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  春風 作者:給湯器
勘違い 第1話


「おはよーさんっ!!おいどうしたサンタ…オデコに湿布なんか貼っちゃってさー?? 」


下駄箱前の1階階段前で柚先生に会う壱春。その壱春は額に湿布を貼ったまま登校していた。


「おはよーございまーす。……昨日の地震で石頭が降ってきたんすよ…。」


湿布の上から額を擦りながら苦笑いを浮かべる壱春に、高笑いしている柚先生がユックリと壱春に近付くと、一緒に並ぶ様にして階段を上がって行く。


「ハハハ!昨日沢尻をからかうからバチが当たったんだぞー!」

「ちょっとその事で相談なんすけど……」


隣を歩く柚先生に、壱春は少し真剣な表情で保健室での本当の事実をまだ千秋に伝えていない事、そして今日の朝もかなり久しぶりに千秋が壱春の事を起こしに来た事、そして何よりも…

「ハルちゃん寒い? 寒いなら私のマフラーかしてあげるよっ!…それの代わりと言っては何だけど……手を、繋いでいい? 手が冷たくて痛いから……。」

…何て事を言い出した千秋の話を始めた。


「…何ぃ?!まだ本当の事を言ってないのか?!」

「はいまぁ…。そこで柚先生に協力して貰おうかなと…。」


2階に上がる階段の途中で立ち止まり、口を開け驚いた表情を見せる柚先生と、頭をポリポリとかいて苦笑いを浮かべている壱春。


「…いやどう考えても沢尻に本当の事を私から言うのは無理だからな?!無理っ!!」


半歩後ろに下がりながら、右手をブンブンと振って身体全体で無理だと言う事を壱春に伝える柚先生は、深々と頭を下げ出した壱春を見てもう半歩後ろへと下がる。

「そこを何とかっ!!」

「ぜぇーたぁいっに無理だっ!!て言うか私を巻き込むんじゃないっ!!1人で何とかしろよサンタ!!? 」

「お願いしますっ!!」

「しつこーいっっ!!!」


気付けば半歩ずつ下がり過ぎて、階段の壁を背にする柚先生は、何度も頼み込んでくる壱春の額を思い切り叩き、その瞬間壱春の額に貼られていた湿布は勢い良く1階の方へと飛んで行く。


「……おっとそろそろ時間だから教室に行かないとっ!急げ急げ!!」


そして今まで時間など気にした素振りなど見せた事無い柚先生はその場から逃げる様に立ち去り、一方の壱春は頭を抱えて階段にうずくまっていた。

「イッテェーーッ!!……キスを煽ったのは柚先生達じゃないっすか……。」


独り言を呟く怪しい壱春を他の生徒達がコソコソと話をしながらすれ違って行く。
その時丁度1階から上がってきた広幸と出くわす。


「オッハヨー!!壱やーん!!そんな所でなーにしてんのー?!」

「ヒロか…いやちょっと悩み事を……っ!?アハハっ!!お前凄いよ!色んな意味で強運の持ち主だなっ?!」

「はいーっ?!」


自分を指差し爆笑している壱春の前で、意味が解らず首を傾げる広幸のアフロ頭の上には、さっき飛んでいった湿布が綺麗にへばりついていた。





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