こんにちは。
いつも読んでくれている方々、有り難うございます。
気付けば結構な話数になり、登場人物も少しずつ増えてきましたが、皆さんの好きな登場人物は誰でしょうか?
是非お願いします。
文化祭 第10話
「春壱ー!…あんた今、私の下着覗こうとしたでしょっ?!」
見上げていた時、丁度自分と目が合った壱春の事を軽蔑するかの様な疑いの目で見てくる美希。
壱春は溜め息をつきながらゆっくりと立ち上がる。
「見ようとするわけ無いでしょ…スカートならともかくとして、美希さんジーパンはいてるじゃないっすか。」
美希は現在黒のスキニーにロング丈の灰色のパーカー姿。
真下からどんなに覗き込んだとしても、下着など見る事も出来ない。
「あぁ、そうだった…あのエロ女にムカつき過ぎて忘れてたよ。」
美希は自分の服装を確認する様に一度目線を落とした後、顔を上げて壱春を見る。
「ところでどうするの? 」
「え? 何がっすか? 」
「何がって…アイツの言ってた劇よ!劇っ!!見に行くの? 」
「あぁー…まぁ別に何かして回るって予定もないですし、それに…行かないとその後が怖いっすからねー!」
困った表情を見せながらも、ニカッと笑う壱春に、美希も溜め息をついて両手を上げるとお手上げポーズを取る。
「春壱がどんな弱味を握られてるのか知らないけどさ、あのエロ女と付き合ったりしたら絶対に尻に敷かれるよ!? 私には分かるっ!」
「やっぱり…類は友を呼ぶみたいな感じで分かるんすかね??」
その壱春の言葉に顔を赤く染めた美希が、眉間にシワを寄せ今度は壱春に向けて拳を構える。
「………淫乱色魔のエロエロ女子高生と一緒にするなっっ!!また殴るぞ?!」
「冗談ですって、冗談っ!!」
壱春は手のひらを身体の前で振りながら後退りして美希との距離を取る。
「おい春壱っ!後ろ危ない…」
「えっ?」
「キャッ!!」
背中にドンとぶつかる衝撃と同時に女子生徒の声、そしてプリントの散らばる様な音が壱春の耳に入ってきた。
「すいません!私前見てなくて……」
「自分の方こそ廊下でふざけてたんでっ……って小雪先輩?!」
慌ててプリントを拾い始めた壱春は、ぶつかった女子生徒が小雪だった事に驚き、動かしていた両手をピタッと止める。
「久しぶりですね春君!でもぶつかっちゃって本当にごめんなさい。大丈夫でした? 私、チラシ配りなんて始めてだから…」
「……………」
「おい春壱っ!何ボーッとしてるんだよー?!手を動かせ手をっ!」
「えっと…『春壱』??」
チラシ拾いを手伝いだした美希の、壱春に対する名前を呼ぶ言葉に、不思議そうに首をかしげる小雪。
一方の壱春は、美希の言葉に我に返り再び手を動かしながら口を開いた。
「…小雪先輩のその格好は……。」
「これですか? このドレスの衣装は午後から始まるシンデレラの劇の『意地悪姉さん役』のものですよ。さっき迄は平気でしたけど…でも何だか仲の良い人に見られるとやっぱり照れちゃいますね。」
「……………。」
少しだけ頬をピンク色に染めたドレス姿の小雪に、又しても見とれ、そして固まる壱春。
チラシを拾い終えた小雪は美希にその中の1枚を手渡す。
「お暇でしたら見に来てくださいね!」
そう言って頭を下げてその場から立ち去る小雪を、手を振って見送る美希と、いまだに固まったままの壱春。
「良い子だね小雪ちゃん!エロ女よりあの子がシンデレラ役やった方がいいよ絶対にさ!!」
「………………。」
「……って聞いてんのかよハールーイーチーーっ!!」
「イッタアァッ!!急に何するんすか?!」
美希が壱春の尻を思いっきり蹴っ飛ばす事によって、壱春もようやく現実世界に戻ってきた。
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