大切な…月曜日第3話
壱春が門を出た頃、ちょうど千秋は家について、自分の家の玄関を開けた。
「ただいまぁー!」
勿論傘をさしていなかったので、小雨だとはいえ大分濡れていた千秋に、入れ違いで今から買い物に行こうとしている、母親の京子が
「おかえりなさい。
…チャント風邪ひかないようにしなさいよー。」
「分かってるー!」
階段をドタドタと勢いよく上る千秋の後ろ姿を見て京子は
『ずぶ濡れなのに嬉しそうにしてるなんて…変な子ね。』
フフッと笑いながら玄関のドアを閉めた。
…自分の部屋のドアを閉めて、鞄の中から壱春から貰ったオレンジジュースを取り出す千秋。
「可愛い…だってさ…。」
両手に持つオレンジジュースに『ボソッ』と独り言を呟くと、着替えを持ち一階におりる。
制服を脱ぎ洗濯機に入れると、鏡に自分の姿がうつる。
『お姉ちゃんみたいに…スタイル良ければなぁ…』
鏡にうつる自分の体型に少し落ち込みながらも、自分の笑顔を確かめる様に見て
もう一度、
「可愛い…か……。」
呟きながらみる自分の顔は、本当に嬉しそうな笑顔をしていた。
……
お風呂から上がり、頭にタオルを巻きながら自分の部屋に戻る千秋。
髪を乾かしながらも、千秋の視界の中には机のオレンジジュースが入っていた。
今この瞬間…考える事は『ハルちゃん』の事ばかり……。
千秋が、壱春の『憧れの人』に気付いてもうすぐ4ヶ月…。
あの時も、同じように壱春の事ばかり考えていたが、今は心が暖かい。
髪を乾かし、オレンジジュースを手に取り
『このままでもいいよね? 一緒に笑って過ごせるなら…好きでも…いいんだよね? 』
壱春に憧れの人が…例え『好きな人』がいても……、
私は『ハルちゃんが好き』……『大好き』なんだ。
いくら認めたくなくても…
『いつも側にいた…』
いや…
『側に居てくれた』
壱春の姿、声、行動全てが恋しくてたまらない。
そう…。
『全て』が……。
切なさと一緒に…もう一度『ギュッ』っと缶を握り…
大切な…
壱春の事を思う。
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