晩御飯第3話
……。
ジリジリと詰め寄る壱春と、隙をつき部屋から逃げ出そうとしている千秋…。
「言っとくが、隠してるソレを見せない限りは……部屋から逃がさないからな。」
千秋は『心を見透かされた!』そんな表情を浮かべ、さっき異常に
「イッヒッ!」
っと大きな声で、青ざめ…腰をかがめる。
『来る! 』
壱春は、千秋が動き出すと同時に左側に体重をかける…。
いつもの千秋からは…、想像もつかない早さで壱春の横を通りぬけようとする。
『…クソッ!! ヤバイ!!』
壱春が、左手を思い切り伸ばす……!
……壱春の左手は、むなしく空を切り、千秋の身体は、その横をすり抜ける。
バランスを崩し、フローリングの床に膝を着く壱春。
その目に映るのは…、
『私の勝ちだぁ! 』という笑みを浮かべたまま、足がもつれ顔面から床に着地する……千秋の姿だった。
「……ちょうどカーペット敷いてる所で良かったな…。フローリングでぶつけてたら、こんなんじゃ済まなかったぞ? 」
千秋を目の前に座らせ、鼻にティッシュをあてる壱春。
「ぎゅうにばいっでぐるバルぢゃんがわるでぃんだぼぉん……。」
まぁ大体聞き取れた。
「もう平気か? 」
「……だいじょぶ…。」
壱春の言葉に、少し鼻をすする千秋……。
そして『ニコッ』と頬を染めた可愛い笑顔を向けるが、鼻から血が落ちてきている…。
もう一度…、壱春は千秋の鼻を拭いてあげると、急に『眉間にシワ』をよせる千秋…。
…気づかない内に、少しドアが開いていた…。
「少し強くやり過ぎた…。平気か? 」
壱春は心配し、
「痛かったけど…だいじょぶ。」
と千秋は答える……
同時に部屋のドアが『バンッ! 』と開く。
「ちょっと千秋! あっ!あんた達何してるのよ?! 」
美波は、千秋と壱春を見て、部屋の様子をうかがい…表情を青に染め………
「……いぃーーーーーやぁーーーーーーーー!! 」
と、叫びながら階段を降りていく…。。
壱春と千秋は顔を見合わせ、部屋の様子を見て、それぞれが考える…。
『強くやり過ぎた』
『痛かったけど平気』
必要以上に身体を近づけている春坊と千秋
そして血に染まった『ティッシュの山』…。
美波、千秋、壱春……3人は高校生…。
まぁ少しは大人だ…。
「「…いやいやいやいやいやいや!!」」
…千秋と壱春の2人は声を揃え、叫びながら部屋を飛び出し美波を追いかける!
「美波先輩の! 」
「お姉ちゃんの! 」
「「想像はちがーう!! 」」
…2人の声は、届かず……千秋の両親の喜びの声が『沢尻家』に響いていた………。
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