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  春風 作者:給湯器
夏祭り 第4話


「いやー大量大量っ!やっぱり私は天才だなー!!そう思わないかサンタっ!? 」


「……そうっすねっ。」


射的ゲームでの賞品を大量に取って上機嫌の柚先生の横を、溜め息混じりに歩く壱春の手には、大きめのビニール袋一杯に詰められた変なヌイグルミ。

『こんなキャラクター…見た事無いぞ…』

色や表情など、バリエーション豊かな変なヌイグルミを真剣に見詰めている中、壱春の携帯が震えだす。

柚先生から少し離れた所で携帯を開くと、画面には千秋の文字が表示されていた。


「もしもーし…」

「どんだけトイレが長いのよハルちゃんわっ!!!」


「っ…!!」


電話の向こう側から聞こえる千秋の大きな声に、壱春は一瞬で耳から携帯を離す。

「ねぇーってばっ?!聞いてるのハルちゃんっ?? 」


「悪いけど、ちょっと静かにしてくれ千秋っ!……今の俺はヒロを助ける為の重大任務に着いてるんだよっ!…それじゃぁまた後でなっ!!」


「ちょっ、ちょっと待ってよハルちゃんっ!? 訳分かんないよ、ハルちゃんってばっ!!」

そう言って急いで通話を終える壱春。

ろくに話をしないまま電話を切られた千秋が、不思議そうに携帯の画面を眺めていると右手に水風船を持っている美波が話し掛けながら近づいてくる。


「千秋ぃー?? 春坊は何だってぇぇーー?!」

「良く分かんない…。任務がどうのこうの言ってたけど……夏の暑さに…やられちゃったんじゃない? 」


「アハハ!そうかもねぇー。春坊夏休みになってから最近家に居ないみたいだしぃー……っ?!」


笑っていた美波は何かに気づいた様に千秋を見て、千秋もその言葉に反応するかの様に美波を見詰めて声を揃える。

「「もしかして彼女っ!?」」


見事にハモった美波と千秋は何処に居るか解らない壱春を捜すべく走り出していた。

「千秋ぃっ?!あんた春坊ぉと喧嘩してるんだからぁ、別に捜さなくてもいいでしょっ!? 」

「それはそうだけど…もし本当に女の人と一緒なら、邪魔して意地悪しようと思ってるだけだもんっ!!」


言い合いをしながら人混みを掻き分けていく千秋と美波。


そんな状況になってる事など分かるはずの無い壱春は、柚先生に呼ばれるままに次の屋台へと向かい歩いて行く。

「夏祭りの勝負事といったら…やっぱり金魚すくいだろっ!? ほらサンタが金払えよ200円っ!」

「なんで俺が柚先生の分迄払うんすか!? 」


「え? それは勿論、さっきの射的ゲームでサンタが負けたからだろ??」


『何当たり前の事言ってんだコイツ?』みたいな表情で見てくる柚先生に、壱春は頑張って苦笑いを浮かべる。

「さっきの…勝負だったんすね…。」


そう呟きながら金魚すくいのおじちゃんに200円を手渡す壱春。

「私は結構金魚すくい得意なんだぞーっ!!」

そう言って自信満々に服の袖を捲り上げる柚先生に、勝負事と聞いて血が騒いだのか壱春もTシャツの袖を捲りヤル気満々で金魚すくいに挑んだ。




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