楽しい火曜日 第10話
…。
少し歩いて、市街地のゲームセンターに着いた壱春と美波。
相変わらず美波は、笑顔で壱春の腕に『ベタッ』とくっついている。
なるべく人目を避けようと、『裏道』ばかりを選ぶ壱春と
少しでも多くの人に見てもらう為に、『大通り』ばかりを歩きたがる美波…。
その極端に違う2人の考えのせいで、必要以上に時間がかかってしまい、ゲームセンターに着いた頃には、『ジムの時間』まで30分程しかない。
「…美波先輩っ!急がないと予約してるジムの時間に……。」
携帯電話で時間を確認する壱春と
「わかってるわよぉー春坊。 それじゃぁ…とつにゅぅーぅぅ…!!」
そう言いながら、目の前にある『プリクラ機』へと入っていく美波。
その後に続いて壱春も中へと入る。
生涯で、まだ一度しか『プリクラ』を撮った事のない壱春は少しばかり緊張し、
その壱春の横で、美波は慣れた作業を黙々とこなす。
「……よしっ!コレでおっけぇーーい! ちゃんと『コイツ』の言うこと聞いてポーズとるんだよっ!? 春坊ぉーー!」
美波は少し興奮しているのか、『プリクラ機』を『バンバンッ!』と笑顔で叩き、壱春の横に立つ。
「…!」
無言で頷き、制服のネクタイを締め直す壱春…。
『パシャッ!』
その音が5回鳴ると同時に、プリクラ機の中から壱春の『大きな声』が…『ゲームセンター』に響き渡った…。
…そして、印刷された『プリクラ』を見て、目を見開き赤くなる壱春と
「よかったぁーー! チャント撮れてるぅー!」
そう言い、幸せそうな笑顔で喜ぶ美波の手には、
『壱春の頬にキスをする美波の姿』
を、綺麗に写し出したプリクラが握られている。
「…」
それを無言で奪い取ろうとする壱春の動きを感じ取ったのか、
美波はそのプリクラを鞄の中へとしまい、『ヒラヒラ』とスカートを揺らしながら
「今日はありがとぉーー!春坊もジムに遅刻しないようにねぇぇーーー!」
そう壱春に話し掛けながら、思いっきり
『投げキッス!!』
をして、美波はゲームセンターを笑いながら出ていく。
美波の投げキスを、壱春は首を横に傾けて、『無意識』で避ける…。
そしてその形で固まったまま立ち尽くし、美波の出て行ったゲームセンターの扉を見続けていた…。
美波は帰り道…何度も何度もプリクラを眺め
『楽しかった壱春との時間』
その事を思い出しては『うふふッ』と声に出して笑っていた。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。