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  春風 作者:給湯器
晩御飯第4話


…。

「何だ美波の勘違いか! 壱春が俺の『息子』になるとおもったのにな! 」

また、『アハハ』と豪快に笑う陽介と

自分の勘違いに『エヘヘ』と可愛く笑う美波…。


陽介には苦笑い…、 そして美波には…無表情+『遠い目』で応える壱春。

「なっ何よぉ…『その目』わぁ?! 」


「別に……。」


素っ気なく返事を返し、視線を晩御飯の『すき焼き』にうつす。


「壱春君たくさん食べてね! 」


京子が肉を壱春のお皿に取り分け、

「そうだぞ。 肉は沢山あるからな。 好きなだけ食え壱春! 」

陽介は鍋の中に、ドンドン肉を入れていく。


「…はい!遠慮なく頂きます! 」


笑顔で応える壱春に、陽介と京子も笑顔を浮かべながら箸を動かす。

そして食事中、壱春や千秋、美波の昔話で『沢尻家』の食卓は常に笑い声が響いていた…。




…晩御飯を食べ終わり、リビングのソファーでテレビを見てくつろぐ壱春…。

後片付けを手伝うつもりだったが、『お客さんの壱春はゆっくりして』という事で、
酔い潰れた陽介、後片付けをしている京子と千秋を除いて、
美波と壱春がソファーに座ってテレビを見ている…。


…美波はチラチラと、目の前のテレビでわなく、隣に座る壱春を見ている。

晩御飯の時に素っ気ない態度をとってから、美波から話を振る事はなく、壱春も話題を作る事はない…。
だから『沈黙』が生まれる……。

美波は……思い切って壱春に話し掛ける。


「春坊…まだ…怒ってる? 」


いつもの美波からは想像も出来ない程、小さな声で……。



「さっきはごめん…! 」


壱春の言葉に、美波が驚いた表情で壱春を見て、壱春はテレビを見ながら頭をかく。

「なんか……ムキになってました…。」


言葉を続け、両手を『グッ』と伸ばし、背伸びをする壱春…その耳は少し赤くなっている…。
それは、美波と同じ様に、壱春も『気まずい雰囲気』の中で、勇気を出して美波の問いに答えた証拠だった。


壱春はそのまま、ソファーから腰を上げ、


「今日は御馳走様でした!! 」


「もう帰るの?」

そう聞き返す京子に、笑いながら会釈をして、リビングから玄関へと向かう…。

靴を履き、玄関を出ようとする壱春を、

「また明日ね! 」
と嬉しそうに、美波が見送る。


「…」


壱春は一呼吸置き、何も言わず笑顔で玄関を閉め外に…………









出なかった。
何かを思い出し
表情を笑顔から切り替え、もう一度リビングへと入り…問い掛けた。


「ところで千秋! お前は何を隠してるんだ!!?? 」


その声に


「…ヒイッ! 」


と呻き、皿を落とす千秋…。



…………『次は逃がさないからな…』


壱春の目の笑ってない笑顔に、もう一度身体をビクつかせる千秋…。


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