体育祭当日 第8話
スルメ独特の臭いをアフロ頭から漂わせ始めた広幸はいまだにテンションを落としたままで髪の毛をいじくっている。
「ヒロユキー? まだ見付からないのか? 」
「もう既に髪の毛と一体化したんじゃねーの? 」
お互いの顔を見合わせてニヤニヤと笑う健太と壱春の事を気にする事無く、一生懸命な様子の広幸の姿に、自然と2人が爆笑してしまうのはやはり広幸のキャラだからなのだろう。
丁度その頃始まっていた借り物競争。
一斉に大きな箱からお題を引く各クラスの生徒達は紙に書いてある文字を見て目を見開く。
それは勿論千秋も一緒で紙を見たまましばしの間固まっている。
『アフロ』
そう書かれた紙を皆が持っていた。
「えっ?!何々どういう事?!!」
借り物競争に参加していた生徒達は混乱し始めて騒がしくなる中、マイクを持った柚先生が大きな声で叫んでいた。
「オイそこの生徒!何枚引いても書いてるのは同じだぞー。今年の借り物競争は題して『アフロ狩り』だ!!」
その言葉に借り物競争に参加していた生徒達は勿論の事、他のクラスの生徒達、そして爆笑していた壱春と健太も広幸へと視線を移した。
生徒達全員の視線を一身に受けた広幸は相変わらずアフロ頭のスルメを一生懸命探している。
「おいヒロユキ。お前……逃げた方が良いんじゃないのか?!」
「へっ?!何でさ?? 」
一連の流れを理解していない広幸は、スルメの足が結局見つからない事に不機嫌になりながら首を傾げた。
「聞いてなかったのかよヒロ?!お前のその自慢のアフロが狙われ…」
急いで説明を始めた壱春の言葉に被せるかの様に、柚先生はまたもやマイクを使い大声で叫んでいた。
「ほらほらボーッとしてないで突撃だ突撃!!」
借り物競争の生徒達を煽り出した柚先生の声に、生徒達はドッと広幸目掛けて走り出していた。
流石にそれを見た広幸は慌てて立ち上がると、両手でアフロを守りながら逃げ出し、気付けばいつの間にか借り物競争は壮絶な鬼ごっこへと変わっていた。
鬼に追いかけられているのは勿論広幸だけ…後、この様子を見て爆笑しているのは柚先生だけだった…。
借り物競争改め、鬼ごっこが終わった千秋に壱春が駆け寄り話しかける。
「おーい千秋!お前…唯一の参加種目の借り物競争がおかしい事になっちゃって…残念な体育祭になっち待ったなっ?!!」
「…うっさい!!」
悪気が無い笑顔で発せられた壱春の言葉に、余計に腹の立った千秋の怒りは爆発し、壱春を思い切り蹴っ飛ばしていた。
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