大切な…月曜日第2話
「終わったのか?」
「…。」
壱春の言葉に、相変わらず無言で頷く千秋に、
「ほらよっ。」
壱春の飲みかけのリンゴジュースと、同じ銘柄のオレンジジュースを千秋に渡し…
下駄箱に向かう。
靴を履き替えようと、下駄箱に手をかけながら、千秋が口を開く…
「………がとう…。」
「んー?…どうかしたか千秋? 」
「『ジュースありがとう!』って言ったの! ……あと、待っててくれて…ありがと……。」
後半は声が小さかったが、確かに聞こえた…。
壱春は持っていた靴を落とし、
「あぁ…どういたしまして。 」
平然に返しながらも、壱春は内心驚いた。
『千秋が…お礼言った…。何かあるんじゃないのか…!? 』
壱春が回りを見渡すが、勿論何かあるわけでもない。そんな事分かりきってはいるが、確認せずにはいられない…それほどに、『待っててくれてありがとう』
と言う千秋の言葉は久しぶりに聞く珍しい言葉だった。
靴を履き2人で外にでる。
さっきまで、晴れていた空は、灰色の雲が広がりポツポツと雨を落としている…。
「少し待てば止みそうだな。」
「…そうだね。」
壱春の言葉に笑顔を向けて頷く千秋。
エントランスの全面ガラス張りのドアに2人共寄り掛かっていた。
少しの沈黙の後に、壱春が声をかけた。
「無理して笑う必要はないけど…ヤッパリ千秋は笑顔の方が…似合うって言うか………『可愛い』と思うぞ! 」
「えっ!! 」
千秋の驚いた表情が、徐々に赤くなっていき…壱春を置いて、小雨の中を走っていった。
「おい千秋!雨に濡れるぞ!? 」
壱春の声は千秋に届かない…。
壱春はエントランスで雨が上がるのを待っている。
5分もすると晴れ間が広がり、壱春はエントランスを出て歩き出す。
頭をポリポリかきながら
『千秋につられて…普段言わない用な事…言っちゃったな……。』
…
『何か嫌な予感がする…。 なんて、俺の考えすぎかな…。』
壱春は嫌な想像をかきけすかのように、門を出て、家とは逆の方向に走っていった。
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