ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  春風 作者:給湯器
新年 第2話


「あの2人って…付き合ってるのかな? ねぇーハルちゃん?? 」

「どーだろうなー。…ていうか親友なんだから直接安田に聞いてみろよ?!」

「それを言うならハルちゃんもでしょー!!」


前を歩く柚先生達から少し遅れて歩く壱春と千秋は、隣同士で仲良さ気に話をしている健太と奈緒を観察するかの様に見詰めながら小さな声で内緒話をしていた。
すると、一番先頭を歩いていた柚先生が立ち止まり振り返ると皆に向けて声をかける。


「おい!おみくじ引くぞおみくじ!!」


柚先生の言葉に賛成と言わんばかりに列に並び始める壱春達。
壱春の後ろに並んだ千秋が背中を指でつついて手のひらを差し出す。


「おい千秋…なんだその手わ? 」

「財布忘れちゃったから200円頂戴!」

「………人のお金でおみくじ引くなんて何考えてるんだまったく…。」


壱春が渋々といった感じで千秋に小銭を手渡すと、直ぐ横で先におみくじを引いた広幸が騒ぎ出していた。


「ヤッフー!!大吉さーんっ!!」


変な奇声をあげている広幸は、毎年おみくじで大吉しか引いた事が無いらしいが、いつもの学校生活を見ている限り全然良い事が無い。
むしろ殴られてばかりでその逆の悪い事だらけ。

そんな事を考えていた壱春の心を読むかの様に壱春の前に立つ健太が口を開いた。


「ヒロユキはおみくじで運を使い切ってるよなーイチハル!」

「ハハッ!俺も今そう思ってたぞ!健太はなんだった?」

「俺は中吉だ。」


そう言って自分の手に持っていたおみくじを見せてくる健太。
壱春も続いておみくじを引くとそれを開く。


「げっ!凶だっ!!」


もう一度引き直すか考えながらも、一応紙に書かれた内容を確認している壱春に広幸が近付き手元を覗き込むと、同情するといった様子で壱春の肩をポンと叩く。


「残念だったね壱やーん!こーいうのはヤッパリ生まれ持っての運勢だから仕方無いさーっ!でも…凶って初めて見たなー……。」


まじまじと壱春のおみくじを眺めている広幸に段々と腹が立ってきた壱春。
思わず手が出そうになった時、自分の手と違う手が広幸の顔を殴っていた。


「ダハッ!? 」


倒れた広幸を見下ろすのは勿論不機嫌な表情を浮かべる柚先生。


「凶がそんなに珍しいか戸高…なら大凶をじっくり見せてやるよ…ほらほらほらほらぁ!!」

「ちょっ!無理っす!目の中には入んないですってっ!!」


八つ当たりされている大吉の広幸と、楽しそうにニヤニヤ笑いながらおみくじを目の中に突っ込もうとしている大凶の柚先生。
それを見て、おみくじなんてやっぱり当てにならないなと改めて思う壱春だった。





+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。