題に触れないと思ったら…笑いを堪えてたのかよ! 』
壱春は横目で
笑いをこらえ、片手を上げて『すまんすまん! 』とやっている健太の方を見ながら、もう一度先生に対して自分の名前を言う…。
「遠山先生! 自分の名前は三田じゃなくて、三田で…。」
「お前の事は今日から『サンタ』と呼ぶ事にするから! サンタも『遠山先生』なんて堅苦しい言い方しないで、私の事『柚』って読んでいいぞ! 皆も好きなように呼んでくれ! それじゃぁまた15分後の1限目でなっ!」
そう言うと教室の扉を開けて遠山先生が出て行く。扉が閉まる前に顔だけ覗かせて…
「サンタ。お前は急いで生徒会室に行けよ!! 」
…教室がざわつき始める。
『俺の普通で平凡な学園生活が…』
壱春が机に両手をつきうなだれていると
「壱やんはもう三田じゃなくて、三田に名前変えちゃったら、いーんじゃないのーー?? 」
広幸の大きな声で、『新しいクラス』という緊張感が和み、教室を笑いが包む…。
皆が笑顔の中で、健太や広幸と笑っている壱春を睨むのは千秋…。
『なんだろう…なんかお腹がムカムカするぅ…』
「…ちょっと保健室いってくるね。」
「千秋大丈夫ぅ? 一緒に行こうかぁ?」
席を立つ千秋の後を追うように、腰を上げる『安田奈緒』《やすだなお》。千秋とは同じ生徒会役員だ。
少し考えて…
「大丈夫だよなっちゃん。平気平気ぃ! 」
千秋は奈緒に手を振り教室から出て行く。
『サンタ』
それは私とハルちゃんが幼馴染みっていう…
仲良しっていう証拠見たいな言葉なのに…
そう千秋は思いながら唇を少し噛み……教室の扉を閉める。
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