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  春風 作者:給湯器
始業式第2話
「はぁー……。」

鏡の前で2度目の深いため息…。
昨日の出来事を思い出し、ため息と共に、ジワジワと怒りが込み上げてくる。


朝6時半に起きて、鏡の前でバリカンを使い始め、風呂から出た頃には7時半前。


「そろそろ出る準備しなきゃまずいな…。」

壱春は洗面所を出て2階の自分の部屋へ急ぐ。
制服に着替えながら窓の外…
千秋の部屋を見る。
『アイツはちゃんと起きてるのか? 』
心配になって窓の方へ向かおうとする……

「壱春ーーッ!あんた遅刻するよーッ! 」
「うぉっ! 」

不意に聞こえた母の大きな声に一瞬、体をビクつかせながら、時計に目を向ける。


急いで一階へ降りる。
勿論、朝飯を食べてる時間などない。母もそれは解っていたのか階段のすぐ横、玄関で昼の弁当を持ってまっていた。

「間に合いそう? 」

「まぁ大丈夫かな…」

急いで靴を履き、母の手から弁当を貰い玄関を出る。

「気を付けてね。」


「うぃーー…。」

気の抜けた返事をしながら、壱春は玄関のドアノブを離し弁当を鞄の中に押し込み、足早に歩き出す。『少し走るか?』
携帯の時間を見ながら家の近くのコンビニへ入る。



5分後…


「ありがとうございましたぁ! 」
コンビニ店員の声と同時に、今さっきまで読んでいたお気に入りの週刊雑誌を右手に持ち、学生のいない坂道の通学路を駆け出す。



今日は新学期だからいつもとクラスが違う…。
だが本気で走ればクラス替えの表で自分の名前を探したとしても間に合う!


久しぶりにマジで走ったー…。
勢いよく振った腕の反動で、壱春の手から表紙だけを残し雑誌が後方へ飛ぶ…。


雑誌を目で追いながらも、最後の曲がり角を最高速度で曲がる。

少し遠くに見える我が校の校門前に、生徒会役員の姿を見つけ
『間に合った!!』
と思った瞬間…


1人の少女が
他の生徒会役員を校門の中へと押し込み
門のスイッチを押す。


「まっ!まだ早いだろーーーっ!? 」




閉まり始める門の前で『ファックユー!』のポーズを決める幼馴染みの千秋……。


そして門が閉まり、校門前で1人取り残される壱春…。
そしてチャイムの音…。

…楽しい?新学期の始まりだ…。


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