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  春風 作者:給湯器
更に予想外 第1話


「あそこまで見事に人混みに飲み込まれていくのは……一種の才能だな。」


壱春はそう呟いた後、再度辺りをキョロキョロと見渡し、はぐれてしまった千秋の事を探す。
手を繋いでいれさえすれば、美波に頼まれた買い物もスムーズに終了すると思っていたのだが、千秋のドジっぷりの方が壱春の予想を上回る。

壱春は商店街の隅に寄り、人混みをさけた後、ポケットから取り出した携帯電話で千秋に電話をかけるが、コール音しか鳴らず、いっこうに電話に出る気配がない。

『オイオイ……。』

千秋が携帯電話を持ち忘れているという最悪な状況を想像しながらも、壱春は目印になるであろう『薬屋の黄色い看板の下に居る』とメールを書いて千秋に送った。

15分後…全く連絡してくる気配の無い千秋。
流石の壱春も心配というよりはイライラとしはじめていた。

『あのヤロー…後5分待って来なかったら絶対に帰ってやる!』

携帯電話で時間を確認した後に、ふと何気無く薬屋の店内を覗いてみた壱春は、一人の女性と目が合う。


「……。」


お互いの視線がぶつかり合う事数秒…ニヤついた笑みを浮かべる女性に対して壱春は一瞬ひきつった苦笑いを浮かべた後、急いで店内から逃げる様にして出ていくが、直ぐにその女性に腕を掴まれていた。


「ちょいと待てサンタッ!!なーーんで逃げるかなーー!? 」

「……いやいや、逃げてないっすよ柚先生…。急用と言うか、急いで千秋を探さないといけないんで……それじゃっ!!」


柚先生に向かって軽く手を上げ、そのまま立ち去ろうとする壱春の腕を離そうとしない柚先生は、逆にその手に力を込めて強く握る。


「『それじゃっ!!』じゃないってのっ!そうかそうか、それなら私も手伝ってやるよ!会計済ませてくるからそこで待ってなっ!」

「いや、本当、自分一人で大丈夫っ……」

「あぁ、一応先に言っとくけどさ、さっきみたいに逃げ様としたら…マジで殺っちゃうからねっっ?!」

「……。」


可愛げにウインクしてから店内に戻って行く柚先生だが、壱春に向かって飛ばしたのはハートマークでは無く、勿論ドクロマーク。


「………さっさと帰るべきだったな…。」


後悔してももう遅く、嫌な事が絶対に起こり始めると理解した壱春は、気分が悪くなり変な吐き気に教われていた。




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