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  春風 作者:給湯器
記憶喪失 第1話


「記憶喪失は治ったのかイチハル?!」


食堂でカツカレーを食べ始めた健太が壱春に質問するが、その壱春は皆の分の水を取りに行ってくれた広幸のうどんに七味を山の様に振り掛けて、嬉しそうにニコニコと笑っている。


「おーいイチハルー? 」

「おうっ?!何だ? 健太も七味いるのかー!? …あっ、すまん全部使っちまったから新しいの貰ってくるわっ!」

「七味じゃない、七味じゃない!記憶喪失はどうなんだ? 」


健太も壱春と一緒に、広幸の七味山盛りうどんを箸でかき混ぜながら苦笑いを浮かべている。


「あぁー、記憶喪失ねー。まぁ皆の事はちゃんと覚えてるし、生活に特に支障は無いんだけど…。」

「だけど…どうした?? 」

「どうもこうもあの美波先輩って人は凄いんだよねー…色々とさー。例えば今日だって…」


壱春が記憶喪失になってからの美波の言動を、健太に説明しようと話始めた時、コップを3つ持って戻ってきた広幸が2人の話に入ってくる。


「おーまたーっ!いやー食堂の給水ポイントがさー、混み混みで大変だったよー!!」


そう言って壱春と健太にコップを手渡す広幸は席に着き箸を取ると、うどんへと手を伸ばした。

それを見た壱春は笑いを堪える為に、自分で自分の頬を平手打ちしている。
一方の健太は完璧に無表情を決め込む。


「…なんか2人ともいつもより変だけどーー大丈夫なん?!壱やんに健ちゃん?!」

「いつも変なお前に言われたくないぞヒロユキ!」

「そうだヒロっ!…ブフッ!!ゲホッゲホッ!!」


変わらずの無表情でつっこむ健太とは違い、横目で広幸の事を見ながら水を飲み始めた壱春は耐えきれずに思わず水を噴き出して咳き込んでしまう。
そんな壱春を不信感に満ちた目で見ている広幸だが、そのままうどんを食べ始める。


「あーやしいなー!? また俺をおとしめる相談でもしてたっしょー2人とも?!まー、そう簡単にやられ無いけどねー!!アハハ!………うげっ!何だこれっ!辛いっ!!辛すぎだっっ!!焼ける…喉が……焼けるっ!!」


反応の鈍い広幸は3口程食べた後、表情を一変させて喉を押さえながら慌てて席を立つと、自販機へと向かい何度もスポーツドリンクのボタンを連打していた。


「…ブッ!!アハハハハハハ!!」


大爆笑している壱春と苦笑いしてる健太。
その健太が不意に真面目な表情で口を開く。


「話は戻すけど俺はやっぱり美波先輩もショック何じゃないか…って思うんだよなー。」

「ハハッ…へっ? 何でだ? 」

「何でってイチハル…好きな人に思い出どころか名前すら忘れられたらショックだろ? ましてや美波先輩はお前の事しか考えてないんだからさー。」

「……。」


そう言うとニカッと笑いカツカレーを食べ始める健太。
壱春は何かを考えながら、うどんを食べ始める。


「お、おいイチハル!!それヒロユキのうどんだぞっ?!」

「へっ?! ぐあっ!!喉が…喉が焼けるっ!!!」


壱春も広幸と同様に自販機へと向かい走り出していた。





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